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謙虚さを武器にする方法論はこれだ!という本を読んだ話#1『物静かな人は、いかに自分をアピールすればいいのか?」


 

声はデカくないが、賢いSmart, Not Loud)』って本を読みました。

 

著者のジェシカ・チェンさんは、過去にエミー賞を受賞したジャーナリストで、現在はコミュニケーションスキルの向上を支援する企業であるソウルキャスト・メディアのCEOを兼務。グーグルやハーバードなどのトップ企業と仕事をしているらしい。めっちゃ華麗な経歴ですね。

 

で、本書は「物静かで控えめな人が現代の競争社会を生き抜くにはどうすればいいのか?」ってとこに焦点を当てているのがポイント。みんな子どものときは「謙虚であれ!ただ一生懸命に働け!」みたいに教えられながら育つのに、会社に入ったらガンガン自己アピールするやつが出世するし、そんなに成果も出してないのに自信満々なだけで認められてる人も多くない?って疑問を掘り下げてくれていて、「それはある!」と思う人が多いんじゃないかと。

 

いわば『「静かな人」の戦略書』や『内向型人間の時代』に近い問題を扱った本なんですが、本書は「子どものころに教えられた文化的なコード」にウエイトを置いているのがユニークなところです。そのために提示される処方箋にも納得感が強く、「自己アピールが足りない」とよく叱られがちな私には、身につまされるものがありました。

 

ということで、いつものように本書で勉強になったところをピックアップしてみましょうー。

 

 

  • 仕事で声高に自己アピールするのは難しい。それは、他人から尊大なやつだと思われたくないのかもしれないし、空気を読めないやつだと思われたくないからかもしれないし、単に生まれつき内向的だからかもしれない。

    しかし、最も大きな原因としては、多くの人が「静かな文化的特性」を実践するように育てられながら、「うるさい文化的特性」が期待される環境で働かねばならないパラドックスが起きている点だと考えられる。ここでいう特性とは、私たちが子供の頃にたたき込まれた行動のルールのことである。

 

 

  • 「静かな文化的特性」とは、謙虚さと謙遜を実践すること、話すことよりも聞くことを優先すること、頭を下げながら懸命に働くこと、空気を壊さないように争いを避けることなどの行動を意味する。このような行動を美点とするのは、割と世界的に見られる現象だと言える。

    ところが、実際に仕事を始めてみると、多くの職場で求められる特性の多くは、子どものころの教えとは全く異なることに気づかされる。たとえば、自分の成果を自信を持って語れる特性、会議で恐れずに発言できる特性、時には他人を堂々と挑発する特性、好きでもない相手と人脈作りや社交をする特性などである。

    静かな文化的特性を体現するように言われて育った人間にとって、自分自身をアピールし、自分の考えを主張する行為は、非常に難易度が高い。特にペースの速い企業や競争の激しい環境では、いよいよ難易度が高まる。

 

 

  • とはいえ、世の中を生き抜くためには、自分自身を世界にアピールする必要はある。そのためには、以下のように働き方の意義をとらえなおすと良い。


    • 1.私は相手の関心を満たしている:プレゼンの場、セールスの場、難しい質問に答える場などでは、多くの人が、自分の知っていることをすべて脳内ダンプしはじめ、相手に自分の能力を伝えようとし始める。しかし、その前に、「いま誰と話しているのか?」「彼らは何に関心を持っているのか?」を考え、その答えに沿ってメッセージを調整したほうが、最終的には良い自己アピールになることが多い。


    • 2.私の仕事はみなの役に立っている:なんらかの成果を挙げたら、それについて誰かに語る必要がある。しかし、静かな文化で育った人間にとって、自分自身にスポットライトを当てるのは気まずいため、「自分の仕事や業績がチームや組織にどのような利益をもたらしたか?」にフォーカスすることで、うまく自己アピールできるケースが多い。「組織やチームの求めるものの何を満たしたのか?」「なにかプロセスを楽にするのに役立ったか?」といった疑問の答えを考えることで、自分の行動特性に逆らわずに自己アピールをしやすくなる。


    • 3.フォーカスすべきは解決策である:「静かな文化的特性」で育つと、プロジェクトでミスをしたときや、締め切りに間に合わなかったときなどに、ただ消極的な対処をしがちになる。しかし、これでは積極性のアピールにならないので、「いつ物事がうまくいかなくなったのか?」「どんな解決策が考えられるだろうか?」といった問いかけにフォーカスすることで、対立が起こったときにどのように対処すべきか、全体的な見方ができるようになる。


    • 4.仕事は選り好みすべきである:「静かな文化的特性」で育つと、ただ懸命に働いていれば、いつか誰かが見つけてくれると思い込むことが多い。しかし、頭さえ良ければ昇進できるわけではないし、懸命に働いても周りが気づいてくれるとは限らない。

      この問題に立ち向かうには、量よりも質の高い仕事を見極め、優先順位をつけることを心がけるのがベストである。「どのような仕事がキャリアアップに役立つか?」「特定のスキルを磨くためにはどんなプロジェクトに取り組めばいいのか?」「自分はどんなことで有名になりたいのか?」を考えてみると良い。

 

 

 

  • 「静かな文化的特性」で育った人は、友人、家族、自分が属しているコミュニティなど、自分が大切にしている人たちのために頑張るのがうまい。大事な人たちを擁護し、ケアする重要性を教えられながら育ったからである。

    しかし、その一方で、この価値観を自分に対して適用するのが上手い人は少ない。そのせいで、他人に対してはケアができるのに、自分の人生をしっかりケアできずに失敗してしまう。

    といっても、この考え方を急にキャリアの中で展開するのは難しいので、「ACCT」と呼ばれるフレームワークを頭に入れておき、これをガイドラインにして行動するとよい。


    • 最初の「A」は「自分が欲しいものを求める(asking for what you want)ことを意味する。たいていの場合、周囲の人たちはあなたのことを気にかけてくれているが、彼らに何も言わない限りは、自分の求めるものを与えてはくれない。なにか求めるものがあり、それが自分のキャリアを加速させるとわかっているなら、それを求めることをためらってはいけない。


    • 次の「C」は、「折り返す(circle back)」ことを意味する。どんなにあなたのことを大事に考えている人でも、基本的にはこちらが言ったことをすぐに忘れてしまうのが普通である。人間はそういう生き物なので、「前にも言ったのに……」などと不平不満を持っても意味がない。誰もが忙しいし、他人のことを考えるヒマはない。そのため、自分の要望は常に定期的にくり返さねばならない。


    • 2つ目の「C」は、「勝利を祝う(celebrate your wins)」ことを意味する。良い仕事をしたら、必ずそれを話題にすることである。もちろん、その際は、大げさに自分の成果を触れ回ったり、見栄を張ったりする必要はない。

      具体的には、クライアントや誰かからほめられたら、そのメッセージをSNSでリポストしたり、「参考までに」と一言添えて上司に転送するぐらいでOK。それだけでも自分の勝利を祝い、その事実を他の人にも知ってもらうことができる。


    • 最後の「T」は、「頼みを断る(turning down requests.)」ことを意味する。仕事の時間は限られているため、あまりに多くのことにイエスと答えると、最終的には、実際にやりたいことができなくなる。そのため、大半の頼まれごとは断るように決めておくと、職場で自分の意見を主張し、自分を守ることができるようになる。

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