このブログを検索




【質問】砂糖が体に悪いのなら、なぜ果物の糖は大丈夫なんですか?


 

こんなご質問をいただきました。

 

どんな健康の本を読んでも、砂糖を控えるべきだと書いてあります。しかし、同じ本に、果物をもっと食べるべきだとも書いてあることが多いです。

 

果物の糖は問題ないのでしょうか?果物からだろうと清涼飲料水からだろうと、どの種類の糖でもカロリーは同じだと思うのですが。

 

ってことで、砂糖が体に悪いのは間違いないのに、なんで果物の糖は大丈夫なのか?ってお尋ねであります。まぁ果物に入っているといっても糖は糖なので、不思議に思っちゃうケースもあるかもですね。

 

では、この問題の答えを一言でまとめると、

 

  • 果物はそんなにたくさん食えないから

 

みたいになります。もちろん、果物にふくまれる果糖もたくさん摂取したら体に悪いんだけど、体を壊すためにはかなり大量の果物を摂取しなければならないので、現実ではほぼ不可能なんですね。

 

その点で、世の健康本が「砂糖を摂取するな」と指示するときの糖は「遊離糖」を意味しております。これは、食品や飲料に添加される糖類や、蜂蜜やシロップ、果汁などのことで、自然の食品から分離されたもののこと。果物や野菜から糖を摂りすぎるのは至難の業ですが、遊離糖からら過剰な糖分を摂取するのはめっちゃ簡単なんですよ。

 

事実、WHOなんかのガイドライン(R)でも、虫歯や体重の増加といった健康リスクは、遊離糖の摂り過ぎに関係していて、果物や牛乳に自然に含まれる糖は問題にしてなかったりします。さらに具体的に言いますと、

 

 

  • 遊離糖の摂取は1日のカロリーの10%以下にすることが推奨されている。平均的な成人の場合、これは1日約50gで、普通の清涼飲料水に含まれる糖の量をわずかに上回るぐらいのレベル。たいていの人はは、1日の砂糖摂取量の約60%(65g)を遊離糖から摂っていると推定されている。

 

 

  • ジュース、清涼飲料水、お菓子など、遊離糖を含む食品はカロリーが高く、栄養価も低い。そのため、新鮮な果物よりも糖の摂取が多くなりがちだが、たとえば、ジュースに含まれる糖分と同じ量を摂取するには、オレンジを丸ごと6個食べなければならない。しかも、自然の果物よりも飲み物は大量に摂取しやすいので、食事から摂るカロリーに上乗せされることが多く、長期的には大きなダメージを引き起こしやすい。

 

 

  • 同じような理屈から、ドライフルーツもそこまで良いわけではない。果実から水分を取り除く過程で栄養素が濃縮され、たとえばドライアプリコットは、生のアプリコット(100gあたり6g)の約6倍の糖分(100gあたり40g)を含んでいる。その割に、水分が少ないせいで大量に摂取しやすいため、やはりリスクは高くなる(もちろん、加工食品を摂取するよりは格段にマシですが)。

 

 

  • 一方で、加工食品とは異なり、果物には多くの栄養素が含まれている。なんと言っても食物繊維がめっちゃ多く、平均的なバナナ1本で、1日に推奨される食物繊維摂取量の20~25%を摂ることができる(6g)。食物繊維が多ければ、それだけ糖の吸収がスローになるため、糖の摂取によるダメージも抑制される。

    また、果物に含まれる繊維質は満腹感を得るのに役立ち、全体的な食事の量を減らすことにもつながる。これは食物繊維のおかげで胃がふくらむほか、口を動かす回数が増えるせいで、加工食品よりも自然と総摂取量が減る傾向がある。

 

 

  • さらに、果物はカリウムが豊富なので血圧を下げてくれるし、フラボノイドのおかげで心臓病のリスクが下がるしといった複合的なメリットが得られる。そのため、糖が多かったとしても、フルーツを丸ごと食べる量が多い人は、肥満、心臓病で死亡する確率が下がるというデータが多い(R)。

 

 

って感じでして、もちろん果物の糖も摂りすぎれば問題なんだけど、果物を食って体を壊すのは難しいし、それ以上に体に良い成分が豊富なんで、別に問題は起こさないんですな。ってことで、安心して果物を食べていただければと思う次第です。

 

ちなみに、果糖の量が比較的少ない果物としては、以下のようなものがあります。

 

  • アボカド
  • キウイフルーツ
  • カシス
  • クランベリー
  • ラズベリー
  • グーズベリー
  • グレープフルーツ
  • レモン
  • ライム
  • ブラックベリー

 

これらの果物は果糖の量が比較的低く、バランスの取れた食事に取り入れやすいので、ぜひお試しください。どうぞよしなに。

 


スポンサーリンク

スポンサーリンク

ホーム item

search

ABOUT

自分の写真
1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

INSTAGRAM