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【質問】めっちゃ怒りやすいんですが、どうすればいいですか?#3「とにかくタイムアウトする」

 


シリーズ「めっちゃ怒りやすいんですが、どうすればいいですか?」の続きでーす(#1,#2)。

 

このシリーズでは、「なんだかよくわからず怒りがわいたり、ちょっとしたことで不必要に怒ったりすることが多いです」ってご質問に応えて、怒りの対処法について考えております。

 

前回までは自分の怒りを徹底的に分析していただきまして、「自分はなにに怒っているのか?」を理解していただきました。そこで今回は実践編で、具体的に使えるテクニックを見てみましょう。怒りに効く手法はいくつもあるんですが、ここでは最も基本的なところから取り上げていきます。

 

 

 

基本1.とにかくタイムアウトする

「怒り」はめっちゃエネルギーを使うので、長く同じ状態を保つのは難しいもの。そこで、どうにかしてタイムアウトする時間を取れれば、意外と簡単に問題が解決しちゃったりします。多くの人は「怒らない方法を知りたい」とか思いがちなんですが、長年にわたって怒りが染みついてきた人が急に脳を切り替えられるはずもないので、とりあえず「怒りはわくものだ」と割り切って、その怒りがヤバい結果をもたらさないように注力するほうが大事。

 

怒りからタイムアウトするには、事前に以下のようなステップを踏んでおくといいでしょう。

 

  • ステップ1:早期警告の兆候を見極める:まずはタイムアウトを取るためのタイミングを見極めましょう。これは前回までさんざんやってきた作業なので、すでに理解出来ているはず。「胸のあたりが熱くなる」「壁を殴りたくなる」「頭が真っ白になる」って感じで、怒身体、思考、感情が怒りに反応していることを示すサインがあるはずなんで、これらの警告サインをピックアップしましょう。

    その上で、自分の警告サインを1から100までの尺度で考えてください。「1=極めて冷静、100=極めて怒り/動揺」って感じです。この時、「自分の警告サインが何点に達したらタイムアウトをスタートするか?」を考えてみてください。30点でも50点でもいいので、これは自分の主観で決めていただいて構いません。



  • ステップ2:タイムアウトの合図を考える:警告サインを確認したら、「タイムアウトの合図」を決めておく。これは「ちょっと頭を冷やしますんで」でもいいし、「この話はまたあとで」でもいいし、自分が自然に相手へ伝えられるようなものをお選びください。この時、できれば自分を怒らせがちな相手に対して、「自分は怒りやすいので、こういうタイムアウトが必要なんだ」と伝えることができればベターです。当然ながら、相手がいない状況では、タイムアウトの合図を使う必要はありません。



  • ステップ3:物理的に分離する:タイムアウトの合図を決めたら、実際にどのように休憩するかを決めます。ここで決めて欲しいポイントは、こんな感じです。

    ・タイムアウトの場所(ひとりになれる安全な場所ならどこでもよい)
    ・タイムアウトの長さ(だいたい5〜10分ぐらい)
    ・タイムアウトですべきこと(深呼吸とか瞑想とか)
    ・行ってはいけない場所(社内の自分の座席とか、周囲に人が多いとことか)
    ・やってはいけないこと(誰かに愚痴をこぼすとか、物にやつあたりするとか)



  • ステップ4:タイムアウトする:あとは実際に自分の怒りが発動したら、決めたとおりにタイムアウトするだけです。ここで何をするかは個人の好み何ですけど、いくつか実験で効果が示されたものがあるんで、それらは後で紹介します。




  • ステップ5:タイムイン:タイムアウトの後は、自分を怒らせた相手がいるなら、その状況に戻って問題を再び話し合って終了です。ここでまたもや怒りが発動しそうになったら、上記の手順に従って何度でもタイムアウトをくり返してください。

 

って感じで、あらかじめ自分が怒ったときに行う行動を決めておくのが吉。怒りに飲み込まれたあとで「タイムアウトしなきゃ!」と考え直すのはほぼ不可能なんで、めんどうだと思っても事前のプランニングは必須です。

 

  • タイムアウトのオプション「30-30-30」

    事前に細かなタイムアウトの計画を立てるヒマがなかったり、明確に怒りのトリガーを引く相手がいないときは、簡易バージョンとして「30-30-30」を覚えておくのも吉です。これは欧米のアンガーマネージメントで使われる手法で、

    1.怒りが沸いたら、まず30秒かけてその場から離れ、部屋を出るか外に出る。
    2.それから30秒間、とにかく何か別のことをする(呼吸法とかスマホゲームとか)。
    3.最後の30秒を使って、感情をやわらげるためにリアプレイザルを行う。

 

みたいな感じです。この手順を覚えておくだけでいいので、わりと使いやすいのではないでしょうか。とりあえず最初の30秒でその場を離れることにさえ成功すれば、あとは意外とスムーズにいくはずですんで。

 

リアプレイザルについては、過去に以下のようなエントリで使い方を紹介してますんで、こちらも合わせてご参照ください。最後のリアプレイザルまでできれば、怒りの対策としてはかなり効き目を実感できるはず。

 

 

などと書いていたら、思ったよりも文字数が多くなったので、その他のテクニックについてはまた次回にまわします。なんか長期シリーズになってきたな……。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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