ネガティブ思考がグルグルし続けてると頭が悪くなるかもしんないぞ!という観察研究の話
このブログでは「反すう思考は体に悪い!」って話はをよく書いてたりします。反すう思考ってのは「俺はダメだ!」みたいなネガティブ思考を頭のなかで何度もくり返すことで、この傾向が強い人ほど鬱っぽくなるし、体調を崩す確率も高くなりやすいんですよね。
でもって、新しいデータ(R)は「ネガティブ思考がグルグルし続けてると頭が悪くなるかもしんないぞ!」って感じになってて、なんとも嫌な感じでありました。
これはUCLの研究でして、55歳以上の男女292人を対象に、「ネガティブ思考の反復とアルツハイマーにはどんな関係があるのか?ってのを調べたものです。具体的にどんな調査だったかと言いますと、
- 参加者のアルツハイマーリスクを3つのポイントでチェック(主観的な認知機能の低下、脳のアミロイドレベル、嗅内野におけるタウの蓄積)
- みんなの反すう思考、不安、抑うつ症状などがどれぐらいあるか?
- 注意力、遅延記憶、即時記憶、言語、空間認知などをテストで測定
- 全てのデータをひっくるめて関係性をみる
みたいな観察研究になってます。慢性的にネガティブなことを考えている人は、脳の機能にも悪影響が出ちゃうんじゃないか?ってのを調べたわけですね。
その結論をひとことで言うとこんな感じです。
- ネガティブ思考がいつも頭をグルグルまわってる人ほど、認知機能の低下が早く、さらに脳内にアミロイドやタウがたまりまくっていた
予想どおり、慢性的なネガティブは認知の低下と相関してたみたいっすね。研究チームいわく、
反復的なネガティブ思考は、独自のメカニズムで認知症リスクを高める可能性があり、アルツハイマーの新たな危険因子なのかもしれない。
似たような事例は過去の研究(Gimson,2018)などでも確認されており、慢性的なネガティブな思考パターンが認知症リスクを高める可能性はある。もちろん、短期的なトラブルによる悩みが認知症リスクを高めるという証拠はない。
ってことなんで、悲観的な思考スタイルをお持ちの方はちょっとギクリとしちゃう感じっすな。
慢性的なネガティブで脳の機能が下がっちゃう(かもしれない)理由はまだよくわかってないんですが、チームの推測としては、
- いつもネガティブだと全身が慢性的なストレスにさらされ、コルチゾールなどのストレスホルモンがでまくる
- ストレスホルモンによりアミロイドやタウが増加する(両者の相関は昔から指摘されてきた)
みたいになってます。ストレスに対処するためのホルモンが体内で悪さをして、最終的には脳にも大きなダメージを与えるんじゃないか、と。この現象のことをチームは「認知負債」と呼んでおります。高齢になっても脳をシャープに保つためにはある程度の負荷が必要なんだけど、慢性的なネガティブ思考はちょっと負荷が高くなりすぎちゃうわけですね。ここらへんは運動のしすぎがいけないのと同じですね。
そんなわけで同じ研究チームは、「今後はマインドフルネス瞑想などでネガティブを減らすと認知症リスクが下がるか確かめるよ!」と言ってまして、こちらの結果にも期待したいところ。まぁ悲観的な思考がクセになってる方に「もっと楽観的になろうぜ!」と言っても難しいんですが、この問題については個人的に、
- 無闇にポジティブ思考を目指すんじゃなくて、セルフコンパッションに注力した方がメリットは大きんじゃないの?
と考えております。セルフコンパッションにつきましては、
などをご参照くださいませー。