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空気を吸っても体内に侵入する「マイクロプラスチック」にどこまでビビるべきか?問題



ちょっと前に「私たちは1週間のうちにクレジットカード1枚分のプラスチックを食べてるぞ!」なんてニュースが流れたことがありまして。


なんでも水道水やボトル入り飲料水には目に見えないサイズの「マイクロプラスチック」が大量にふくまれていて、週の摂取量を計算するとだいたいクレジットカード1枚分になるんだそうな。そのネタもとは50超のデータをまとめたメタ分析(R)でして、なかなか精度が高い話だったりします。


で、実はその後もマイクロプラスチックのデータはいろいろ出てまして、

  • ペットボトルとかナイロンのティーバッグは、カップ1杯分あたり116億のマイクロプラスチックと、31億のナノプラスチックを放出してるみたいですよー(R)
  • 人間がもっともマイクロプラスチックを取り込んでるのは、どうも「大気」がメインソースなのかもですよー(R)

みたいな報告を見かけたりしました。いずれにしても、私たちが日常的に大量のプラスチックを摂取してるのは確実っぽいんですよね。


が、そこで気になるのは、「それってどこまでヤバいの?」ってとこじゃないでしょうか。いか日ごろからプラスチックを食べてようが、人体に問題がなければスルーしても構わないわけですからねぇ。


というわけで、ちょろちょろと読んでたんですが、まず大きな結論から言うと、

  • 基本的に問題はなさそうだがよくわからん……

という感じになりました。いやー、ハッキリしなくてすいませんね。


具体的に申し上げますと、まずはマイクロプラスチックについてまとめてくれたWHOのレポート(R)がとてもいい感じでして、ざっくりまとめると、

  • 現在のマイクロプラスチックなら甚大な健康被害が出るとは考えにくい(マイクロプラスチックは体内に吸収されないはずだから)
  • ただ、ヒトを対象にしたマイクロプラスチックの研究って超少ないので、どうにも断言は難しいよねー

といったところです。そこまでビビる必要もないけど未知数な部分が多すぎる!ってのが現状すかね。


この「ヒトを対象にしたデータが少ない」問題はなかなかムズいところで、確かに今のデータって水生動物を対象にしたものがほとんどでして、魚とかは人間よりもマイクロプラスチックで悪影響が出やすいんですよ。なので、今後のリサーチでどうなるかはまだわからん感じ。


ちなみに、現時点で「マイクロプラスチックどうなのかな?」と思わせるデータとしては、

  • マイクロプラスチックは腸内細菌に悪影響があるかも?(R)

みたいな懸念も出てますが、これが長期的にどう出るかはまったく謎であります。個人的にはお腹が弱いタイプなので、「腸内に悪影響の可能性」とか聞くとビビっちゃうんですけどね。


というわけで、いまのところのまとめとしましては、

  • マイクロプラスチックにはそこまでビビらなくてよい。マイクロプラスチックを過度に恐れるぐらいなら、運動不足とか野菜不足とか睡眠不足のほうに気を配ったほうががメリットは大きそう

  • が、WHOのレポートも最終結論ではないので、マイクロプラスチックの摂取を減らすに越したことはない

ぐらいのとこでしょうか。ムダに恐れる必要はないものの、まぁ日常的に「ちょっとだけプラスチック製品の使用を減らすか……」ぐらいに心がけとくのもアリかと。

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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。