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筋力の成長をマックスにするためには、どれぐらいタンパク質を摂取すべきか?のメタ分析


 

筋肉を育てるためには、タンパク質が欠かせないのはご存じのとおり。昔は「体重1kgあたり0.8〜1gのタンパク質を摂取しよう!」とか言われたもんですが、このブログでも何度かお伝えしたとおり、近ごろは「体重1kgあたり1.6gを目指すのがいいんじゃない?」って風潮になっているわけです(R)。

 

なので、私はいまのところ、ちょっと多めに体重1kgあたり2gのタンパク質を摂取しております。まぁ年齢ごとに細かい条件の違いはあるんだけど(R)、全体として、体重1kgあたり1.6gのタンパク質ってのは、筋肉を成長させるためのベストな基準と言えるんじゃないでしょうか。

 

しかし、なかには「筋力を育てるためのベストなタンパク質量は?」って疑問を持つ方もいるでしょう。「ワシは筋肉を増やしたいんじゃなくて、筋力が欲しいのだ!」って人も少なからずいるでしょうからね。もちろん、筋肉が多ければ筋力も強い傾向はあるものの、筋力に特化した肉体を手に入れたい方もいるはずであります。

 

では、タンパク質の量を増やせば増やすほど筋力はアップするのかってことで、この問題に取り組んだメタ分析(R)を見てみましょう。ありがたいことに、このメタ分析では「総タンパク質摂取量の増加と筋力トレーニングの筋力に対する相乗効果」を調べてくれているんですよ。

 

このメタ分析は、健康な男女を対象に2週間以上の実験を行ったランダム化比較試験をピックアップしてまして、タンパク質の摂取量と筋力の上がり方を調べております。文献の数は合計82件で、そのうち 59件は何らかの筋トレが含まれており、24件には含まれていなかったとのこと。

 

で、分析の結果について、研究チームは以下のような発見をしております。

 

  • 年齢や性別を問わず、タンパク質を増やせば増やすほど、筋トレによる筋力アップの効果も高まる。ただし、筋トレをせずにタンパク質を増やしても筋力は上がらない。

 

  • 筋力アップに対してベストな効果を得るためには、体重1kgあたり~1.5gのタンパク質が必要である

 

  • 1日あたりのタンパク質摂取量が、体重1kgあたり0.1g増えるごとに、筋力は0.72%ずつ高まる。高齢者は自然に筋力が下がるが、このペースを考えると、約半年分の筋力低下の軽減に相当する。

 

  • 体重1kgあたり2g以上のタンパク質を摂取した場合、体重1kgあたり1.5gのタンパク質よりも筋力向上が~5~8%少なかった(個人的には、この結果についてはあんまり気にしなくてよい気がしますが)

 

ということで、筋肉量よりもちょっとだけ少なめのタンパク質で、筋力の改善量はマックスになるようですね。なので、タンパク質のベストな摂取量を考える時は、とりあえず「体重1kgあたり1.6gを目指すぞ!」という従来の基準を採用しておくのが良いんじゃないかと。

 

ちなみに、日本人の平均タンパク質摂取量は、だいたい体重1kgあたり1.2gと言われております。なので、たいていの人は、もうちょっとだけ1日のタンパク質を増やせば十分なのかもしれないっすね。そう考えると、体重60kgの場合は、1日に96gのタンパク質が必要なので、だいたい以下のようなものを食べるのが良いでしょう。

 

  • 鶏むね肉(皮なし)
    • 100gあたり約22gのタンパク質
    • 約436gで96gのタンパク質

 

  • 牛ヒレ肉
    • 100gあたり約20gのタンパク質
    • 約480gで96gのタンパク質

 

    • 100gあたり約22gのタンパク質
    • 約436gで96gのタンパク質

 

    • 1個(約50g)あたり約6gのタンパク質
    • 約16個で96gのタンパク質

 

  • 豆腐
    • 100gあたり約8gのタンパク質
    • 約1200g(1.2kg)で96gのタンパク質

 

  • 納豆
    • 1パック(約50g)あたり約8gのタンパク質
    • 約12パックで96gのタンパク質

 

  • 牛乳
    • 200mlあたり約6.8gのタンパク質
    • 約2.8リットルで96gのタンパク質

 

  • プロテインパウダー
    • 1回分(約30g)あたり約20gのタンパク質
    • 約5回分で96gのタンパク質

 

また、タンパク質の摂取量問題については、過去に以下のようなエントリも書いてますんで、このテーマに興味がある方はぜひ参照してみてくださいませ。

 

 

 

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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