パレオダイエット界で「免疫改善スープ」として有名なボーンブロスにはどこまで信頼性があるのか?問題
というわけで、今日のお題はボーンブロスです。「パレオダイエットの教科書」のレシピパートでも取り上げたとおり、鳥の骨や牛骨をグツグツ煮込んでから余分な脂を取り除いたスープのことですね。
というのも、こんなご質問をいただいたものですから。
鈴木さんはかつてボーンブロスをよく飲んでらしたと思うのですが、その後はブログに出てきてませんよね。当時はボーンブロスには十分なデータがないとのことでしたが、それから進展はあったのでしょうか。
とのことで、確かに2016年にボーンブロスを取り上げたものの、それ以降は何も書いてませんでしたね。これは、別に私がボーンブロスを飲まなくなったからではなく、
- それからまったく新しいデータが出てこない!
からです。ボーンブロスとえば昔から海外のパレオダイエッターのあいだでは定番メニューで、「免疫系が改善!」やら「美肌に効く!」なんて主張を見かけたりしたもんです。ただ、ボーンブロスにそこまでのメリットがあるのかどうかは正直なところ謎でして、やっぱまだまだ研究が進んでないのが現状だったりはします。
いまのところのざっくりした状況だと、
- 2000年の生体外研究(R)によれば、チキンスープが好中球の働きを抑えた(つまり、炎症を抑える効果はあるのかもしれないが、世間で言われるように免疫系の改善効果があるわけではない)
- かなり古い論文(1978年)ですが、15人の健康な男女を対象に2000年実験では、「冷たい水を飲んだグループ」と「鶏ベースのスープを飲んだグループ」をくらべたところ、ちょっとだけ風邪が改善した(R)
ぐらいのデータしかないもんで、そんな声高に「ボーンブロスを飲むべし!」とは言えないわけですが、いっぽうで鶏ガラや牛骨のスープには、
- ホエイプロテインとかには少ないタイプのアミノ酸が豊富
といった傾向がありまして、ここらへんはちょっとしたポイントかなーと思います。具体的には「プロリン」や「グリシン」といったアミノ酸が多い傾向がありまして、要するにゼラチンやコラーゲンと似たような組成になってるわけですね。
で、ゼラチンやコラーゲンについてはちょこちょこ研究が進んでまして、
- ゼラチンにより腸内のバリアを守る機能がアップした(R)
- ゼラチンで子供の下痢が改善した(R)
- 97人の男女を対象にした実験では、コラーゲンで関節痛が改善した(R)
みたいなところがあったりします。ゼラチンが腸にいいかも?ってのは昔から言われてきたことでして、そのせいで一部では「ボーンブロスがリーキーガットに効く!」みたいに言われてる部分があるわけっすね。
ってことで、いまんとこ間接証拠しかないので「絶対のおすすめ!」とはとても言えないものの、
- ふだんからホエイプロテインや鶏胸肉をメインのタンパク源にしていて、プロリンやグリシンの摂取量が少ない
- お腹の調子が良くないので、ちょっとでも改善したい
といった方は「ボーンブロス」を取り入れてもいいかなーと思っております。普通においしいですしね。