もっとも心と体に悪影響がデカい「孤独」はどのタイプ?という実験
「最高の体調」では「孤独はいかんよ!」って話にそこそこのページを割いております。なにせ人間は社会的な動物なんで、他人と良いコミュニケーションが築けてないと、心だけでなく体も病んでいっちゃうんですよ。
が、だからといって孤独ならなんでも悪いってわけじゃないのは以前にも少し触れたところです。パリピだろうが孤独に悩む人はいるだろうし、3〜4人しか友だちがいなくても別に問題を感じない人もいるわけです(私のことですが)。
といったところで、孤独で心身を病む人と病まない人の違いはあるの?って問題について調べた論文(R)が出ておりました。
これはトリニティ・カレッジなどの研究で、アメリカで暮らす1839人の男女が対象。年齢は18〜70歳まで散らばってて、過去になんらかのトラウマ的な出来事(事故とか親類の死とか)を体験したことがある人だけを選んだらしい。
研究では、まずいくつかのスケールを使って被験者の「孤独」をチェックしたあと、さらに全員の鬱や不安傾向なども調べて、すべてのデータをまとめております。その結果、全体の17.1%が平均よりも孤独だと判断されたそうで、この数字は、以前に他の国で行われた調査とほぼ同じらしい。孤独の割合ってのは、先進国だとそんなに変わらないのかもですな。
でもって、ここから研究チークはさらに定性的な分析もしてまして、「どんな孤独が良くないの?」ってところまでチェック。孤独のタイプを大きく3つに分けております。
- 社会的孤独:とにかく友人がおらず、属するコミュニティも少ないタイプ。全体の8.2%が該当する
- 感情的孤独:友だちがいようがいまいが、人間関係の質が低くて”親友"と呼べる人がいないタイプ。全体の15%が該当する
- 両性孤独:友人が少ないうえに人間関係の質も低いタイプ。全体の12.4%が該当する
ってことで、もうお気づきかと思いますが、もっともメンタルが強かったのは「社会的孤独」です。このタイプは別に友だちがいなくても精神を病まず、うつ病の発症率もいたって低かったそうな。
逆にメンタルに悪かったのは感情的孤独と両性孤独の2つで、どちらも鬱症状、不安、幸福度の低下などが見られ、体を壊す確率も高かったとか。研究チームいわく、
社会的な孤独がほとんどメンタルに悪影響がないのに対し、感情的な孤独は有意にマイナスなインパクトをもたらすようだ。さらにこの2つが合わさると、メンタルヘルスの状態は最悪になる。
とのことで、要するに孤独については量より質の問題が大きいってことですな。
さらに、この研究から得られた知見としましては、
- 感情的孤独にハマるのは女性が多い
- 中年よりも若い人のほうが孤独の悪影響を受けやすい
- 子供のころにトラウマ的な出来事を体験したケースが多い(トラウマ体験がひとつ増えるごとに、感情的な孤独におちいる確率が28%上がる)
なんてのもありまして、やはり子供時代のトラウマってのは影響力がデカそうっすね。
そんなわけで、孤独にもいくつかのサブタイプがあるよーってお話でした。とにかく人間関係は量より質を目指していただければ、と思う次第です。