つい頑張りすぎる人にありがちな「インポスターシンドローム」の罠
インポスターシンドロームってなに?
こないだ読んだ「〈パワーポーズ〉が最高の自分を創る」でおもしろかったのが、「インポスターシンドローム」に関する章。
「インポスターシンドローム」は、なにかを上手くやりとげたにも関わらず、
- いつか誰かに自分が無能だとバレるに違いない…
- 今回はたまたまラッキーだったたけだ
- まったく上手くできてない…
- 自分はいまの立場にふさわしくない…
とか思っちゃう心理状態のこと。日本語では「詐欺師症候群」などと呼ばれてまして、心当たりがある方も多いのではないかと。
かくいうわたしも、いまだに新しい本を作るたびに「今回は奇跡的にできただけで、次はとても無理だ…」などと悩んでおります。20年もやってるんだから、そろそろ慣れても良さそうなもんですが。
どんな天才でもインポスターシンドロームにはかかる
これは、どれだけ天才だろうが起きる現象で、「〈パワーポーズ〉が最高の自分を創る」でも、小説家のニール・ゲイマンがインポスターシンドロームに悩んでいるって話が出ておりました。あの天才作家ですら悩む問題なわけですね。
ちなみに、ドミニカン大学の調査(1)とかだと、どんなに社会的に成功した人でも、70%は必ずインポスターシンドロームに悩むんだそうな。なかなかの割合ですな。
成功しても「無能がバレてしまう…」と悩みがち
インポスターシンドロームの研究で有名なバレリー・ヤング博士によれば、インポスターシンドロームの特徴は、こんな感じ(2)。
- 成功しても「誰かをダマしてしまった…」と思いがち
- 成功しても「すぐに自分の無能がバレる…」と思いがち
- 全体的には成功してるのに、小さな失敗に悩みがち
- 「こんなの誰でもできんじゃね?」と思いがち
- 自分の成功を幸運とタイミングのせいにしがち
- 建設的な批判でも「自分が無能なせいだ!」と思いがち
以上のどれかに心当たりがあれば、インポスターシンドロームの素質があると申せましょう。
「自信がない状態」にかなり近いですが、インポスターシンドロームの場合は、自分の能力に自分の感情がうまく納得できないところがポイント。なんとなく感情が切り離されたような気分になっちゃうんですな。
働き過ぎの人にありがちな負のサイクル
こういった現象が起きる理由には諸説ありますが、ジョージア州立大の論文(3)などを見ますと、失敗への恐怖が強い人ほどインポスターシンドロームにかかりがちな傾向がある模様。まぁそうでしょうね。
でもって、いったんインポスターシンドロームにかかると、
- 失敗の恐怖から逃れようとさらに頑張る
- でも必ず失敗は起きるので、結局はヘコむ
- インポスターシンドロームが悪化!
- さらに失敗しないように頑張る
- ますますインポスターシンドロームが悪化!
みたいな負のサイクルにハマっていくそうな。こうして見ると、働き過ぎの気がある人なんかにも当てはまりそうな心理ですね。うーん、自分にも心当たりが…。
インポスターシンドロームに立ち向かうには?
インポスターシンドロームの解決策はハッキリしてないものの、以下の方法が有効だと考えられております。
- とりあえず誰かに話す:まずは誰かに「俺はインポスターシンドロームだ!」と相談してみるのが吉。誰かに離しちゃえば、とりあえず「誰かをダマしてる…」と思っちゃう問題は解決されますからね。その際は、自分と同じようにインポスターシンドロームの問題を抱えてそうな人を選ぶと、さらに癒やしの効果が上がる感じ。
- 「最高の選択肢」を探すのを止める:インポスターシンドロームは完璧主義の問題に近いので、適度なところで満足する態度を育てるのが大事。これはバリー・シュワルツ博士が主張していることで、さらにくわしくは「『最高の選択をする方法』は『最高の選択肢』を探すのを止めること」をどうぞ。
- 成長マインドセットを育てる:成長マインドセットは、有名心理学者のキャロル・ドゥエック博士が提唱してる概念。「人間の能力は変えることができる!」と思うことで、すべての失敗が成長の糧になり、結果として失敗への恐怖感が消えるというんですな。くわしくは「成長マインドセットの育て方」などをどうぞ。
というわけで、基本的にはいかに失敗の恐怖をとりのぞいていくかがポイントになりそうです。なにはともあれ、まずは自分がインポスターシンドロームに入り込んでいるのを自覚するのが大事なんで、心当たりがある方はお試しください。