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「1回に飲むプロテインは20~25グラムがベスト!」説って間違いじゃない?

 


フィットネス界には、昔から「人間は1回の食事でどれだけのタンパク質を使うことができるのか?」って問題があるわけです。当然ながら、人体がタンパク質を処理できる能力には限界があるわけで、無闇に大量のプロテインを飲んでも、たんに余分なカロリーを摂っただけに終わっちゃうんじゃないかって問題ですな。

 

では、プロテインを無駄にせずに筋肉を増やすためにはどうすればいいのかってことで、一般的には以下のようなことが言われております。 

 

  • 1回のプロテインは20~25グラムがベスト!これで筋肉への刺激は最大化する!
  • だから、筋肉を増やすためには、1回20~25グラムを数時間おきに飲もうぜ!

 

これは本当によく耳にする説で、パーソナルトレーナーも、似たようなアドバイスをする人が多いんじゃないかと。

 

ただし、この考え方については、実はまだ満足のいく証拠はなかったりします。というのも、プロテインの効果を調べる研究ってのは、絶食状態でホエイプロテインを飲ませたり、6時間ぐらいの反応しか調べなかったり、筋トレをせずに筋肉のタンパク質合成をチェックしてたりと、帯に短したすきに長しなデータが多いもので。

 

といったところで、新しいデータ(R)は非常によい感じでして、

 

  • 全身の筋トレ後にプロテインを飲んでいる

  • 25gと100gのプロテインを比べている
  • 12時間のタンパク質代謝を評価している

 

って条件を設定してくれていて、プロテイン好きとしては、研究チームに足を向けて寝られない研究になっております。

 

実験の参加者は18歳から40歳までの健康な男性36人で、どんな実験をしたのかと言いますと、

 

  1. 60分間の筋トレをする。レッグプレス、レッグエクステンション、ラットプルダウン、チェストプレスを4セットずつで、各エクササイズは、1RMの65%で10回反復するセットから始まり、その後、1RMの80%で2~4セットを行った。


  2. 筋トレが終わったら、0g(対照)、25g(中程度のタンパク質)、100g(高タンパク質)のプロテインを飲んでもらう。


  3. その後、720分(12時間)にわたって血液サンプルと外側広筋の生検を行い、タンパク質の代謝がどうなったかを調べる。

 

みたいになります。1回100gのプロテインってのは、従来は「そんなに飲んで無駄でしょ!」言われてきた量なので、これでどのような変化が起きるのかは気になるところですねー。

 

結果について、チームはこう言っておられます。

 

食後12時間にわたって評価したところ、筋タンパク質合成率には明確な用量依存パターンが観察された(100g>25g>0g)。

 

簡単に言えば、25gよりも100gのほうが筋肉が増える可能性が高いよーって結論ですね。

 

また、タンパク質の分解は3つのグループで有意差はなし。タンパク質の酸化については0gと25gよりも100gの方が有意に高かったものの、タンパク質の酸化の総量は小さかったとのこと。要するに、1回に大量のプロテインを飲んでも、実は意外と無駄にはならないし、普通に飲めば飲むほど筋肉は増えやすくなるんじゃない?ってとこですな。

 

というわけで、これだけ見る限りは、従来の「1回のプロテインは20~25グラムがベスト」説はゆらぐことになる感じですね。もっとも、個人的には、この説には以前から疑問があって、「縦断的な研究を見てると、だいたいは『プロテインは1回あたりの量を気にせずいっぱい飲むほうが、一貫して筋肉量は増えるよ』って結論が出てるんだよなぁ(R)」と思っていたことではありました。

 

確かに、「健康な人の筋タンパク質合成は20gのタンパク質で最大に刺激される」って報告(R)や「筋タンパク質合成は1日に4〜5回程度しか最大に刺激できない」みたいな調査(R)もあるんだけど、どうにも別の研究と矛盾が起きちゃうんですよね。というか、これらの研究が正しいなら、1日に80~100gのタンパク質で筋肉の肥大が最大化するってことになるはずなのに、過去のメタ分析などでは、あきらかにもっと多く摂ってる人のほうが筋肉は増えてますし。

 

まぁ、今回の試験はまだ小規模だなので、もっと別の再現実験を見てみたいところではあります。ここまで厳密な試験を行うのは大変だとは思うものの、世界のプロテイン好きは注目すると思いますんで(笑。

 

ってことで、今のところの結論としては、私は別に「「1回のプロテインは20~25グラム」って説にとらわれずに、好きなタイミングで好きな量を飲みつつ、最終的に1日に体重1kgあたり1.6〜2.2gの範囲に落ち着けばいいやーって感じで飲んでいきたいと思っております。

 

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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