嘘をつく人が使う4つのステップを使って他人の嘘は見抜けるか?問題
他人の嘘を見抜くのは難しい!ってのが現代では常識。「この人は嘘をついてるのでは……」と思いながら暮らすのは脳の負荷が高いので、よほど重要な状況(家を買うとか)でない限り、人間は相手の言葉を疑おうとすらしないみたいなんすよね。
ってことでルイジアナ工科大学の新しい研究(R)では、「嘘をついてる人の内面を想像するといいかもよー」みたいな話になってておもしろかったです。簡単に言えば、「多くの人は一定のステップで嘘をつくので、そのステップごとに起きてることを想像してみては?」みたいな話っすね。
ここでチームが提唱してるのが「ADCATモデル」ってやつで、ざっくり訳すと「活性-決断-構築-行動理論(Activation-Decision-Construction-Action Theory)」って感じでして、人が嘘をつくときに内面で何が起きているのかを説明したものです。それぞれの構成要素は、以下のようになってます。
- 活性:
「嘘をつかねば!」と決めたら、まずは嘘に必要な情報を長期記憶から取り出すステップからスタートします。例えば、面接とかで「履歴書に書いてない期間は何をしてたの?」と聞かれた直後に、「その時期はただのニートだが、印象が悪いから別の話を組み立てないと……。えーと、病気の親戚の世話をしてたって嘘は、いままでの答えと矛盾しないよな……」みたいに考え出すステップですね。これはかなり脳の負荷が高い状況なので、何を言うべきかを考えるのに1〜2分かかるケースも一般的。 - 決断:
それっぽい嘘を思いついたら、次に「これを本当に相手に語るべきか?」を決断するステップに移ります。嘘がバレた時のコストは?本当のことを言うべきか?みたいな選択肢を天秤にかける段階ですね。当然ながら、正直さのコストが報酬よりも高ければ人は嘘をつくことを選ぶわけです。 - 構築:
「嘘をつくぞ!」と決断したら、続いては「よりそれっぽい嘘」を作り出すためのステップです。「この内容なら相手も信じるだろう」とか「この内容だと社会的な規範から外れてるだろう」とか考えて嘘を修正するわけっすね。これまた相当な認知負荷のかかる段階であります。 - アクション:
嘘をつく準備ができたら、次は「どんな態度をとれば相手は信じるか?」を考えるステップ。たいていの人は「嘘つきは緊張しがち」と思っているので、嘘をつくときほどリラックスしているように見せようとしがち。研究チームによると、多くの人はここでリラックスの努力をしすぎるので、不自然な印象が生まれやすいとのこと。
というわけで、「嘘」は人間の日常ですけども、こうして見ると「嘘をつくのって大変なんだなぁ……」ってのがあらためてわかりますね。
ちなみに、この研究では、ADCATの有用性を検証するために81人の学生で実験をしてまして、みんなに「いろんなケースで嘘をついてねー」と指示した上で、回答に要した時間などをチェックしたとのこと。すると、研究チームの予想どおり、「もっともらしい嘘」をつこうとするほど、ADCATの各段階で回答までの時間が長くなったんだそうな。
つまり、このモデルを現実の世界に応用するならば、
- まずは簡単な質問をぶつけて、相手の反応スピードを把握する
- 次に難しい質問をぶつけて、相手が答えを出すまでの時間をチェックする
- 続けて詳細なフォローアップの質問をぶつけまくって、相手の脳に負荷をかけて矛盾した嘘を引き出す
- さらには、相手の答えを聞きながら、相手がこちらの反応を読もうとしていないかどうかを確認する
- と同時に、相手がリラックスしているように見せようと努力してないかに注意を払う
ぐらいのことをしとくといいってことでしょうな。まぁそれでも嘘を見抜くのが難しいことに変わりはないものの、人生のコストが大きな場面(結婚とか)では、意図的に疑うマインドを持っておくのもいいかもしれません。