世界95カ国で「幸福度」について調べてわかった最重要ポイントとは?みたいな話
https://yuchrszk.blogspot.com/2021/10/95.html
国連から「世界幸福度報告書(WHR)」の2021年版(R)が出てたので、以下に雑感です。
これは世界95カ国から集まった10万人の参加者を対象としたグローバルな調査で、
- 人生の満足度:あとから振り返って自分の人生に満足感が得られるかどうか
- ポジティブな感情:毎日の生活で喜びや感謝などのポジティブな感情を体験できているかどうか
をどれぐらい経験したかで全体的な幸福度を測定したもの。今回で9回目になりますが、最新版の調査は2020年に行われたんで、新たに「新型コロナで世界の幸福レベルはどう変わったか?」が焦点になってます。
で、個人的に興味深かったポイントを申し上げますと、
- 2020年のおおよその幸福は、世界中で2019年とあんま変わらない(コロナ禍だからといって特に人生のポジティブな経験が減ったわけでもない)
- 人間のレジリエンス(苦境からの回復度)はやっぱすごくて、 人生における大きな出来事や変化は、それがポジティブなものであれネガティブなものであれ、基本的な幸福のレベルに与える影響は予想よりも小さい
みたいになります。
もちろん、これは平均的な傾向なので、国の文化や人口動態、個人差といった要素もありますし、パンデミックの影響で過去とはデータ収集の方法が違うかもしれないので、そこらへんは注意が必要でありましょう。しかし、全体的に見ると、2020年の人間の幸福は2019年と驚くほど似てたみたいっすね。
ちなみに、この調査から得られた他の知見を見てみますと、こんな感じになります。
- 人間の幸福の変動のほとんどは、6つの環境要因(健康、信頼、寛大さ、頼れる人の有無、収入、自由)が関わっているっぽい。多くの人々は、健康と最低限のお金があるとき、頼りになる人がいるとき、信頼と寛大さを経験したとき、人生の決断をする自由があるときに幸せを感じていたってことですな
- 2019年に引き続いて、北欧諸国が地球上で最も幸せな場所になった。フィンランドが4年連続で1位を獲得し、アイスランド、デンマーク、スイス、オランダがそこに続いた(日本は40位)
- 2019年と同様に、北欧諸国は「人生に満足している」ってポイントでは最高得点を獲得したが、これは「ポジティブな感情をたくさん経験する」という観点には結びついていない(例えば、フィンランドは国民が経験するポジティブな感情に関しては43位)
- 2020年もすべてが同じというわけではなく、ポジティブな感情の多さは変わらないものの、やっぱり「怒り」「心配」「悲しみ」といったネガティブな感情を経験する割合は大幅に増加していた。アジアのデータを見ると、このネガティブな感情は、症例数の増加と関連していた
あいかわらず幸福度については北欧が強くて、日本が低いっすねー。人生の満足が日々のポジティブ感情にはつながらないって傾向も、昔からよく確認されているポイントですね。
ということで、今回のレポートから個人的な教訓を引き出すならば、
- 世の中には「パンデミックで人間の意識は根本から変わった!」という主張もあるが、こと幸福感については別に変わらないし、どうも人間はそこまでヤワでもないっぽいので、制限や脅威が緩和されれば以前のとおりに戻る可能性が高そう
- もちろん、パンデミックによって健康や仕事のあり方、消費者生活のデジタル化などは進んだような気がするが、これはどちらかと言うと変化をもたらしたというよりは、トレンドを加速させただけのような気がする
- この報告書では、「信頼」が人間の幸福の中心的な原動力だ!って傾向を示している。世界中の信頼レベルを測定したところ、信頼感があるかどうかは、お金や雇用、大きな健康問題よりも、幸せにとって重要だった
- 信頼とは「約束は守られる! 弱みにつけ込まれない!」って確信のことで、自分の周りにいる人や組織を信頼できればできるほど、周囲の人間が有能で自分のことを気にかけてくれると信じれば信じれるほど個人の幸福度は上がる。このポイイントは、ビジネスをする人なども肝に銘じておくと吉だと思われる
といったあたりでしょうか。「信頼」が幸福要因のトップに来るかも?って仮説は、個人的に非常に納得できるとこでしたねー。