今週末の小ネタ:睡眠不足でネガティブ爆発、果糖で高脂肪のダメージ爆発、なぜ人間は自分を金持ちだと思えないのか?問題
ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
睡眠が足りないとネガティブな感情に負けやすくなるぞ!
睡眠不足はメンタルに悪い!なんてのはいまさら言うまでもないことですけど、「睡眠不足は具体的にどれぐらいメンタルを病むのか?」ってのを調べた小規模実験(R)が出ておりました。主筆は「睡眠こそ最強の解決策である」のマシュー・ウォーカーさんで、まさに睡眠研究のプロっすね。
これは18人の若者を対象にした研究で、MRIと睡眠ポリグラフ検査を使って2つの状況の脳の変化を調べております。
- 一晩ぐっすり寝た後で、ネガティブな感情をかき立てる動画を見る
- 24時間まったく寝ていない状態で、ネガティブな感情をかき立てる動画を見る
それでどんな違いが出たかと言いますと、
- 徹夜の場合は、不安感が30%も高まる!
- 脳スキャンでも、脳の不安コントロール機能(前頭前皮質)の働きが低下していた
だったそうです。要するに、睡眠が足りないとネガティブな感情のブレーキが壊れ、必要以上に不安を感じちゃうわけですな。
チームいわく、
私たちは、深い睡眠の新たな機能を特定した。深い睡眠は脳のコネクションを再編成することによって、不安を軽減する働きを持つのだ。
ってことで、無闇にネガティブにならないためにも、やっぱぐっすり眠っておきたいですねー。
高脂肪食のデメリットを糖がさらに悪化させる?みたいな話
甘いものの取りすぎが良くないのは当然のことですが、当然、ひとくちに「甘味」といってもいろんな種類があるわけです。代表的なのは「ブドウ糖」と「果糖」の2つで、それぞれ体内での処理のされかたが違うのも有名な話でしょう。
それでは、実際のところ「両者を大量に取るとどんな違いがあるの?」ってとこが気になるわけですが、そこんとこを調べたマウス実験(R)が出ておりました。
これはオスのマウスを6つのグループに分けた研究で、
- いつもの食事をする
- いつもの食事に大量の果糖を追加
- いつもの食事に大量のブドウ糖を追加
- 高脂肪食を食べる
- 高脂肪食に大量の果糖を追加
- 高脂肪食に大量のブドウ糖を追加
といったパターンの食事を与えて10週間の経過をみたんだそうな。そこでどんな違いが出たかと言いますと、
- 高脂肪食をとったマウスはみんな 40-60%の範囲でデブっていた
- が、これに加えて果糖を取ったマウスはインスリン抵抗性が悪化し、血糖値も高くなっていた(高脂肪食+ブドウ糖グループには、同じような傾向は見られなかった)
ってことで、どうも果糖は高脂肪食のダメージをさらに悪化させる可能性があるみたい。
チームいわく、
果糖は肝臓に脂肪を蓄積させる。つまり、食事にさらなる脂肪を追加したような働きをするのだ。
とのことで、なんだか恐ろしいことになっておりますが、だからといって、この結果だけ見て「果糖怖い!フルーツもやめよう!」とはならないのでご注意ください。
この研究ではあくまで大量の果糖を使ってるんで、日常的に加糖飲料やフルーツジュースをがぶ飲みする人には当てはまるかなーぐらいの内容ですんで。事実、多くの研究では「フルーツはダイエットに効果的!」って結論なので、あくまで好きな果物を丸ごと食べているだけなら何の問題もないです。
ただ、この果糖の特異性は知っといて損はないので、押さえておくといい感じですねー。
なぜ人間は自分を金持ちだと思えないのか?問題
最後に「The Broken Ladder」って本に出てた小ネタをひとつ。人間が幸福にすぐ慣れちゃうのは有名な話で、どんなに金を儲けようが、どんなに良い家に住もうが、すぐに順応してさらに上を求めるようになるってのは皆さまご存じでしょう。いわゆる「快楽のトレッドミル」ってやつです。
で、著者のキース・ペイン博士の研究によれば、私たちは常に「現在の年収の3倍の人こそ『本当の金持ちだ!』」と思ってしまう傾向があるんだそうな。つまり、
- いま年収が400万の人にとっての真の金持ちは年収1200万
- いま年収が700万の人にとっての真の金持ちは年収2100万
- いま年収が1000万の人にとっての真の金持ちは年収3000万
ってことでして、この感覚を意識して取り除かない限りは、人間はいつまでたっても「自分は金持ちだ!」と思うことができないわけっすね。まぁこのあたりは、たまに大金持ちと会ったりすると感じることではありますなぁ……。