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今週末の小ネタ:ブロッコリーが癌の予防になる説、メタボの男は若ハゲになりやすい説、幸福感とチーズで長寿になる説


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

 

 

 

ブロッコリー、がんの予防になる説

このブログでは、めっちゃ定期的に「ブロッコリーすごい!」って話を書いていて、日本でも有数のブロッコリー大好きブログになりつつあるわけです。

 

で、新しく出たメタ分析(R)も「ブロッコリー超すごい!がんを予防する!」みたいな結論になっててナイスでした。これは35の先行研究をまとめたメタ分析で、そのうち23件が症例対照研究、12件が観察研究だったそうな。参加者の数は約73万人だそうで、かなり大規模でよろしいのではないでしょうか。研究のほとんどはアメリカで行われてまして、 なかには日本で行われた調査もふくまれております。

 

この分析でなにを調べたのかと言いますと、

 

  1. みんなのブロッコリーの摂取量を調べ、ブロッコリーをたくさん食べる人(毎日食べる人〜週1回ぐらいのペースで食べる人)と、ブロッコリーをあまり食べない人(まったく食べない人〜月3回ぐらいしか食べない人)にわける。

  2. ブロッコリーの摂取量と、様々な種類のがんのリスクを比べる。

 

みたいになります。 もちろん、大半の研究はいろんな交絡因子で分析を調整してますが、特定の交絡因子や調整した交絡因子の数は研究によって異なってますんで、そのあたりはご留意ください。

 

は、分析の結果を見てみましょうー。

 

  • 症例対照研究を分析したところ、ブロッコリーをたくさん食べる人は、ブロッコリーをあまり食べない人に比べ、あらゆる種類のがんのリスクが36%低かった

 

  • がんの種類別のサブグループ解析では、ブロッコリーをたくさん食べる人は、肺がん、生殖器系がん、胃がん、大腸がん、膀胱がん、乳がんのリスクが低かった。

 

  • 観察研究では、ブロッコリーをたくさん食べる人は、ブロッコリーあまり食べない人に比べて、あらゆる種類のがんのリスクが11%低下した

 

  • 観察研究における、がんの種類別のデータは限られていたが、ブロッコリーをたくさん食べる人は、前立腺がんのリスクが低下し、大腸がんについては関連が認められなかった。

 

ということで、研究の種類によって数値は異なってきますが、とにかくブロッコリーを毎日食べることによって、あらゆるがんのリスクが下がるんじゃないかって結論であります。ブロッコリーのがんリスク低減効果は昔からよく言われてきましたが、やっぱりスーパーフードである可能性が高そうですねぇ。

 

 

 

メタボの男は若ハゲになりやすい説

メタボの男は若ハゲになりやすいよ!」って研究(R)が出ておりました。

 

これは85人の男性(18~35歳)を対象にした調査で、男性型脱毛症が(MAA)の男性40人と、MAAでない男性45人を集めたとのこと(参加者に明らかな皮膚疾患や自己免疫疾患はなし)。その上で、みんなのメタボリックシンドローム(国際糖尿病連合基準に基づく)の発症率をMAAの有無で比較し、身体測定、血圧測定、血液サンプルを収集したところ、結果はこんな感じになりました。

 

  • 若ハゲに悩む参加者ほど、若ハゲに悩んでいない参加者よりも、メタボリックシンドロームにかかっている確率が高かった(37.5% vs 17.8%)。

 

  • 若ハゲに悩む参加者ほど、HDL(良性)コレステロール値(39.06 vs 43.3mg/dL)、UA値(332.90 vs 376.90μmol/L)、ビタミンD値(21.10 vs 6.70ng/mL)が低かった。一方で、悪玉コレステロールの量は多かった。

 

  • 脂質の代謝産物133種については、若ハゲに悩む人では、セラミドやスフィンゴミエリンの濃度が低いなどの差がみられた。

 

