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朝のタンパク質と夜のタンパク質はどちらが筋肉量のアップに効くのか?という早稲田大学さんのお話


  

タンパク質で筋肉が増える!というのは当たり前。しかし、まだいまいちわかってない問題が、

 

  • タンパク質を摂るタイミングで筋肉の増え方って変わるの?

 

みたいなポイントであります。朝にタンパク質を増やすのと、夜にタンパク質を増やすのでは、筋肉の増え方が変わったりしないの?みたいな疑問っすね。いちおう、いくつかの観察研究なんかだと「タンパク質の摂取タイミングは筋肉に影響する!」って報告もあったんですが、細かいとこはよくわからないんですよ。

 

 

というわけで、新たに早稲田大学のチームが実験をしてくれまして(R)、「1日の中でタンパク質の量をいろいろ変えたらどうなるの?」問題をチェックしてくれておりました。まことにありがたいですなぁ。

 

 

で、この研究では動物実験とヒト実験に分かれてまして、それぞれどんな感じだったかと言いますと、以下のようになります。

 

 

・動物実験

  1. マウスに1日2食の生活をしてもらう(朝食と夕食のみ)

  2. 1日に食べるタンパク質量は同じにして、朝に多めのタンパク質を食べるグループと、朝晩のタンパク質を同じにするグループ、夜に多めのタンパク質を食べるグループに分ける

  3. 筋肉に違いが出たかをチェックする

 

 

・ヒト実験

  1. 60人の健康な高齢女性に協力をお願いし、1日3食のうち、どのタイミングでタンパク質を多く食べているかを調べる

  2. ついでにみんなのタンパク質摂取量も調べて、筋力と筋肉量の違いと比べる

 

 

ヒトの実験はあくまで観察研究の段階ではありますが、なかなか参考になりそうであります。

 

 

でもって、結果をだだーっと箇条書きにまとめると、

 

  • マウス実験では、朝にタンパク質を増やしたグループのほうが筋肉量が増えた!(夕食にタンパク質を増やしたグループがもっとも筋肉量の増加率は低い)


  • BCAA(筋肉の発達に必要なアミノ酸)を増やしたマウスほど、筋肉量は増えやすかった(他のアミノ酸では同じような効果が見られなかった)

 

  • 朝のタンパク質で筋肉量が増えるのは、アミノ酸摂取によって筋肉の体内時計が調整されるからだと思われる

 

  • ヒト実験でも、朝食でタンパク質を多く食べる女性のほうが筋肉と握力レベルが高い傾向があった

 

みたいになってます。いちおう早稲田大学さんが提供しているグラフも載せておくと、こんな感じです。

  


そこまで激しい差でもないんですけど、筋肉量と筋力に違いが出てますねー(一瞬「タンパク」が「タタンパク」に見えて、なんのこっちゃと思いましたが)。

 

 

 

というわけで、まだ動物実験&観察実験の段階なので明確なことは言えないものの、「朝にタンパク質を増やしたほうがいいのかも?」という結果ですね。まー私はそもそも朝食を食べない人間なのでどうしようもないんですけど、朝食を食べられている方は一考してもいいかもしんないですね。朝食のタンパク質増量には、過去にも「脂肪が燃えやすくなる!」って報告も出てますし。

 

 

 

ただ、個人的な話で言えば、この実験ではそこまで大きな違いが確認されてるわけでもないのと、「タンパク質は摂取タイミングよりもトレーニングの総量だ!」って考え方が優勢なことから、いまのライフスタイルは特に変えないかなーって感じですね。逆に、あまり運動をしないで筋肉の低下が目立ってきた高齢者の方であれば、「朝食にタンパク質を増やす!」ってライフスタイルを取り入れる意味はあるかもしれません。今回の結論はそんな感じで!

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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