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2021年8月に読んでおもしろかった6冊の本と3本の映画と1本のゲーム

 

月イチペースでやっております、「今月おもしろかった本」の2021年8月版です!  今月は新刊「無(最高の状態)」を書き終えた反動で完全にメンタルが灰になりまして、読めた本は22冊ぐらいでした。なかでも良かった6冊をまとめてみます。

 

 

スタンフォード大学の共感の授業 人生を変える「思いやる力」の研究

 

スタンフォードの心理学者が「いかに現代において共感力が必要か?」「共感力は後天的に鍛えられるぜ!」といった考え方を教えてくれる本。ただのキレイごとではなく、もともと人間には自己と他者を線引きする機能と、それを乗り越える機能のふたつが内蔵されてるのだから、後者を鍛えた方がみんな幸せになっていいよねーって論が展開されててとても有用でした。近ごろは、科学的に道徳性を根拠づけていく本が増えましたけど、その流れに連なる一冊ですね。

 

あと、後半に「この本で取り上げた説がどれぐらい信頼に足るかのチェックリスト」みたいなのがついてて、これは自分の本でもやってみたいなーとか思いました(ページ数が増えすぎるので、出版社さんは難色を示すでしょうが……)。

 

 

 

休み時間の免疫学 第3版 (休み時間シリーズ)

 

ここ数年ほど世界的に「免疫」が注目されたこともないでしょうが、本書は免疫の基本中の基本をわかりやすく解いてくれてとても有用でした。もはや現代の基礎教養っすね。新書レベルよりちょい難しいので、「免疫って何?」という方は、入門書を4〜5冊ほど読んでから取りかかると理解が深まってよろしいのではないでしょうか。

 

 

 

猫が30歳まで生きる日 治せなかった病気に打ち克つタンパク質「AIM」の発見

 

「猫が腎不全にならず30歳まで生きてくれるかも!」ってことでニュースでも話題になった宮崎徹先生の本。個人的にAIMの理解がおぼろげだったので、ざっくりとしたメカニズムがわかって大変勉強になりました。要するに、AIMはマクロファージのヘルパーみたいな役割を果たすんですね。

 

ちなみに、この本は猫推しですけど、AIMそのものはヒトの病気治療にも役立つ可能性が高いすばらしい発見なので、猫に興味がない方でも押さえておくといいんじゃないかと。

 

 

 

medium 霊媒探偵城塚翡翠

 

名だたるミステリ好きが絶賛してた一冊で、ようやっと読むことができました。前半はコテコテのラノベ風味で進むので「うーん、面白いが乗り切れないなぁ……」とか思ってたら後半で話が一変。ラノベスタイルも読者のミスリードを誘う作戦だったことがわかってビビりました。

 

個人的にはキャラ造形とか描写にのれないとこもあるんですけど、そこはあくまで好みの問題。本書を仕上げるには通常のミステリ3冊分を仕上げる労力が必要なはずで、この話を成立させた筆力には頭が下がるばかりです。どんだけ手間をかけているのか、と。

 

 

 

冬の夜ひとりの旅人が 

 

言わずと知れたカルヴィーノ先生の1979年作品。ある小説を読もうと思ったら乱丁本で先が読めず、続きを探して出版社に行くとまた別の小説と出会い……みたいな展開が延々と続くメタフィクションで、いろんなタイプのフィクションを横断していくうちに、読み手は「本を読むってどういうことなの?」を考えるしかなくなっていくというヘンテコ小説でありました。

 

といっても小難しい話ではなく、最後には一国を巻き込む陰謀小説みたいになってくんで、「なんじゃこの展開!」とツッコミながら読むだけでも楽しいです。カルヴィーノ先生は読書をテーマにした話が多いので、読書論みたいなのが好きな人なら楽しめるんじゃないでしょうか。

 

 

 

How to Change: The Science of Getting from Where You Are to Where You Want to Be

 

すでにこのブログでも何度か取り上げている、ミルクマン博士の「習慣化本」です。「ヒトの行動をいかに変えるか? その変化をいかに持続させるか?」ってテーマについて、先行研究のおいしいところを手際よくまとめていて、とても使い勝手が良い一冊でした。おそらく翻訳本が出ると思うので、日本語で読みたい方はお待ちください。

 

 

 

イン・ザ・ハイツ

 

貧困にあえぐ若者の生活をラテンノリで謳い上げるミュージカル映画。ラテン系のミュージカルを見るのは初めてだったんですが、普通の会話 → ラップ調の会話 → ゴリゴリのラップ → 歌唱 → 群舞って感じに自然に流れていくのが気持ちいいっすねー。最終的には「この世の地獄も天国も自分の考え方次第」みたいな話に落ち着きまして、いまの人生に不遇な感覚を抱いている方ほど楽しめるのではないかと。

 

 

 

ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結

 

もともと初期のジェームズ・ガン作品が好きで(「スリザー」とか「スーパー!」とか)、GOTGシリーズも「楽しいけど毒が少なくて寂しいなー」みたいな気持ちだったんですよ。それがディズニーのくびきから外れたとたんにブラックジョークとゴア描写全開の作品を作ってくれて、「これですよ!」という気持ちになりました。

 

全編で不謹慎ジョークが展開されるものの、最後にはちゃんと泣けるシーンが用意されててこれがまたズルい。いまんとこ今年のトップ3には入るかな……。

 

 

 

フリー・ガイ

 

「よくある夏のハリウッド大作だろう」とナメてたら、練られた脚本と過不足ない演出で、めちゃくちゃ楽しい映画になってて驚きました。全体に「グランド・セフト・オートあるある」みたいなのが多いんですが、基本は「自分なんて人生の脇役だからな……」という誰もが抱く気持ちをベースに進むので、多くの人が感情移入できるはず。「とりあえずあまり考えずに楽しいものが見たい!」みたいな需要にしっかり応える一作としておすすめです。

 

 

 

In Death: Unchained

 

評価が高かったのでなんとなく買ってみたオキュラスゲーム。軽い気持ちでやり始めたら、ここ十数年のゲームで一番のレベルでハマってしまいました。基本はローグライクなアクションゲームで、弓を使って地獄の亡者と戦っていく「死にゲー」の一種。そのおもしろさを文章で伝えるのは不可能なんですが、

 

  • 敵に弓が刺さる感覚の納得感が高い(自分がこう狙ったからこう刺さったんだなと認知できて、ハズレ判定に理不尽さがない)

  • 最初は「こんなもんできるか!」レベルの難易度が、やればやるほど確実に上達していく難易度設定

 

といったあたりが最高によくできていて、ゲームとしての地肩が強いとしか言いようがないっすね。ゲーミフィケーションについて考える上でも、めちゃくちゃ参考になりました。


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