「夫婦がお金でもめないためにはどうすればいいか?」みたいな本を読んだ話
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「倹約家と浪費家(Tightwads and Spendthrifts)」って本を読みました。著者のスコット・リンクさんはミシガン大学のマーケティング学の教授で、本書は「夫婦とお金の問題」に関する知見をまとめた内容になっております。お金の問題ってのは、夫婦の仲を左右する重要な要素ですから、だいぶ重要なテーマを扱っているんじゃないでしょうか。
ってことで、いつもどおり本書から勉強になったところをまとめてみましょうー。
- 浪費家と倹約家はまったく違う存在のようだが、実はどちらも心理的な苦痛を味わっている。もちろん、一般的には倹約家のほうが経済的にずっと良い状態にあるのは間違いないが、倹約家は一貫して「あんなの買わなきゃ良かった!」という記憶にさいなまれるケースが多い。
- 一方で、浪費家の苦痛については言うまでもない。浪費家は欲しいものへの欲求を抑えるのが下手なので、「これは浪費だ」と頭では理解しているのに金を出してしまい、大きな苦痛を味わうことになる。
- 通常、人間は同じ特性を持った相手に惹かれることが多い。多くの研究でも、共和党員は共和党員と結婚し、民主党員は民主党員と結婚する傾向があることがわかっている。
ところが、お金に関しては逆の現象が見られ、浪費家は倹約家と、倹約家は浪費家と結婚することが多い。これは、私たちが、自分自身の短所と同じ欠点を持つ人間を嫌う心理を持っているからだと思われる。つまり、倹約家は自分のケチな性格を嫌っていることが多く、そのせいでケチな相手を嫌う。同じく浪費家も自分のだらしなさを嫌っていることが多く、そのせいで浪費する人間を嫌う。
- 上記のような違いは、知り合って最初のうちは良い方向に働くことが多い。倹約家は浪費家のお金の扱い方を面白がるし、浪費家は倹約家の姿勢に感心するからである。
しかし、交際が長くなると、お互いに相手のお金の使い方が嫌になりはじめ、ケンカが増え始める。実際、研究データでも、夫婦の「倹約家&浪費家」レベルに差があればあるほど、お金のことで口論になり、結婚生活への満足度が低くなる事実が示されている。
- 多くの人は、自分のパートナーに対して「お金の使いみちをすべて知りたい」と思う傾向がある。しかし、ほとんど場合、配偶者がどのようにお金を使っているかを正確に知ったところで、経済状況は悪化してしまうことが多い。
その理由は、たいていの人が、「小さな買い物を控えればが貯金が貯まる」と思い込んでいるのが原因である。この発想は「ラテ・ファクター」と呼ばれ、「たまに飲むラテのような小さな贅沢を控えれば、それで貯まったお金を投資して金持ちになれる」考える人が多い事実に由来している。当然、この発想は間違いだが、この考え方を信じる人は多い。
パートナーのお金の使い方を完全にしようとすると、この「ラテ・ファクター」へ必要以上にスポットライトを当てることになり、その結果、家計に悪影響が出てしまう。
カップルは、お互いの金づかいについて大まかな感覚は持っているべきだが、その詳細を共有する必要はない。多少のプライバシーは、関係性を維持するために不可欠である。
- 倹約家と浪費家のカップルは、各自の資産に格差があることが多い。当然、倹約家のほうが資産は多いが、そもそも共働き夫婦で、パートナーが同じ所得階層に属するケースは全体の40%程度に過ぎない。この問題を解決するには、共同の銀行口座を作るのが助けになる。共同の口座を持つことにより、パートナー間の収入格差にまつわる緊張を和らげるのに役立つ。また、共同口座のおかげで「夫婦が稼いだお金はすべて共同の資産である」という考えが強調され、倹約家と浪費家の両方のマインドセットに良い影響が出やすい。
- 浪費家は支払いが抽象的になるほど金づかいが荒くなる。そのため、浪費家ほどクレジットカードをやめて、いつも現金を使うように心がけておくと良い。逆もまた然りで、倹約家は抽象度が高い支払いを心がけたほうが、適切な場面にお金を使うことが出来るようになる。
- ネット上には、「相手にどんなプレゼントが欲しいか聞いてから、その商品を買いましょう」といったようなアドバイスがあふれている。確かに、これなら最悪の失敗は防げるかもしれないが、このアドバイスには現実的な問題がある。良い贈り物には、ある程度のサプライズが必要だからである。
プレゼントで二人の関係を深めたいのであれば、相手の心理世界を理解する必要がある。相手が何に喜びを感じ、何を楽しみにし、何にストレスを感じているのか。これらの答えを、定期的にお互いの内面を探る時間を設けて探さねばならない。
- 夫婦がうまくやるのに、お金は無視できない。しかし、夫婦が生きていくためには、それだけでは十分ではない。人間関係をよくする要素としては、趣味、価値観、計画、夢なども同じように重要である。十分なお金があっても、ライフスタイルへの価値観が違うせいで離婚にいたった者は少なくない。
つまり、幸福な結婚のためには十分なお金が必要だが、同時に十分な心理的類似性も必要だということである。