ということで、メタボリックシンドロームは男性型脱毛症と大きな関係があるらしい。まぁ不健康だったら髪が抜けやすくなるってのはわかりやすいですよね。

 

ちなみに、メタボと若ハゲの関係を示したデータは過去にもいろいろありまして、一部の研究(R)​では、特に高コレステロール、インスリン抵抗性、肥満、高血圧などの代謝異常が有意に高い割合で観察されていたりします(ただし、この関係については一貫した結果が得られていないケースもあるんで、研究の方法論や対象者の違いを掘り下げないと、なんとも言えないところもある​ (R))​。

 

メタボと若ハゲが関係する理由としては、いまのところ「インスリン抵抗性が関係しているのでは?」って考え方が主流で、そのせいでホルモンバランスが崩れて脱毛が進行する可能性がしてきされております​ (R)​。また、若ハゲの人は炎症マーカーや酸化ストレスが高まっていることが多く、これもメタボと関連しているかも?って感じですね​ (R)​。

 

もちろん、必ずしも脱毛してる人がみな不健康だとは限らないものの、不健康な人のほうが髪が抜けやすいってのは事実でしょうから、これは気をつけるしかないっすねー。

 

 

幸福感とチーズで長寿になる説

幸福な人は健康的に老化しやすい!あとチーズと果物が良いかも?」って研究(R)が出ておりました。

 

これは精神的なウェルビーイング(幸福感)と健康的な老化の因果関係を調べた研究で、ヨーロッパ系の230万人以上を網羅する8つの遺伝子データセットのデータを分析したもの。 このデータセットには、みんなのウェルビーイング、生活満足度、ポジティブ感情、神経質、抑うつ症状などの情報が含まれていたそうな。

 

その上で、メンデルランダム化って手法を使い、精神的ウェルビーイングの特性と、健康的な老化の指標をチェックしてみたら、結果は以下のようになりました。

 

  • より良い精神的ウェルビーイングと、より健康的な老化の結果との間には強い因果関係がある。 具体的には、精神的ウェルビーイングのレベルが高い人ほど、老化に関連する遺伝子のスコアが有意に高く、レジリエンスが高く、自己評価による健康状態も良く、健康寿命が長かった。

 

  • 例えば、総合的なウェルビーイングの増加は、エイジングGIP(1.21標準偏差)、レジリエンス(1.11標準偏差)、自己評価健康度(0.84ポイント)、健康寿命(1.35オッズ比)の大幅な増加と関連していた。 しかし、総合的なウェルビーイングと長寿(オッズ比1.56)との間には有意な関連は認められなかった。

 

  • 精神的ウェルビーイングと健康的な加齢の関係は、金持ちかどうかとは関係なく持続した。 高所得、高学歴、高職歴は、それぞれ良好な精神的ウェルビーイングと関連していたが、精神的ウェルビーイングが老化の転帰に及ぼすプラスの影響は、これらの社会経済的要因で調整した後でも有意だった。つまり、精神的ウェルビーイングは、金や職業とは関係なく、独立して健康的な加齢に影響を及ぼす可能性がある。

 

  • 精神的ウェルビーイングと健康的な加齢をもたらすライフスタイルとしては、運動、禁煙、チーズや果物を多く摂取するといった食習慣などが有益だとがわかった。

 

ってことで、すごーくざっくり言えば、「精神的に満足した生活を送っていれば寿命が延びるのでは?」って結論になっております。これは、メンタルヘルスと健康的な老化の因果関係を示すナイスな証拠と言えるんじゃないでしょうか(あくまでヨーロッパ圏の結果ですが)。

 

ちなみに、「チーズがメンタルに良いかも?」って話は過去にもあって、ある研究(R)では、定期的にチーズを食べている人は認知機能のスコアが良い傾向にあったそうな。ここらへんのメカニズムは謎ですが、こちらもおもしろい結果ですなぁ。


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