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【質問】めっちゃ怒りやすいんですが、どうすればいいですか?#2「そもそも人は何に怒るのか?」


 

シリーズ「めっちゃ怒りやすいんですが、どうすればいいですか?」の続きでーす(#1)。

 

このシリーズでは、「なんだかよくわからず怒りがわいたり、ちょっとしたことで不必要に怒ったりすることが多いです」ってご質問に応えて、怒りの対処法について考えております。

 

 

前回は「とりあえず怒りの記録をつけようぜ!」って話をしまして、まずは自分の怒りを刺激する“トリガー”を特定する作業を行っていただきました。自分の金づかいがわからないと貯金ができないのと同じで、自分の怒りのパターンがわからないと対策を立てようがないですからね。

 

特にすぐにキレる癖がついてちゃっている人は、もはや怒りが生活習慣病みたいになってるんで、自分がなににムカついているのかすらわからないケースもあるはず。この問題を避けるためにも、怒りのトリガーを把握しておくのは対策の第一歩になります。ネットの批判、渋滞、疲労、上司の叱責など、人によってトリガーは大きく異りますからね。これは、すぐに怒っちゃうことを他人や環境のせいにしろって意味ではなく、あくまで怒りのトリガーを理解することで対策を立てやすくなるよーって話なので誤解なされませんよう。

  

 

 

 

そもそも人は何に怒るのか?

さて、自分の怒りトリガーを理解するにあたって、さらに私たちが怒る対象も深掘りしておきましょう。前回が「なぜ怒るのか?」を見たのに対し、今回は「みんな何に怒るんだろう?」ってポイントを見ていくわけですね。

 

 

  1. 厚生トレードオフ率:これは心理学の概念で、「あなたが他者に与える価値の量」と「他者があなたに与える価値の量」の比率のことです。もしあなたが友人から良く扱われているのに、自分は友人を同じぐらい良く扱っていなかったら、厚生トレードオフ率は低くなるわけっすね。当然、多くの人は、この比率のバランスが崩れたときに怒りを感じるわけです。

    といっても、この比率は人によって大きく異なるため、同じ相手に対しても怒りのレベルも違ってきます。なので、「自分がどれぐらい相手への期待を持っているか?」ってのを自覚するのは、怒りのコントロールにおいては超大事。


  2. 集団メリットの毀損:人間は社会的な生き物なので、グループの利益を願うもの。言ってみれば、人間は自分が所属するコミュニティを1人の個人のように扱うので、ある人が集団の利益を損なうような行動をとれば、それに対する怒りがわくのは当然なわけです。これは共感能力によって起きる怒りっすね。


  3. 物への怒り:人間は物に愛着を抱き、それらに人間に抱くのと同じレベルの期待を持つ性質を持っております。なので、スマホが思い通りに動作しなかったり、家電が説明書どおりに動かなかったりすると、やはり怒りの感情が発動するわけです。スマホを投げつけたり、Siriとマジげんかするような状態っすね。


  4. 自己に対する怒り:自己批判が行きすぎて、自分に怒りが向かうパターンです(R)。これは「内面化された怒り」と呼ばれてまして、抑うつ症状が起きている人にありがちな怒りっすね。ただ、自分自身に腹を立てるということは、自分自身の何かに納得いってないのと同時に、セルフケアに注力していないってことでもあるんで、かなりしんどい状態になりますね。


  5. 遠い他者への怒り:政府、政治家、知らない犯罪者など、心理的には距離が遠いメンバーに対して発動する怒りです。本来は自分とは関係がない人が犯した間違いでも、かなり多数の人は、「あいつの行動で集団の幸福が損なわれている!と感じ、これが厚生トレードオフ率を変化させるわけです。ネットでよくバトってるような人にありがちな怒りっすね。

 

 

 

怒りの対策をする前にやっておきたい2つのステップ

さて、ここまで来れば、だいぶ自分の「怒りトリガー」を分析しやすくなったはず。次回からいよいよ対策編に入りますけども、その前に、自分の怒りに介入する前にやっておきたい2つのことをチェックしておきましょう。

 

  1. 警告サインを認識する:自分が怒りやすいポイントがわかったら、さらに「警告サイン」も分析しておいてください。怒りになれすぎていると、「怒り」の感情は一瞬で襲ってくるように感じられるんですけど、怒りが発動する直前には必ずなんらかの予兆があるはずなんですよ。

    これは人それぞれで、たとえば「心臓の鼓動が速くなる」「後頭部が痛くなる」「拳を握り始める」「顔が熱くなる」などです。この警告サインに気づくことで、自分の怒りが暴走する前に気づいて、取り返しがつかない状態になるまえに行動を起こせるようになりますんで。

    自分の警告サインに気づくには、前回作った「怒り日記」を見返しつつ、「自分が怒る前に、身体や脳内にどんな変化があっただろうか?」と振り返ってみるのがオススメです。



  2. 自分の怒りが役に立つのか立たないのかを考える:怒りの感情がわいたら、自分を落ち着かせようとする前に、「この怒りって味方なの?それとも敵なの?」ってあたりを自問してみましょう。親友が不当に扱われていたり、誰かの権利が侵害されているのを目撃したりと、何らかの問題を目にしてわきあがる怒りは「役に立つ」ので、あえて打ち消す必要はありません。このような場合、自分の感情を変えるのではなく、その感情を問題解決に使ったほうが吉。

    しかし、もしその怒りが自分に激しい苦痛を引き起こしたり、人間関係を傷つけたりしているのなら、その「怒り」は敵認定したほうが良いかもしれません。とにかく「これは後で後悔する!」と思えるような怒りであれば、それはヤバい感情だと考えられるので、具体的な対策を打って生きましょう。

 

 

 ってことで、今回はこのへんで。怒り対策の土台ができましたんで、次回は「対策編」をお送りします。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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