亜鉛が血圧のコントロールに必須なのは確実だが、ならばサプリは高血圧に効くのか?というメタ分析の話
高血圧ヤバい!ってのはもはや言うまでもなく、血管をボロボロにするアンチエイジングの大敵なわけです。その対策としてはもちろん肥満の改善が第一なんだけど、そのほかにも昔からよく聞くのが、
- 亜鉛がいけるんじゃない?
みたいな話です。もともと亜鉛は血管をひろげたり、血圧をコントロールしたりと、血管にまつわる複数のプロセスで役に立ってるんで、そういった考え方があっても普通じゃないんですよね。
ってことで、近ごろ「亜鉛サプリは血圧に効くの?」って問題にガッツリと取り組んだデータ(R)が出ておりました。
これは2019年9月までに発表された関連研究をまとめたメタ分析で、基準に合致した9件を分析したもの。その内訳をざっくり申し上げますと、
- 1日あたりの亜鉛の使用量は5~150mg
- 投与期間は1ヵ月から12ヵ月
- 参加者は慢性疾患を持つ人が多くて、糖尿病、高血圧、肥満、血液透析を受けている人などがふくまれている
みたいになってます。疾患がある方々に特有な血圧の問題に亜鉛が効くかどうかをチェックしたわけです。
その答えをざっとまとめておくと、こんな感じになります。
- 亜鉛のサプリは最高血圧を有意に低下させるが、最低血圧には影響がないっぽい
- 最高血圧は-1.49mmHg低下すると思われる(95%信頼区間は-2.85~-0.13mmHg)
- サブグループ分析だと、グルコン酸亜鉛には良い効果が認められたが、硫酸亜鉛やエレメンタルでは認められなかった
ということで、とりあえず亜鉛は血圧に影響するっぽいっすね。
ただ、「-1.49mmHg」って数字はかなり微妙なとこで、一般的には「最高血圧が10mmHg低下するごとに心血管疾患のリスクが20%減少する」と言われてますからねぇ。亜鉛サプリで変化があったとしても、意味があるレベルかと言われれば疑問と申しますか。
また、そのほかの問題としましては、
- 参加者の大半が重い病気に悩んでいるので、一般人に適用できるかは全くわからない
- 多重比較のための調整が行われてないんで、偽陽性のリスクも結構ありそう
といったところは気になりまして、この結果をみる限りでは「血圧を改善するために亜鉛サプリを飲もうぜ!」とは言えない感じですかねぇ。
ただ、亜鉛が人体にとってマストなミネラルなのは間違いないですし、血圧のコントロールにめちゃくちゃ大事な働きをしてるのは間違いないんで、切らさないようにはしておきたいところです。あくまでサプリメントを飲もうとは言えないんで、普通に食事からとっておく方向で。