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一流のアスリートも実践する『プチ儀式』でパフォーマンスを劇的に向上させる方法

 


拙著「ヤバい集中力」では、「プチ儀式」の力で仕事のパフォーマンスが上がるよーって話をしてます。

 

プチ儀式ってのは「自分にとっては意味がある一定の行動や手順」のことでして、一流のアスリートなども使っている定番のテクニックですね。たとえば、テニスプレーヤーのラファエル・ナダル選手は、いつもスポーツドリンクと水のボトルの2つの飲み物を所持するし、2本のボトルを必ずサイドラインのベンチ脇の足元に配置し、 1本は左側にある椅子の前に、もう1本はその後ろに、プレーしているコート側に向かって対角線上にきちんと置くことで知られております。

 

ナダルさんいわく、

 

自分の頭の中で求めている秩序に合わせて、周囲にも秩序を与える。それによって、試合の集中を高めるんだ。

 

とのこと。いつも同じ手順をふむことにより脳が安心し、それによってパフォーマンスが上がるんだよーみたいな話ですね。これはわかるなぁ。

 

でもって、新しいデータ(R)も“儀式”にまつわる話で、トロント大学の先生方が、「なぜ儀式は効果があるの?」って疑問に取り組んでくれていて勉強になりました。ざっくり、どんな実験だったかと言いますと、

 

  1. 研究チームが、誰にでもできる“儀式”を作る。これは、決められた一連の動作で構成され、その行動を何度もくり返すのが重要なポイントになっている(たとえば、小さな物(コインや鍵など)を、決まった特定の方法でテーブルに配置。それらの物を、一定の回数叩いたり、特定の順序で何度も配置したりするくり返しの動作を行う)。

  2. 参加者に“儀式”を伝え、1日1回のペースで、1週間続けて自宅で儀式を行なってもらう。

     

  3. 1週間後、参加者をラボに呼んで脳の活動を測定しつつ、“儀式”の前と後に脳の反応パフォーマンスをチェックするテストを2回行う。みんなに「タスクの成績が良ければ良いほど報酬の額が増えますが、ミスをすると賞金額が減りますよー」と伝えて、プレッシャーを与える。

 

みたいになります。参加者に不安をあたえたうえで、“儀式”によるパフォーマンスの効果を調べたわけですね。

 

すると、結果はこんな感じになりました。

 

  • “儀式”のあとでテストを行った場合は、作業のミスに対する脳の反応が落ち着いた。
  • その結果、“儀式”を使った人は、みなパフォーマンスが改善した。

 

“儀式”のおかげで自分のミスに対する不安が減り、それによってタスクのパフォーマンスが改善したわけですね。言わずもがな、私たちのパフォーマンスが下がる理由の多くは不安にあったりします。世界トップのアスリートですら、不安とプレッシャーで "チョーキング”を起こして、いつもどおりのプレイができなくなっちゃうのは良く見かけるところでしょう。

 

それは仕事の世界でも同じで、プレゼン前の不安、交渉前の不安などで、最高のパフォーマンスが発揮できなくなった経験は誰にでもあるはず。この問題を“儀式”が減らしてくれるなら、ぜひやってみたほうが良いと思うわけです。

 

“儀式”の作り方に決まった手順はないんですが、過去の研究を見ていると、だいたい以下のように進めていくのが良さそうであります。

 

 

  1. 朝のスタートアップ儀式:朝の儀式は、一日のスタートを整えるために、よく使われる技法です。ナダル選手のように、仕事場に到着したらお気に入りの飲み物を特定の場所に配置してもよし、仕事の前にデスク周りを整えてもよし、 5分程度の短い瞑想や深呼吸を行うもよしで、これによって集中力が高まりますんで。


  2. 仕事の合間のリフレッシュ儀式:仕事の合間に儀式を行い集中力をリセットするのも、よく使われる方法です。1時間ごとにデスクから立ち上がって簡単なストレッチをしてもよし、決まった時間にお気に入りの音楽を聴くもよし、短い散歩をするもよし、こちらも好きなものをお選びください。


  3. 特定のタスク前の準備儀式:重要なタスクやプレゼンテーション前に儀式を行うと、本番の不安が減って良い感じです。「私は成功する」「私は準備ができている」といったポジティブな言葉を繰り返すもよし、本番の前に短い時間で内容の確認やリハーサルを行うもよしで、これにより緊張を和らげることができますんで。


  4. 仕事終了後のリフレクション儀式:一日の終わりに行う儀式で、次の日に向けて準備を整えてみるのも有効。その日の出来事や達成したこと反省点などを日記に書くもよし、 その日に感謝することを3つリストアップするもよし、 寝る前に温かいお風呂に入ったり、静かな音楽を聴いたりするのを「これが自分の“儀式”だ!」と定義するもよし。

 

 

ってことで、なんでもいいので一定のルーチンを“儀式”として定義するのは、非常に手軽で効果を得やすいテクニックじゃないかと思います。どうぞお試しあれー。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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