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【質問】体に超悪い「超加工食品」ってどう区別すればいいですか?

 


 

こんなご質問をいただきました。

 

パレオさんは超加工食品を避けるように言っています。加工された食品が良くないのは理解できるんですが、「加工食品」をどう判断すればいいかがよくわかりません。どこから加工食品でここからはOKみたいな見分けかたはないんでしょうか。

 

ということで、超加工食品を見分ける方法はないものか、と。超加工食品ってのは、素材の原形をとどめないレベルで加工しまくってる食品で、このブログでも過去にいくつか取り上げております。

 

 

超加工食品を食べると太っちゃうし、発がん率は上がるし、早期死亡率もアップするしで、悪いことだらけみたいなんですよね。超加工食品は「高脂肪+高糖分」の組み合わせでできているケースが多いし、これに塩分や風味を添加する物質が混ざっていて、脳の報酬システムを刺激しまくり、やめられないとまらない状態になりやすいんですな。

 


ただ、「どれが超加工食品なの?」って判断は意外と難しくて、たとえばカラフルなお菓子とかドーナツみたいな食品は「これは加工してますねー」とすぐわかりますが、果物のシロップ漬けや食塩をまぶしまくったナッツとかは、「うーん、これは原材料をそこまで加工したわけじゃないしなぁ……」って気分になりますからね。

 

これは確かに難しい問題で、実は複数の研究でも、そこそこ定義が違ってたりするんですよ。これは困ったもんです。

 

では、超加工食品をどう判断すれば良いかってことで、ここで参考になるのは「Novaの食事分類システム」でしょう。サンパウロ大学のカルロス・モンテイロ先生が開発したもので、ブラジルで頻発していた栄養失調の問題に対応すべく編み出されたんですな(R)。

 

まぁ、世の中に完全な分類法なんて存在しないのでNovaにも批判はありまして、「こんな分類を守れるわけがない!」とか「不正確で不完全だ!」みたいな指摘はたくさん出てはいます。ただし、その一方では、さまざまな食品が健康へ与える影響を理解するためのツールとして、世界のいろんな政府や栄養機関で使われているのも事実なんで、そこまで厳密さを求めないならば、十分な指標になるんじゃないかと(R)。

 

ってことで、Novaでは、超加工食品を次のように定義しております。

 

主に安価な工業的エネルギー源と栄養素に添加物を加え、一連の工程を経て製造され、最小限の食品素材しか含まないもの。

 

なんだかわかったようなわからないような感じですが、これをふまえてすべての食品を4つのグループに分類したのがNovaシステムのポイント。具体的な分類は、以下のようになります。

 

  1. 未加工または最小限の加工食品
  2. 料理用加工食材
  3. 加工食品
  4. 超加工食品


カロリーや三大栄養素といった従来のアプローチではなく、とにかく加工レベルで食品を分類するのがNovaの特徴であります。この分類に従って、4番目の「超加工食品」を減らせば、摂取カロリーが減るし、ビタミン、ミネラル、抗酸化物質、食物繊維の摂取量も増えて、良いことだらけだよーと言ってるんですな。

 

Novaの分類をさらに細かく見てみると、こんな感じになります。

 

 

グループ1:未加工および最小限の加工食品

食材がもとの状態を完全にキープし、塩分、糖分、油脂、その他の調理成分を使っていないもの。

 

  • 野菜全般
  • アブラナ科の野菜
  • 豆、レンズ豆、ひよこ豆などの豆類
  • でんぷん質の根菜類(ジャガイモ、サツマイモ、キャッサバなど)
  • 肉類全般
  • 果物全般
  • 魚介類全般
  • ジュース(砂糖、甘味料、香料を添加していないもの)
  • トウモロコシ
  • 木の実
  • ナッツ類
  • プレーンヨーグルト
  • 紅茶
  • コーヒー
  • 飲料水

 

 

グループ2:料理用加工食材

グループ1の食品を、圧搾、精製、粉砕、製粉、乾燥して作られるもの。自然の素材から抽出されたものも含まれる。通常、添加物は含まれていないが、ヨウ素添加塩のようにビタミンやミネラルを含むものもある。

 

  • 種子、ナッツ、果実を砕いて作られる油(オリーブオイルなど)
  • バター
  • ラード
  • 砂糖
  • ハチミツ
  • 乾燥剤を添加した食卓塩
  • その他の調味料

 

 

グループ3:加工食品

グループ1の食品に、塩や砂糖などの料理用加工食材(グループ2)を加えて作られる、わりとシンプルな食品。焼く、煮る、缶詰にする、瓶詰めにする、ノンアルコールで発酵させるなどして製造される。

 

  • 缶詰や瓶詰めの野菜および豆類
  • 塩漬けまたは砂糖漬けのナッツ類および種子類
  • 塩漬け、乾燥、熟成、燻製した肉類および魚類
  • 魚の缶詰(保存料や塩分が添加の有無を問わない)
  • 果物のシロップ漬け(酸化防止剤添加の有無を問わない)
  • 包装されていない作りたてのパン
  • チーズ

 

 

グループ4:超加工食品

グループ1の食品を加工しまくり、すぐに食べられる製品。

 

  • 炭酸清涼飲料水
  • スナック菓子
  • 砂糖の多いチョコレート
  • アイスクリーム
  • パン・饅頭、マーガリンなど
  • ビスケット、ペイストリー、ケーキ、ケーキミックス
  • シリアル
  • エナジーバー
  • エナジードリンク
  • フルーツヨーグルト
  • フルーツ飲料
  • インスタント食品

 

ってことで、個人的には細かいところでは異論もありますが(魚の缶詰とかは塩分や油分が入ってなければよいと思う)、わかりやすい分類じゃないでしょうか。ゆるく健康食を続けるなら「グループ3まではOK」って決めれば良いし、もうちょい厳しく行きたいなら「グループ2まではOK」って感じでルールを決めれば良いでしょう。

 

まぁ、これはこれで判断がめんどうではあるので、「シンプルに原材料の量で決める」って判断法を使うのもありです。10種類もの原材料が使われている食品は、3種類の原材料だけを使っている食品より加工度が低いのは間違いないですからね。あくまで経験則ではありますが、原材料が5種類以上であれば、それはおそらく超加工食品だよなーと判断していいんじゃないでしょうか。もちろん例外はあるんだけど、これぐらいシンプルじゃないと使いづらいですからね。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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