好奇心が高いといいことだらけだけど、やっぱリスクもあるよねーみたいな実験の話
「好奇心って大事よねー」みたいな話をよく書いてるわけです。好奇心が高い人ほど頭もいい傾向がありますし、学習がうまくいくためにも欠かせない要素なもんですから。
もっとも、「好奇心は猫を殺す」なんてことわざもあるとおり、かたっぱしから関心を持ってたら嫌な目にあうケースも増えたりするわけです。小さなことで言えばつい映画のネタバレサイトを見ちゃったり、もっと大きなことでいえばコンセントにシャーペンの芯を突っ込んで爆破させちゃったり(ヤケドして大変だったなぁ……)。
といったところで、新しいデータ(1)も好奇心のダークサイドに触れてて勉強になりました。
これはレディング大学の実験で17人の男性が対象。どんな実験かと言いますと、
- みんなにプロマジシャンの手品動画を見てもらう
- 勝率が16.7% - 83.3%のあいだで変わるクジを見せて、「これに勝ったら手品のタネを教えるよー。でも負けたら電気ショックね」と伝える
- みんなに「どれぐらい手品のタネを知りたいか?」を調べたあと、クジを引くかどうかを決めてもらう
って感じです。こうすると、ヒトの好奇心がどのように意思決定に影響するかがわかるわけっすね。
で、なにがわかったかと言いますと、
- 好奇心が増えるとリスク計算がゆがむ!
ってことです。手品のタネへの好奇心が増せば増すほど、どんなに電気ショックのリスクが高くてもクジを引いちゃう人が多かったんですな。
また、この研究では「食欲は意思決定にどう影響するの?」って疑問も調べてるんですが、やっぱり結果はおんなじ。「クジに当たったらお菓子をあげるよー」と言われた場合も、食欲に比例してリスク計算が甘くなっていったみたい。
ちなみに、研究チームは同時に全体の脳の変化も調べてまして、手品のタネもお菓子も同じように脳の線条体が活性化したことも確認しております。ここはモチベーションとか報酬に関わるエリアでして、要は知的欲求も食欲も同じしくみで動いてるんじゃないの?ってことですな。ラーメンを食べたくなるのも、コンセントにシャーペンの芯を突っ込みたくなるのもモチベーションの働きは同じなんだ、と。
研究者いわく、
好奇心が起きると外的報酬と同じモチベーションのプロセスが起動し、私たちの意思決定にバイアスをあたえる。
ってことで、好奇心のバイアス要素に注意をうながしておりました。
もっとも、わたしは開放性が高いと同時に不安傾向もある人間ですんで、好奇心でリスクにバイアスがかかるのはありがたいことかなーとも思ったしだいです。基本的に慎重な行動を取りがちな性格なんで、好奇心が起動しないと行動が取れないんですよねぇ…。
ちなみに、ご自分お好奇心レベルを判断したい方は、「人生の成功に欠かせない?「認知欲求」を判断するための18問」なども合わせてどーぞ。