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高タンパク食が良いのは間違いないが、どこまでの高タンパクなら安全なのか?問題

 


 

このブログでは、適切に筋肉を成長させるためのガイドラインとして、

 

  • 1日に「体重(kg)× 1.6」グラムのタンパク質を摂ろうぜ!

 

と推奨しております。体重が70kgの人なら、1日に112gのタンパク質を摂取するイメージですね。このレベルのタンパク質ってのは、ちゃんと意識しないと達成が難しいので、私はプロテインパウダーなどを使って補完しているわけです。

 

1日1.6g/kgってのは、過去のメタ分析(R)などを基準にした数字で、だいたいの人は、これぐらいのタンパク質を摂っておくと筋肉が最適に育つんじゃないかと思われるわけです。まぁ実際には、ガッツリ筋トレをしている人だと、3.5g/kgのあたりまで筋肉は成長し続けるらしいんですが、これだけの量を摂ろうとすると、今度はビタミンやミネラルの摂取がおざなりになりかねないので、ビルダーでもない限りは、目指すべきではないでしょう。

 

で、新しいデータ(R)も「タンパク質のベストな摂取量は?」って問題を取り上げたもので、

 

  • タンパク質1日1.6g/kgって安全なの?
  • もっとタンパク質を摂ったらどうなるの?

 

といったように、主に高タンパク質の安全性にフォーカスした内容になってます。ネットを検索すると、「高タンパクは腎臓に悪い!」「高タンパクは肝機能を壊す!」みたいな話しを見かけますから、気になるところじゃないでしょうか。

 

そこで、この研究では、筋トレをよくやっている男性48人を集め、全体を4つのグループに分けて16週間の実験を行ってます。

 

  1. 中タンパク質+複合トレーニンググループ:1日1.6g/kgのタンパク質を摂取し、筋トレと有酸素運動の両方を行う。

  2. 高用量タンパク質+複合トレーニンググループ:1日3.2g/kgのタンパク質を摂取し、筋トレと有酸素運動の両方を行う。

  3. 中タンパク質+筋トレグループ:1日1.6g/kgのタンパク質を摂取し、筋トレだけ行う。

  4. 高タンパク質+筋トレグループ:1日3.2g/kgのタンパク質を摂取し、筋トレだけ行う。

 

ってことで、タンパク質の量を1日1.6g/kgと3.2g/kgのどちらかに設定したうえで、みんなの体型や腎臓、肝臓の変化をチェックしてくれたわけです。うーん、ありがたい……。

 

では、結果を見てみましょうー。

 

  • 体型については、どのグループも筋肉が同じように増えていたが、体脂肪率や内臓脂肪の量については、中タンパク質+複合トレーニンググループだけが減っていた

 

  • 運動のパフォーマンスについては、大胸筋、脚力、上半身のパワー、下半身のパワーが、すべてのグループで同じように発達していた。ただし、チェストプレスの持久力については、高タンパク質+筋トレグループだけが向上していた。レッグプレスの持久力は高用量タンパク質+複合トレーニンググループのみ向上していた。

 

  • 体力(VO2max)については、複合トレーニングを行った2つのグループだけに改善が見られた。筋トレだけを行ったグループには変化がみられなかった。

 

  • 肝臓の機能については、1日1.6g/kgのタンパク質を摂取した2つのグループは、GGT、AST、ALTといった数字には変化がなかった。

 

  • 一方で、1日3.2g/kgのタンパク質を摂取した2つのグループは、ともに肝機能の数値が変わり、「もしかしたら良くないかも?」という結果だった。

 

  • 腎臓の機能については、1日1.6g/kgのタンパク質を摂取した2つのグループは、クレアチニンと尿素窒素のいずれにも有意な変化がなかった。

 

  • 一方で、1日3.2g/kgのタンパク質を摂取した2つのグループは、ともに腎機能の数値が変わり、「もしかしたら良くないかも?」という結果だった。

 

ってことで、このデータを見る限りは「1日1.6g/kgのタンパク質なら肝臓にも腎臓にも悪影響がなさそうだなー」って印象ですね。他方で1日3.2g/kgものタンパク質を摂っちゃうと、さすがに問題が出てくるかもしれないわけですね。あくまで短期のデータなんで、長期的にはよく分からんですが、おそらく1日1.6g/kgを守る限りは安全なんでしょうな。

 

研究チームいわく、

 

1日1.6g/kgまたは3.2g/kgのタンパク質は、筋力、筋肉量、パワー、身体のパフォーマンスの適応において、同じぐらいのメリットを示す。下半身のピークパワーを除けば、1日1.6g/kgのタンパク質で、多くの人はメリットを得られるだろう。

 

ただし、1日3.2g/kgのタンパク質を摂取した場合、肝機能・腎機能のマーカーが上昇したため、やはり1日1.6g/kgのほうが長期的には安全だと考えられる。さらに、グループのあいだで比ベルト、垂直跳びと懸垂は、1日1.6g/kgグループのほうが改善のレベルが大きかった。健康ならば、1日1.6g/kgのタンパク質は安全だと言える。

 

とのこと。もちろん、すでに腎臓や肝臓になんらかのダメージがある人は、高タンパクを試す前に医師に相談して欲しいところですが、それ意外であれば、やはり1日1.6g/kg〜2.0g/kgあたりに収めておくのがベストなんじゃないでしょうか。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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