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オメガ3って本当に効くの?を調べた徹底レビュー科学でわかった運動と健康の7つの効果

  

 

オメガ3は健康に良い!」って話はおなじみのものでしょう。EPAやDHAといったオメガ3脂肪酸は、心臓や脳に良い影響を与えることが広く知られてまして、このブログでも何度となく取り上げてきました。オメガ3ってのは細胞膜や神経の材料になる上に、体内ではほとんど作れない「ほぼ必須脂肪酸」なので、食事やサプリでの補給がマストなんですよ。

 

まあ、ただしオメガ3は扱いが難しくて、下手なサプリメントを使うと逆に体調を崩す可能性があるのが難点。いちおう安全に使えるサプリもあるんだけど、個人的には「魚を食べるほうが楽でいいやー」ぐらいに思っております。

 

で、近年は「オメガ3は運動の能力アップにも役立つのでは?」って話も出てまして、そこらへんを調べたレビュー(R)が非常によい感じでした。これは国際スポーツ栄養学会が行ったレビューで、オメガ3とアスリートのパフォーマンスに関して、同学会の公式見解を示す内容になっております。具体的にどんなことを言ってるのかと言いますと、だいたいのポイントは以下のようになります。

 

 

オメガ3が役に立つかもしれない7つのケース

効果1: 持久力が上がる

オメガ3の最大のメリットは、「有酸素運動のパフォーマンス向上」にあるとのこと。具体的には、

 

  • VO2max(最大酸素摂取量)が増える
  • 心拍数が下がる
  • 疲れにくくなる

 

という変化が見られたとの報告が多い。とはいえ、効果が出るには2〜12週間の摂取が必要だし、EPAとDHAの合計で1日3〜5gは必要。市販のフィッシュオイルだと、1日6〜10粒とかになっちゃうので注意が必要かも。

 

 

効果2:筋肉痛の軽減

いわゆる「DOMS(遅発性筋肉痛)」も、オメガ3で軽くなる可能性がある。たとえば、

 

  • 4週間のEPA+DHA摂取で、翌日の筋肉痛が減った
  • DHA単体でも、48時間後の痛みが有意に軽減した

 

といったデータがあるため、この効果については割と有望。ただし「まったく痛くならない」わけではなく、「あくまで軽減される」程度なので過信は禁物。また、痛みの軽減はEPA単体の方が効くという結果もある。

 

 

効果3:筋力アップ(でも筋肥大は微妙)

意外だったのが、「オメガ3で筋肉が大きくなるか?」って問題には微妙な結果が出ている点。若い男性を対象にした研究では、

 

  • 筋トレ+フィッシュオイルでも、筋肉量の増加はプラセボと変わらず
  • ただし、筋力はプラセボより高かった

 

という感じで、筋肉を増やす目的には使えなさそう。ただし、「見た目の筋肉」は増えなくても、「出力」は上がるかもしれないので、筋トレ初心者や高齢者にはメリットがあるかもしれない。

 

 

効果4:免疫力と回復力の底上げ

激しいトレーニングは免疫システムに不調を起こすため、風邪をひいたり体調を崩しやすくなっちゃう。オメガ3はこの問題にも有効っぽくて、

 

  • 炎症性サイトカイン(TNF-αやIL-6など)を減らす
  • ナチュラルキラー細胞の活性を上げる
  • トレーニング後の免疫抑制を防ぐ

 

といった効果が報告されている。ただし、「風邪の発症率が明確に減った」みたいな大規模データはまだ少なく、今後の研究に期待といった感じ。

 

 

効果5:脳を守るかも

「オメガ3=脳にいい」って説はよく聞くが、今回のレビューは「脳震盪や外傷への予防効果」に特に注目している。実際に行われた研究では、アメリカンフットボールの大学選手にDHAを数か月間与えたところ、脳の損傷マーカー(Nf-L)の増加が抑えられたという結果が出たとのこと。

 

これはつまり、「日々頭に衝撃を受ける選手にはオメガ3が有効かも」って話であり、「将来の認知機能を守る」って意味で運動をしている人はサプリを飲んでもいいかも。

 

 

効果6:寝つきが良くなる…かも?

「オメガ3で睡眠の質が上がる」というのも期待が高めな分野だったりする。これまでの研究では、

 

  • DHAがメラトニンの分泌を促す
  • 炎症を抑えてリラックスしやすくなる
  • 魚(サーモンなど)を食べると睡眠の質が向上したという報告もあり
  • DHAのサプリで子どもの夜間覚醒が減った
  • 兵士の昼間の眠気が減った

 

なんて知見が得られていたりする。ただし、EPA単体の影響はまだ不明なところも多く、睡眠目的には「DHAメインのサプリ」が良いかもしれない。

 

 

効果7:腸にもうれしい

最近では、「オメガ3はプレバイオティクス(腸内細菌のエサ)としても働くかも?」という研究も進んでいたりする。面白い研究としては、

 

  • オメガ3で腸内細菌の多様性(α多様性)がアップした
  • 短鎖脂肪酸(特に酪酸)を作る菌が増えた
  • リーキーガット(腸もれ)対策にも効果があるかも

 

みたいな報告が上がっていて、お腹が弱い人にも良いのかもしれない。特に運動中の「お腹の不調」ってのは長距離ランナーにはよくあることなので、腸バリアを守るために試してみるのも良いかも。

 

 

まとめ

ってことで、以上7つのメリットを押さえておけば、とりあえずこのレビューはOKでしょう。あとは「オメガ3をどれくらい、どうやって取ればいいのよ?」ってとこが気になりますが、これについて国際スポーツ栄養学会が何を言ってるのかと言いますと、

 

  • 摂取量はEPA+DHA合計で1日2〜5gが理想
  • パフォーマンス向上には最低でも2週間以上の継続が必要
  • 食事で摂るならサーモン・サバ・イワシなどの青魚を週に2〜3回。フラックスシードやチアシードのALAはEPA/DHAへの変換率が低い(5〜10%)ので注意
  • サプリで摂るなら品質が良いものを。できれば「トリグリセリド型」や「リン脂質型」がおすすめ

 

って感じになります。サプリの品質にさえ注意すれば、オメガ3にいろんなメリットがあるのは確実なので、ぜひ意識して摂取していただければと。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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