瞑想で「先延ばし癖」は治るのか?問題
マインドフルネスに関するご質問をいただきました。
【マインドフルネスと先延ばし傾向の関連研究】 って海外ではされているんでしょうか??
パレオさんのブログを読んでいて先延ばし対策にマインドフルネス (特に瞑想)が良いかなと思って、 調べてみたのですが見付けられなかったので、 文献教えていただけると嬉しいです!
とのこと。瞑想をやったら、ついつい仕事を後回しにしちゃう悪癖が治るのではないか、と。なにせ先延ばしは心臓への負担がデカいことがわかってますから、これはどうにかしたいところですねー。
ただ、残念ながら現時点では「先延ばしにマインドフルネスが効くか?」ってデータは存在しておりません。いまのとこマインドフルネスってそこまで研究が進んでいる分野でもないですからねぇ。
ただ、個人的には、マインドフルネスが先延ばしに効く可能性はあると考えています。
このことを考えるために、まずは過去のデータを見てみると、
といったあたりが「先延ばし」にかんする大きな原因だと考えられております。ざっくりまとめると、
- ヒトが先延ばしをするのは感情のコントロールが下手だからだ!
ってのがひとつの結論なんですよ。「さあ仕事をするぞ!」と思っても、作業が難しすぎたり何をすべきかがわからなかったりすると、ネガティブな感情に巻き込まれて急に嫌になっちゃうわけっすね。
さて、ダラダラ癖が感情コントロールの問題ならば、ここにマインドフルネスが効いてくれればOKなわけです。果たして「いまここ」に意識を向けるトレーニングで、ネガティブな感情に強くなれるのか?って問題です。
幸いにも、この点については2012年にトロント大学のマイケル・インズリット教授らが良いレビュー論文(1)を出してくれています。
これは過去の瞑想研究から感情コントロールにかんするものをまとめたもので、その結論だけざっくり抽出すると、
- マインドフルネスは現在に集中する能力を育てる。この能力は身体が発する感情のサイン(後悔で胸が痛い、とか)をよりクリアに感じさせる。
- その結果、ネガティブな感情にハッキリと気づくことが可能となり、コントロールしやすくなる
って感じです。つまり、いつもは「この作業、なんか嫌な気がするなぁ………」ぐらいの認識だったのが、マインドフルネス状態だと「これは作業の難易度が高すぎて怯えているのだ」としっかり認識できるせいで、対策も立てやすくなるわけですね。
もちろん、だからと言って「マインドフルネスで先延ばしが治る!」とはまだ言いづらいんですけど、
- 先延ばしは感情コントロールの問題であるケースが多い
- マインドフルネスはネガティブな感情のコントロールに効く
っていう周辺情報を組み合わせれば、それなりに見込みのある仮説じゃないかと思う次第です。かくいう私もマインドフルネスを意識するようになってから、だいぶ計画の遅れはなくなった気がしますねぇ。