シカゴ大調査「『やるかやらないか』で人生を迷ったら、とりあえずやってみるべし」
人生の重要な問題はどうやって決めれればいいの?
「人生の決断に迷ったらとりあえずやってみろ!」って実験(1)がおもしろいです。
論文の作者は、シカゴ大の経済学者であるスティーブン・レヴィットさん。日本でも「ヤバい経済学」や「0ベース思考」で有名な学者さんですね。「ヤバい経済学」は相当におもしろい本なので、未読の方にはぜひ一読をおすすめ。
で、新たな実験でレヴィットさんが取り組んだのが、「人生の重要な問題はどうやって決めれればいいの?」って疑問であります。「仕事を辞めるべきか?」や「結婚すべきか?」や「家を買うべきか?」といった人生の岐路に立ったとき、わたしたちはどうやって決断すればいいのか?と。
コイン投げで人生はどう変わるのか?
なんとも科学的な答えが出しにくそうな問題ですが、そこで教授は以下のような「架空のコイン投げができるサイト」を作ったんですな。
サイトの使い方は簡単で、いまの自分が「やるべきかどうか」で悩んでいることをメッセージボックスに記入したら、あとは画面上の架空のコインを投げるだけ。表が出たら悩んでいることを実行し、裏が出たらその悩みは取りやめるようにうながすメッセージが出る仕組みであります。
教授は1年をかけて約4,000人の悩みを収集。そあとで各ユーザーに追加の調査を行い、実際に彼らの人生がどう変わったかをチェックしていったんだそうな。おもしろい実験ですなぁ。
悩んだらとりあえずやってみたほうが幸せになる
で、まずは全体的なユーザーの傾向から紹介すると、
- もっとも多い悩みは「いまの仕事を辞めるべきかどうか?」で、2番めは「離婚するべきかどうか?」だった
- サイトを使ったユーザーの63%が、実際にコイン投げの結果に従った
って感じ。意外と半数以上の人がコイン投げで人生を決めたみたいっすね。
そして、 このあとで参加者へメールでインタビューを行ったところ、
- コイン投げの結果に関わらず、とにかく今の悩みを実行に移した人ほど半年後の幸福度は高かった
- 悩みのレベルが高ければ高いほど(仕事や結婚に関する問題など)、実行に移したほうが幸福度は高くなりがちだった
みたいな感じ。人生において「やるかやらないか」で迷ったら、とりあえずやってみたほうが幸福度は高くなりやすいんだ、と。
悩んだ時点で答えは決まっている
こういった現象が起きる理由について、レヴィット教授は、「人間には現状を維持したいバイアスが強いからじゃない?」と推測しております。
たとえば、「俺や仕事を辞めるべきだろうか?」って悩みが浮かんだ時点で、その人のなかでは、すでに「辞めたほうが幸せになれる!」って確証があるはずなのに、バイアスのせいでダラダラと悩んでしまいがちなんだって話です。コイン投げは、その後押しをしただけなんですな。
まぁ、正直なところ、この結果がどこまで一般化できるのかはよくわかりません。なにせ、この実験の参加者は「ヤバい経済学」のファンばっかりなんで、もともと経済学的な思考に慣れている可能性が大きいですからね。
ただし、多くの人に「現状維持バイアス」が備わっているのは間違いないんで、「そのせいで今の幸せが下がってないか?」と考えてみるのは悪くないかと思います。なんだったら、コイン投げで人生を決めちゃうのも意外と正しいのかもしれんですしね。