「糖質をとりまくると太る!」はどこまで本当なの?のメタ分析
このブログを長らくお読みの方ならご存じでしょうが、私は「糖質制限ダイエット」について、
- 別に積極的にはオススメしないけど、興味があるならやってみたら?でもやりすぎないようにね!
ぐらいのスタンスでおります。「パレオダイエットの教科書」にも書いたとおり、糖質制限だろうが低脂肪食だろうが1年も続けたら効果はほぼ変わらないもんですから。まぁ好きな方法を選んでいただければいいのでは、ぐらいの気持ちです。
で、新たに取り上げるデータ(R)も糖質制限ダイエット関連でして、
- 糖質を食べまくると本当に太るの?
って問題をあつかってます。ご存じのとおり糖質制限ファンのあいだでは「炭水化物は肥満の原因だ!」が基本的なテーマでして、「炭水化物が諸悪の根源!」みたいに言う人もいるわけです(個人的にはまったく信じてませんが)。
では、糖質で肥満になる!って説はどこまで正しいの?ってことで、研究チームは1990〜2016年のあいだに行われた観察研究から22件をまとめたメタ分析になっております。データの信頼度としてはまずますですが、全体のうち14件はバイアスのリスクが低かったみたいですし、なによりも「高糖質 vs 低糖質」の肥満リスクを調べた研究ってほかにないんで、そこはよろしいのではないでしょうか。
その結果がどうだったかと言いますと、まずは「日ごろ食べてる糖質の量と肥満」の関係を示したグラフがこちらになります。
これがどういう意味かと言いますと、かなり微妙ながらも「糖質の摂取量が多い人ほど太る…かな?」ぐらいの結果です。どうやら糖質の量だけで計算すると肥満と関係が出るみたいなんですが、有意差はないのがツラいところです。
さて、やや糖質制限ファンに有利な結果が出たところで、続いては「総カロリーに占める糖質の割合と肥満」のグラフです。
おもしろいことにこちらの結果は上の逆になっております。つまり、微妙ながらも「糖質の割合が増えるほど痩せる……かな?」ぐらいの数字なんですよ。ただし、こちらも有意差は出てませんで、やはり判断には困っちゃうところです。
ってことで、これらのデータをまとめると、
- 結果に大きな食い違いがあるが、いずれにせよ超弱い相関しかない
- どっちも有意差がでてない
のようになりまして、「まぁ糖質の量が増えようが総カロリーの割合が大きくなろうが、肥満とはまず関係ないでしょうねぇ」と言えそうな感じ。もちろん、ここ30年の食習慣の変化が結果に影響してる可能性も否定できないものの、それでもこれだけラインが真ん中にあると「糖質の量を問題にしても無意味じゃね?」とは思っちゃいますな。
ちなみに、論文の最後のほうを読むと、研究チームが「実験デザイン協力」としてティム・ノークス博士に謝辞を捧げてたのがおもしろかったです。ノークス博士といえば超有名な糖質制限の支持者なんですが、この結果をどうみたんでしょうねぇ……。