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【質問】腸内環境が改善するまでにどれぐらいの時間がかかりますか?

 


こんなご質問をいただきました。

 

腸内環境の改善をがんばっている者です。そこでご質問なのですが、腸内の細菌はどれぐらいの期間がんばれば改善するのでしょうか?個人差が大きいのかもしれませんが、おおまかな目安があると、もっとがんばれる気がしました。

 

ということで、腸内に住む細菌たちを改善するためには、どれぐらいの期間が必要なのか?という疑問であります。

 

ご存じのとおり、このブログでは腸の健康を重視してまして、「最高の体調」でも1章を割いて腸を改善する方法をお伝えしたわけです。とにかく現代的な食事は腸へのダメージが大きく、食物繊維を十分に摂らなかったり、加工度が高い食品に頼りすぎたりすると、腸内に生息する「善玉菌」が飢えてしまい、炎症、代謝、免疫の健康だけでなく、メンタルヘルスや人生の幸福も下がってしまうことがわかってるんですよ。

 

では、腸内環境はどれぐらいの期間で改善するのかってことですが、ありがたいことに私たちの腸内環境ってのは、驚くほど回復力が高かったりします。体に良い食生活さえしていれば、意外なほどスピーディに腸内が改善するみたいなんですな。

 

たとえば、2013年の研究(R)だと、あるグループには植物性食品を食べてもらい、別のグループには肉類が多くて食物繊維が少ない食品を食べてもらったところ、両グループの腸内環境は24時間以内に劇的に変化したんだそうな。つまり、私たちの腸は、ライフスタイルを切り替えてからほんの1日で良い方向にも悪い方向にも向かうらしいんですな。

 

さらに、この研究によれば、健康的な食事から普段どおりの食事に戻った参加者は、やはり1日ぐらいで腸内環境がもとにもどったそうで、良くも悪くも私たちの腸内環境は大きな可変性があるのかもしれんですな。つまり、健康的なライフスタイルに切り替えれば、割とすぐに腸内は改善するってことでして、これは良いニュースじゃないでしょうか。

 

また、実験後に追跡調査を行ったところ、腸に優しい食事を約6ヵ月間にわたって摂り続ければ、腸の働きにもポジティブな変化が出たって報告も出てたりします。本格的に腸をフィックスしたいのであれば、「約6ヵ月間はがんばる!」ってのが目安になるでしょう。

 

ってことで、ご質問への答えはこれで終わったので、あとは「どんな食事を半年続ければいいのか?」ってポイントをまとめていきましょう。腸を管理する最善の食事法は、簡単に言えば、プレバイオティクスとプロバイオティクスの2つに限られまして、ポイントは以下のようになります。

 

 

  • プレバイオティクスは腸内細菌叢のエサ。果物、野菜、全粒穀物、ナッツ類、豆類など、未加工の食物繊維が豊富な全食品から摂取できる。プロバイオティクスは善玉の微生物。ケフィア、ザワークラウト、キムチなどの発酵食品から摂取する。

 

 

  • プレバイオティクスを含む食品を食べても、最初は完全に分解されないので、腸内細菌が重要になる。腸内細菌は食物繊維を豊富にふくむ食品を代謝し、善玉細菌のバランスをサポートし、体に良い物質を産み出すのを助けてくれる。

    食物繊維の種類によって生成される体に良い物質の種類は異なるが、繊維によってどのようにメリットが異なるのかは、まだはっきりしていない。なので、とにかくいろんな食品を食べて、いろんな種類の食物繊維を摂取するのが大事。

 

 

  • 加工レベルが高い食品にあとから添加された食物繊維(例えば、難消化性デキストリンを添加したトクホ系の飲料とか)は、野菜にふくまれる食物繊維ほどのメリットが得られない可能性がある。

    また、野菜にふくまれる食物繊維は、一般的にサプリメントよりも多くの善玉代謝産物を生み出す傾向がある。例えば、一握りの豆と同じような効果を得るには、何種類ものサプリメントを同時に摂取しなければならない。もちろん、何もしないよりは食物繊維のサプリメントを使ったほうが良いが、野菜には絶対に勝てない点を覚えておくのが吉。

 

 

  • プロバイオティクスの働きは非常にシンプルで、ヨーグルト、ザワークラウト、キムチなどの発酵食品に含まれるバクテリアを直接腸に入れることができる。それぞれの食品には複数の菌株が含まれており、それぞれの菌株は、エサを与えるkとによって複数の体にい物質を産生する。そのため、食物繊維と同じように、プロバイオティクスも、たったひとつの種類だけでなく、様々なものを摂取した方がより効果的なのは間違いない。

 

 

  • ただし、プロバイオティクスのサプリメントには、これといった規制がないので、ラベルに書いてある通りのものが手に入るとは限らないところに注意。市販のプロバイオティクスを評価した研究でも、ラベルの表記と具体的な内容が異なっているケースが多かったと報告されている。これについては、消費者がはっきり見極めるのは難しいので、第三者機関のチェックを受けたような商品を選ぶのが吉。

 

 

ってことで、以上をふまえて、6カ月ほどがんばって見てくださいませー。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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