「超加工食品」を食べると1日の摂取カロリーはどれぐらい増えるのか?問題
近ごろ「超加工食品」に関する話を耳にするケースが増えてきたわけです。超加工食品ってのは、原材料をいじりすぎてもはや原形をとどめていない食品のことで、
みたいな話を過去に紹介したことがありました。ケーキ、クッキー、エナジードリンク、パン、パスタなどの食べ過ぎが体に良くないのは当たり前ですけど、そのダメージは思ったよりもデカいんじゃないかなーってのが近年の風潮っすね。
で、近ごろ出たデータ(R) も超加工食品の話で、何を調べたのかをざっくりまとめると、
- 超加工食品はどれぐらいの食べ過ぎにつながるのか?
って疑問について調べてくれたんですよ。「パレオダイエットの教科書」でも「加工食品が肥満につながる!」みたいな話をしましたけど、具体的にどれぐらいの食べすぎにつながるのかってポイントですね。
実験に参加したのは20名の男女で、BMIが27±1.5で年齢が31.2±1.6歳の人だけを招集。全員をアメリカ国立衛生研究所に呼んで、超加工食品または非加工食品のいずれかを「好きなだけ食べてくださいねー」と指示して、そんな生活を2週間ほど続けてもらったんだそうな。超加工食品が食事量にあたえる効果を直に比較した初めての試験でして、なかなか参考になるんじゃないでしょうか。
ここで採用された食事は、カロリー、多量栄養素、糖分、ナトリウム、食物繊維の量が一致するように設計されてまして、具体的な「超加工食品の例」はこんな感じです。
続いて、具体的な「加工レベルが少ない食品の例」はこんな感じです。いかにも体に良さそうっすね。
その上で、みんなのカロリー摂取量や体型の変化を調べたところ、
- 超加工食品を食べたグループのほうがカロリー摂取量は1日508±106kcalも多かった(p=0.0001)
- 摂取カロリーの増加は、炭水化物(280±54kcal/日、p<0 .0001="" kcal="" p="0.0004)の増加によるもので、タンパク質には変化なかった(-2±12kcal/日、p=0.85)<br">
0> - 体重の変化はカロリー摂取量と高い相関があり(r = 0.8)、超加工食では0.9±0.3kg(p = 0.009)の増加、非加工食では0.9±0.3kg(p = 0.007)の減少が見られた
って感じだったそうで、「超加工食品を食べ放題!」って設定にすると、1日500kcal近いカロリーの増量につながっちゃうわけですな。これは結構な数値じゃないでしょうか。
もちろん本件にも限界はありまして、以下のポイントにはご注意ください。
- 超加工食品は、野菜や肉に比べて料理の手間がいらない。そのため、ついつい超加工食品に手が伸びやすくなっている可能性はある(つまり、利便性がカロリー摂取量に与える影響はよくわからない)
- この研究では、カロリー摂取量がここまで違った原因をハッキリと特定することはできていない(超加工食品のせいで食欲が暴走したのかもしれないし、もっと細かい栄養素の違いが影響してるのかもしれない)
- 実験期間が短いので、長期的な効果についてはよくわからない
というわけで、「なんで超加工食品で摂取カロリーが増えるの?」ってとこはまだ不明ながら、とりあえず「1日500kcalの増加につながるのか〜」ぐらいに思っておくと、お菓子やソフトドリンクを控えるモチベーションになるんじゃないでしょうか。
ちなみに、この研究では「未加工の食品を食べているあいだはPYY(食欲を抑制するホルモン)が増加した」って話も出てまして、個人的には「やっぱ超加工食品は、エネルギー密度が高いせいで食欲に影響があるんだろうなー」ぐらいに思ってますが。