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今週末の小ネタ:筋トレで免疫改善? 庭いじりで幸福に? 早起きの人は共感力が高い?

Summary

ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。


 

 

筋トレで免疫システムが改善するかも?

まだマウス実験の段階ですけど、「筋肉が増えれば免疫系が改善するかも?」と思わせるデータ(R)が出ておりました。

 

 

これはドイツがん研究センターの研究でして、ざっくりどんな実験だったかと言いますと、

 

  1. マウスたちをウイルスに感染させる
  2. マウスの筋肉を採取する
  3. 免疫系の反応を見て、筋肉量との相関をチェックする

 

って感じになってます。すると、そこには割と明確な相関が出てまして、

 

  • 筋肉量が多いマウスほど免疫システム(CD8+ T細胞)の働きが良かった!

 

だったそうです。

 

 

CD8+ T細胞は免疫システムが使うアイテムで、がん細胞やウイルスに立ち向かう時に活躍する武器のひとつ。体を守るために働いてくれるありがたい存在なんですが、戦いが長引くに連れて疲弊が起きて、全身を炎症させまくる傾向があるんですよ。

 

 

が、今回のマウス実験では、どうやら筋肉がT細胞の避難所として働いているらしく、おかげで免疫の働きが落ちないんだそうな。筋肉は免疫システムにも役立つかも!ってのは、なかなかおもしろい知見ですな。

 

 

研究チームいわく、

 

我々の研究では、筋肉量が多いマウスは、筋肉が少ないマウスよりも慢性的なウイルス感染に対処することができた。しかし、この結果が人間にも当てはまるかどうかは、今後の実験で明らかにしていく必要がある。

 

ってことで、人間でも筋肉が多いほうが免疫系が強いのかは謎ですけど、ありそうな話だよなーとは思っております。とりあえず、「筋トレすれば免疫にもいいかも!」と思えば、トレーニングのモチベーションも上がるのではないでしょうか。

 

 

 

幸福になりたきゃ庭で野菜を育てよ!

幸福になりたきゃ庭をいじれ!」って研究(R)が出ておりました。以前にも「ガーデニングでストレスが減るよ!」って話がありましたけど、今度は「積極的に幸福感が上がる!」って結論になってるのがポイントっすね。

 

 

これはイギリスで7,814人の男女を調べたもので、「みんな庭を持ってるか?」「どんな庭を持ってるか?」「日々の幸福度はどれぐらいか?」ってあたりをチェックしたんだそうな。

 

 

そこで何がわかったかと言いますと、

 

  • 庭いじりを持つことによる健康と幸福の上がりかたは、貧しい地域に住む人が豊かな地域に住むことによるメリットと同じレベルだった

 

  • ついでに、ガーデニングによる幸福感の上昇は、運動や外食と同じレベルっぽい

 

  • 観賞用のガーデニングよりも、野菜のガーデニングをした方が幸福度は高くなる

 

  • ガーデニングだけでなく、たんに庭でブラブラ過ごすだけでも似たようなメリットが得られるっぽい

 

  • バルコニーや庭を持ってる人は、身体の活動量も十分に多い傾向がある

 

だそうです。なんか良いことづくめな感じですな。

 

 

というと、日本人としては「庭があるとこなんて住めないよ!」って気がするわけですけど、研究チームは「庭がなくても問題はない!家の近くで自然が多い場所を散歩するだけでもいいよ!」と言ってるんで、とにかく自然との接触を増やすべしといういつもの結論であります。

 

 

 
早起きの人は共感力が高い?

早起きな人ほど共感力がある理由がわかったぞ!」って研究(R)がブルネル大学から出ておりました。これはイギリスのバイオバンクから3730人分の脳スキャンデータを集めて、それぞれの人が「朝型か?夜型か?」をチェック。早起きが得意な人と夜ふかしが好きな人の脳にはどんな違いがあるのかを調べたんだそうな。

 

 

で、いきなり結論から申し上げますと、

 

  • 早起きが好きな人は脳の楔前部の灰白質が少ない!

 

だったそうです。ってこれだとなんのこっちゃわからんですが、楔前部ってのは人間の社会性などに関係してるエリアで、過去のメタ分析なんかだと、このエリアの灰白質のボリュームが少ない人ほど共感力が高い傾向が確認されてるんですよ。

 

 

研究チームいわく、

 

以前の研究により、楔前部の灰白質が社会的な行動と関連していることがわかっている。このエリアのボリュームが減るほど、共感力や協調性が強くなりやすい。

 

また別の研究でも、朝型のクロノタイプを持つ人のほうが、夜型よりもボランティア活動などを行う傾向があることを示唆している。一方で夜型の人たちは、精神疾患や神経症といったパーソナリティ特性と関連しやすい

 

朝型のほうが社交的で協調性が高い理由の一部には、脳の灰白質が関係しているのかもしれない。

 

ってことで、朝型のほうが社交的で他人とうまくやるのが得意な傾向があり、それは脳の構造のおかげなんじゃないか、と。なんか夜型人間にはツラめな結論ですけど、いっぽうで夜ふかし人間にはいろんなメリットも確認されてるんで、トントンってことでひとつ。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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