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「自分は無能だ……」となぜか考えてしまう問題を解決するにはどうすればいいの?みたいな話

 

だいぶ前の話ですが、このブログでかつて「インポスターシンドローム」って心理状態について書いたことがありました。くわしくは「つい頑張りすぎる人にありがちな「インポスターシンドローム」の罠」をご覧いただければと思いますが、すごーく簡単に言っちゃえば、

 

  • それなりの能力を持っているにも関わらず、「自分は本当は無能なのに他人をうまくダマしているだけなのだ……」と感じちゃう

 

といった感じのメンタリティを意味しております。わりと現代人のあいだでメジャーな感覚だと考えられていて、かくいう私も似たような感情に襲われるケースがしばしばだったりします。

 

といったところで新しい研究(R)は、このインポスターシンドロームを解消するにはどうすればいいの?って問題に取り組んでいて、似たような感情にお悩みの方には有用でしょう。

 

 

これがどんな研究だったかと言いますと、まずは20件の深層インタビュー(質的研究で使用されるインタビューの方法)を行いまして、

 

  • 参加者がどれぐらいインポスターシンドロームの感情に襲われているか?
  • その感情から逃れるためにどんな行動を取っているか? そして、その行動はどれぐらい実を結んだか?

 

ってところをチェックしたんだそうな。すると、インポスターシンドロームの対策として、ある人は「スポーツで気分を上げる」と答え、またある人は「ゲームで気をそらす」との解答だったんですが、なかでも効果的だったのは、

 

  • 同じ仕事や作業をしている人たち”以外”のコミュニティにサポートを求める

 

だったそうです。つまり会社内でインポスターシンドロームに悩んでいる場合は、社内の同僚じゃなくて、それ以外の親友や家族、または完全な部外者に自分の気持ちを吐き出したほうがメンタルは保たれるんだ、と。

 

 

この研究では、続いて213人の若者にも似たような調査を行っていて、その結果はやはり同じ。同じ作業に取り組む仲間たちにサポートを求める回数が多い人ほど、逆にインポスターシンドロームに悩まされる傾向が強くなり、無能感や自分の能力への自信を失っちゃう傾向があったんだそうな。

 

 

ちなみにこの研究では、全体の約20%にインポスターシンドロームの傾向が確認されたそうで、これが事実ならばかなりの数ですな。

 

 

研究者いわく、

 

外部のグループにサポートを求める作業は、学生たちにより大きな視点からものごとを見るのを助け、グループの参照点を再調整できるようにしてくれる。

 

外部のグループに手を伸ばしたところ、学生たちは「自分が無能だと感じたのは狭い分野での話だった」と考え、より全体的に自分自身を理解することができるようになった。

 

インポスターシンドロームの根っこにある原因は、あなたが「まわりの人たちは自分の本当の姿を知らない」と考えてしまうところにある。「まわりの人たちは、私の本当の姿を好きでいるわけではなく、彼らが本当の自分を知ったら好きではいてくれないだろう」と考えてしまうのだ。

 

とのこと。要するに「科学的な適職」にも書いたような「視野狭窄のバイアス」がインポスターシンドロームの原因だ!ってわけで、我が身を振り返ってもそんな気がするわけです。その点で、いつものグループから離れたコミュニティに助けを求めるってのは、確かに視野を広げる効果を持つのかもしれんですなぁ。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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