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今週半ばの小ネタ:ヨガでメンタル改善、冬の日光不足と砂糖の増加とうつ病と、人生の意味が必要な年齢

Summary


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。   

 

 

やっぱヨガはメンタルの改善によさげだなぁ……

ヨガがどこまで健康にいいのか?って疑問には諸説あるわけですが、ここ数年は「ヨガはメンタルにいい!」って報告が増えてまして、不安や落ち込みの緩和に使うのはアリじゃないかなーとか思ってる今日この頃でございます。なんせヨガはマインドフル訓練に近いとこがあるので、そこらへんが効いてるのかなー、とか。

 

 

でもって、直近のデータ(R)も「ヨガは不安や鬱に効きそうだよ!」って結論でして、具体的にどんな研究だったかと言いますと、

 

  1. 鬱病に苦しむ30人の患者さんに協力を頼み、ヨガを学んでもらう
  2. 全体を半分に分け、「3ヶ月で87時間のヨガ」「3ヶ月で123時間のヨガ」という2つのグループに分類
  3. 不安や鬱のスコアがどう変化したかをチェックする

 

みたいになってます。ここで採用されたヨガはアイアンガーヨガっていう流派で、ひとつのポーズをわりと長めにキープするのが特徴でして、数あるヨガのなかでも割と瞑想的な要素が大きいメソッドっすね。

 

 

チームいわく、

 

薬の効果を調べるとき、私たちはさまざまな量を投与して影響をチェックする。ここでは、同じコンセプトをヨガで使った。

 

ってことで、果たしてヨガのドーズレスポンスはどうなのか?ってポイントを調べてくれたわけですな。

 

 

でもって、どんな結果だったかと言いますと、

 

  • ヨガの実践時間に関わらず、両グループの不安が減り、睡眠が改善し、精神的な落ち着きが増えた

 

みたいな感じになってます。いちおうヨガを大量にやったグループほど改善レベルが大きい傾向もあったものの、有意差はなかったらしい。ヨガのメンタル改善効果は納得ですが、用量でほぼ差が出なかったのは不思議なもんすね。

 

 

まぁいずれにせよヨガがメンタル改善に効くって説はかなり見込みがありそうなので、瞑想に飽きたらない方は試してみてもいいんじゃないかと思うわけです。

 

 

 

冬の日光不足と砂糖の増加とうつ病と

続いてはカンザス大学のデータ(R)で、こちらも結論から言っちゃうと、

 

  • 砂糖の取りすぎで鬱になるかもよ!

 

みたいな感じになります。これは「砂糖の消費とメンタル」に関する先行研究を調べたレビューで、まず大きな結論分を引用しますと、

 

甘いものは、私たちにドラッグのような作用を及ぼす。

 

砂糖はすぐに気分を高揚させる効果があるが、食べすぎると逆に長期的には有害な結果をもたらし、気分の悪化、幸福感の低下、炎症の増加、体重の増加を引き起こす。

 

みたいな感じ。つまり、大量の砂糖が体内に炎症を起こし、その結果として鬱になっちゃうというこのブログではおなじみのメカニズムであります。

 

 

さらに本論では「特に冬はヤバいよねー」って指摘もされてまして、

 

多くの人にとって、冬は日光を浴びる量が減少するせいで概日リズムが乱れ、健康的な睡眠が取れなくなり、人口の5〜10%の人を本格的な鬱病に追い込む。

 

とのこと。冬はただでさえビタミンDの産生量が減るうえに、飲み会などが増えるせいで砂糖の消費量も増加し、最終的にメンタルが落ち込みやすくなるのだ!みたいな話ですね。みなさまも、この時期のビタミンDと砂糖にはくれぐれもお気をつけください。

 

 

 

人生の意味が必要になる時期は年齢によって違う

人生には意味の感覚が必要だ!とはよく言われることですが、新たに「人生の意味が必要になる時期は年齢によって違うのでは?」とのデータ(R)が出てておもしろいです。

 

 

こちらは様々な年齢層から集めた1042人にインタビューを行った研究で、みんなに「どれぐらい人生の意味を感じてますか?」やら「人生の意味をどれぐらい感じたいですか?」みたいな質問をしまくったんですよ。そこでわかった傾向について、チームはこう申しておられます。

 

20代などの若い年齢のときは、自分のキャリアや人生のパートナー、人間としての自分についてはっきりした信念を持つことは難しいだろう。その結果、他の年代よリモ人生の意味を探すことになる。

 

これが30代、40代、50代になると、結婚して家庭を持ち、仕事にもすっかり慣れ、周囲の人間関係もより強固なものになるはずだ。結果として人生に何かを求める気持ちは減り、人生の意味は増加する。

 

ところが、60歳を過ぎると再び状況は変わり始める。この時期になると私たちは仕事をリタイアし、アイデンティティを失い始めるケースが多いのだ。

 

と同時に健康問題も起こり始め、友人や家族も少しずつ亡くなり始めるだろう。その結果、私たちはかつて抱いた人生の意味が変わったことに気づき、人生の意味を再び探し始める。

 

というわけで、人間が意味を求める気持ちはライフステージによって変わり、特に20代と60代が顕著なんじゃないか?って結論ですね。まぁこの研究はアメリカで行われたものなんで、日本でも同じ傾向が出るのかは不明ではありますが、大筋ではあんま変わらなそうな気がしますねぇ。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。