新型コロナの陰謀論を信じる人はどのような人なのか? そして陰謀論を信じるとどうなるのか?
新型コロナの陰謀論を耳にしたことがある人は少なくないでしょう。
- 新型コロナは生物兵器だ!
- 新型コロナのワクチンにはマイクロチップが!
みたいなやつですね。なかなか難しい問題ですが、新たに「陰謀論を信じる人はどのような人なのか? そして陰謀論を信じるとどうなるのか?」ってのを調べたデータ(R)が出てたんで、軽くまとめときます。
これはカナダと米国の住民797人を対象にした調査で、まずは全員に対して、
- COVIDは生物兵器である
- "COVIDは人口過剰を管理するための手段である
といった典型的な陰謀論にどれぐらい賛成するかを調査。その上で、みんなのメンタルの状態や考え方も調べ、さらに1ヶ月後に再調査を行ったんだそうな。この手の調査としては割と短期間なのでどこまで変化を感知できるかは心もとないものの、おもしろいテーマだよなーとか思うわけです。
で、すべてのデータをまとめたら、こんな傾向が出てきました。
- 参加者の約50%が、新型コロナに関する陰謀論を少なくとも1つは信じていた
- 新型コロナの陰謀論を信じる人ほど、1ヶ月後にはさらなる不安に悩まされている傾向があった
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陰謀論を支持する参加者は、自分や他人について否定的な信念を持ちやすかった(つまり、「私は愛されていない!」や「他人はみんな攻撃的だ!」みたいな思いが強かった)
ということで、陰謀論を信じる人はネガティブな考え方を持つ傾向があり、さらにはメンタルの状態が悪化しちゃう可能性も高いんだ、と。
この結果について研究チームいわく、
COVID-19の流行により、陰謀論はますます広がりを見せている。COVID-19によって引き起こされたメンタルヘルスの危機を受けて、陰謀説の増加がメンタルヘルスの低下につながっているのではないかと考えた。
過去の研究によれば、陰謀論は、脅威的な状況における不確実性やコントロールの不能性に対処する方法として生まれることが多い。しかし、今回の調査では、陰謀論を信じることで、その後に不安感が高まる傾向が確認された。
とのこと。もともと陰謀論ってのは「今はヤバい状況だ!」や「この状況をどうしていいかわからない!」って場面において、メンタルのバランスを取るために発生するものではないのかってことですね。
さらにチームいわく、
他の研究では、陰謀論を信じる人ほど、マスクの着用、社会的距離の取り方、ワクチンの接種など、政府のガイドラインに従う可能性が低いとも報告されている。これに加えて、今回の結果によれば、陰謀論は、それを信じている人にも悪影響を及ぼすことがわかった。
ということで、陰謀論というと周囲が悩むイメージが強いですが、実際にも本人も苦しんでいる可能性が高いわけっすね。
まー、過去には「フェイクニュースを信じた相手を説得するのはほぼ不可能」って話もありまして、陰謀論についても説得するのはかなり難しいってのが一般的な見解でしょう。とはいえ今回の結果を見ると、陰謀論の根っこには自己や他人への不安と憤りがあるみたいなんで、そういった人たちを敵視したり嘲笑するような態度は、相手の態度を硬くするだけで逆効果になっちゃうでしょうね。
その点では、会話の中でお互いの共通点を探しつつ(「コロナが嫌なのは同じですよねー」みたいな)、その上で相手の感情に共感していくのがいいのかなーって感じはしますね。