ショート動画をダラダラ見る人ほど、失敗から立ち直りにくい?みたいな研究の話
「ショート動画を見始めたら、気づけば1時間たってた!」みたいな経験がある人は多いでしょう。幸いにもというべきか、私はオジサンなので、特にショート動画にはハマってないんですが(普通に見る気がしない)、周囲には似たような問題を訴える人が割とおります。
ってことで、近ごろは「ショート動画ってどんな影響があるの?」ってのを調べた研究が増えてまして、新しく出た論文(R)も、そのへんを調べてくれておりました。短い動画はテンポが速いうえに次々と新しい刺激が出てくるんで、普通に考えれば、私たちのメンタルになんらかの影響がありそうな気がしますからねぇ。
この研究は、中国の高校生1,567人を1年間にわたって追跡したもので、
- TikTokのようなショート動画をどれぐらい依存的に使っているか
- 将来のことをどれぐらい長い視点で考えられるか
- 勉強でうまくいかなかったときに、どれぐらい立て直せるか
といった点をチェックしたんだそうな。ここでいう「立て直す力」ってのは、勉強版のレジリエンスみたいなものでして、たとえば、
- 「テストで悪い点を取ったけど、次は勉強法を変えてみよう」
- 「課題が難しくて失敗したけど、とりあえずもう一度やってみよう」
ってな感じで、勉強の失敗やストレスから回復して、再び学習に立ち向かえるような力を意味しております。
でもって、集めたデータを分析してみたところ、
- ショート動画をダラダラ見ることが多い学生ほど、勉強の失敗から立ち直る力が弱い!
って傾向が見られたんだそうな。「ただ集中力が落ちる」だけじゃなくて、日々の失敗への対処力まで落ちているかもしれないってのは、なかなか興味深いですねぇ。
問題は「目の前しか見えなくなる」ことかもしれない
で、この研究で個人的に「ほー」と思ったのが、ショート動画への依存と勉強の失敗から立ち直る力の間に、未来への見通しが関係していた点であります。どういうことかと言いますと、
- ショート動画をダラダラ見続ける→
- 物事を長期的に考える力が弱くなる→
- そのせいで、勉強の失敗から立ち直りにくくなる!
みたいなメカニズムが働いているのではないか?って話なんですな。
これは直感的にもわかりやすい話でして、たとえば、
- 「今回のテストはダメだったけど、半年後までには改善できればいい!」
と考えられる人なら、一度の失敗はそこまで大問題にはならないじゃないですか。ところが、
- 「点数が悪かった!」
- 「不快だ!」
- 「楽しくない!」
って感じで、目の前の嫌な出来事に意識が集中すると、失敗した瞬間のダメージが相対的に大きくなりますからねぇ。
その点で、ショート動画ってのは、数秒から数十秒単位で脳を刺激し続けるんで、そればっか見ていたら、ほどなく脳が長期的な視点を持ちにくくなり、結果として失敗に弱くなっちゃうんだろうなー、とは容易に想像できるところでしょう。
「ショート動画を見ると根性がなくなる」という話ではない
ただし、当たり前なんだけど、今回のデータから「TikTokで失敗に弱くなる!」とまでは言えないところです。そもそも、もともと将来について考えるのが苦手だったり、学校でストレスを抱えていたりする人ほど、気晴らしとしてショート動画を長時間見る可能性もありますからねぇ。
あと、この研究が問題にしているのは、あくまで「なんの目的もなくショート動画をダラダラ見ちゃう!」って使い方なので、1日にショート動画を少し見るぐらいで、「未来を考える力がなくなる!」とか思う必要もなしであります。
ということで、個人的には、今回の研究から実用的な教訓を導き出すのであれば、
- ショート動画を見たくなった時に、「嫌なことから逃げるためにショート動画を見てないか?」を自問するといいかも?
って感じになるかもですな。たとえば、
勉強で行き詰まる
↓
スマホを見る
↓
短い動画を次々見る
↓
その場では気分が楽になる
↓
勉強に戻らない
みたいなパターンが定着しちゃうと、失敗に対処する能力が鍛えられなくなっちゃいますからねぇ。
なので、今回の研究は、「ショート動画を見ちゃだめ」と解釈するよりは、「何かに失敗した直後は、すぐにショート動画を開かずに、次に何をするかを1つ決める」ぐらいに考えておくのが現実的でしょうな。具体的には、
- テストで失敗したら「次回ひとつ変えること」を書く
- 作業で詰まったら、5分だけ別の方法を試す
- 不快になった瞬間にスマホを開いていないか確認する
ってイメージですかね。おそらく、ショート動画で目の前の刺激ばかりを追いかけるうちに、未来を見ながら困難に対処する習慣が弱くなる可能性はあるでしょうから、心当たりがある人は、ちょっと気にしとくといいでしょうな。



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