今週の小ネタ：エッセンシャルオイルで血圧低下、IQテストとモチベーション、激しい不安や落ち込みに悩む人の脳
ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
エッセンシャルオイルで血圧が下がるかも？
まずは「エッセンシャルオイルで血圧が下がるかも？」みたいなデータ(R)のお話です。どんな実験だったかというと、
- 100人の健康な男女を集める
- ベルガモットのエッセンシャルオイルを2時間ほどかいでもらう（超音波アロマディフューザーを使用）
- 被験者の心拍数や血圧をチェック
みたいになっていて、そこで確認された傾向というのが、
- アロマを15〜60分ほどかいだあたりから、被験者の血圧や心拍数が下がり始めた
だったそうな。具体的にはアロマを45分ほどかいだ人は平均の最大血圧が2.10 mmHg低下したらしい（ただし60分の時点では0.89 mmHg）。
が、そこからさらにアロマをかぎ続けると、今度は逆の作用が出てまして、
- アロマを120分かいだら逆に血圧と心拍数が上がった！
なんて傾向も確認されてたりします（最大血圧2.19 mmHg上昇）。まぁ100人の研究なんでよくわからんとこも多いですが、「アロマは長時間にわたってかぎ続けちゃいけないのかも？」って気もしてくるわけです。アロマユーザーは心にお留めおきいただくといいかもしれません。
IQテストの結果はモチベーションの有無で結構変わる
「IQテストの結果って”ごほうび"で上がるんじゃない？」というデータ(R)が出ておりました。これは「やり抜く力 GRIT(グリット)」でおなじみアンジェラ・ダックワースさんの論文で、「モチベーションがIQのスコアにあたえる影響」を調べてくれております。
具体的には過去のリサーチに関するメタ分析をしてまして、こんな結果が出たんだそうな。
- ベースラインのIQが平均より高い人の場合は、モチベーションが高いかどうかは標準偏差の4分の1を左右する
- ベースラインのIQが平均より低い人の場合は、モチベーションが高いかどうかは標準偏差をまるまるひとつ分左右する
というわけで、もともとのIQが低い人ほどモチベーションが重要になってくるのではないか？ってことですね。
研究チームいわく、
IQのスコアは長期的な成果をかなりの精度で予測する。
しかし、今回の研究で問題にしたのは、賢い人々が人生をうまくやっていけるのはIQが高いからだけなのか、それともそこにはモチベーションの高さが絡んでいるからなのか、というポイントだ。
ってことで、「IQテストの成果にはモチベーションの有無が結構な役割を果たしてるんだよー」って点が強調されておりました。言い換えれば、もともとIQが低くても自分のモチベーションを調整できればリカバーが効くかも？ってことでして、なかなか良い話じゃないでしょうか。
激しい不安や落ち込みに悩む人の脳
ブリティッシュコロンビア大学が興味深いメタ分析(R)を出していて、
- 先行研究から9,000人以上の脳スキャンデータを集める
- 4755人の健康な成人と、気分障害や不安障害に悩む4507人の脳活動を比べる
みたいな研究を行っておりました。すると、これで何がわかったかといいますと、
- 激しい不安や落ち込みに悩む人たちの脳では、下前頭前葉皮質、頭頂皮質、中皮、下垂体領域の活動がかなり低下している
だったそうです。ここらへんはヒトの認知や感情のコントロールを司る脳のエリアでして、さもありなんですなーという気がするわけですね。
で、もうひとつ見つかった知見としては、
- 激しい不安や落ち込みに悩む人たちの脳では、前帯状皮質と扁桃体がやたら活性化してる！
ってのもありまして、こちらはヒトの感情や感覚をつかさどるエリアでして、こちらもそうでしょうなー、みたいな。
もちろん、この結果をすぐに不安の解消に活かすのはムリなんですけど、とりあえず脳の活性パターンがハッキリしただけでも、これからの治療法の発展に期待できるよなーとか思った次第です。
