肉と卵を食べてもコレステロールは増えないし心臓病にもならない
パレオダイエットでは肉食を推奨していますんで、たまに「心臓に悪いんじゃない?」とか「コレステロールは大丈夫?」などと聞かれたります。今回はそこらへんの話でも。
卵は血中コレステロールに影響を与えない
確かに、「肉や卵を食べるとコレステロールが上がるよ!」なとどよく言われますが、正味な話、この結論は50年も前の研究から出てきたものでして、最近の実験ではまったく支持されてないんですな。
代表的なのは2009年の論文(1)で、世界中の研究データを調べまくった結果、ハイコレステロールな食事(1日に2〜4個の卵を食べまくったりとか)をしても、約8割の人は血中コレステロールのレベルには変化がなかったとの結論が出ております。
ちなみに、残りの2割の人は確かにコレステロールが上がったんですが、それでも一時的にLDL(悪玉)とHDL(善玉)コレステロールの両方の数字が高くなるだけで、結果として心臓への影響は出なかったとのこと。
お肉は短期間しかコレステロールを上げない
次に、お肉にふくまれる脂肪(不飽和脂肪酸)についてですが、こちらは確かに「肉を食べるとコレステロールが上がるよ!」ってデータ(2)はいくつかあるものの、どれも短期間の上昇でしかなく、2〜3週間もすればもとに戻っちゃうんですね。
これは2010年のメタアナリシス(3)でも結論は同じでして、やはり世界中のデータを集めて解析しまくったところ、不飽和脂肪酸の摂取量とコレステロールレベルには、あったとしてもごく弱い関連しかないとのこと。
さらに2012年のメタアナリシス(4)では、糖質制限ダイエットと心疾患の関係について調べたんですが、糖質を減らすと自然に不飽和脂肪酸の摂取量が多くなるにも関わらず、善玉コレステロールの増加が見られたそうな。
また、肉と心臓病の関連についてもかなりのデータがたまってまして、35,000人を対象にした調査(5)でも、58,000人の日本人を調べた研究(6)でも、不飽和脂肪酸と心疾患には関係が見られなかったとか。
体は自然にコレステロールを調整する
こういった現象が起きるのは、体にはコレステロールの量を自動で調節する機能が備わっているから。前提として、体内で使われるコレステロールのうち、25%は食事からとったもので補い、残りの75%は体内で作られるんですが、この比率を肝臓がコントロールしてくれるんですね。
ざっくり言えば、
- 食事のコレステロール量が増える=肝臓がコレステロールの製造を減らす
- 食事のコレステロール量が減る=肝臓がコレステロールの製造を増やす
って仕組みになっております。人間の体には、体重を自動で調整してくれる「セットポイント」と似た機能が、肝臓にも備わっているわけですね。ありがたいことです。
それじゃあ、「なんで人によってコレステロールが急増するの?」「心疾患の原因は何なの?」って疑問がわくわけですが、長くなってきたので今回はここまで。また次の機会にでも考えてみたいと思います。