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エピソードトークがうまい人ほどモテモテで子だくさんだ!みたいな実験の話

 
 

人間には物語が必要だ!みたいな話は昔からありまして、

 

 

なんてデータが過去にもあったりするわけです。そういえば、「なぜ科学はストーリーを必要としているのか」なんて本もありましたな。

 

 

でもって、新しいデータ(R)もストーリーに関するお話で、まず結論から言っちゃうと、

 

  • ストーリーテリングがうまい人ほどモテるし、みんなから助けてもらいやすいし、健康な子孫ができる可能性も高いのでは?

 

みたいになります。日本でもエピソードトークがうまい人ほどモテるようなイメージもありますが、そこら辺を詳しく調べてみた調査になっております。

 

 

これはユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの人類学者チームによる研究で、彼らが何をやったのかといいますと、

 

  1. フィリピンのアグタ族に協力を頼み、18の村に住む297人の人々を集めて「この村で一番のストーリーテラーは誰ですか?」と尋ねる

  2. それぞれの村での投票を集計し、総合得点が高かった村を「より優れた語り部がいる村」だと判断する

  3. その上で、同じ村々から別の290人を集めて、資源配分ゲームをしてもらう。このゲームでは、参加者に12個のトークンが与えられ、それぞれのトークンは約8分の1キロの米と交換できる。トークンはすべて持っていてもよいし、他の住民(最大12人)に好きなだけ渡してもよい

  4. さらに、18の村に住む別の291人を集めて、「自分のコミュニティの中で、一緒に暮らしてもいいと思う人を最大5人まで挙げてもらえますか?」と尋ねる

 

みたいになってます。要するに、手持ちの資産を分け与えるゲームをやってもらい、その結果がストーリーテリングのうまさと関係するのかをチェックし、さらにストーリーテラーほど仲間から人気が高いのかどうかを調べたわけですね。

 

 

そこでどんな傾向がみられたかというと、こんな感じです。

 

  • 資源配分ゲームでは、被験者は平均して62.6%のお米を自分のものにしていたが、どのコミュニティでもストーリーテラーの数が1%増えるごとに、ゲームで配られる米の量が2.2%増えた(つまり、良いストーリーテラーが多い村ほど気前がいい)

 

  • ストーリーテラーほど他人からお米をもらう確率が高かった

 

  • 「ストーリーテリングがうまい」と判断された人は、そうでない人の約2倍の確率で「一緒に暮らしたい」と判断された。その数値は、狩猟や採集がうまい人よりも上だった

 

  • 「ストーリーテリングがうまい」と判断された人は、そうでない人よりも、平均して0.53人ほど子供の数が多かった

 

ということで、ストーリーを語るのがうまい人はモテるし、そのおかげで子孫が繁栄する可能性も高いのではないか、と。

 

 

もちろん、あくまで観察研究出しかないので、この2つの関係を断定することはできないんですけど、研究チームも書いているように「熟練した語り部の割合が多い村では協力の度合いが高まった 」のは間違いないところ。生死に直結するはずの「狩猟と採集」よりも、ストーリーテラーのほうがモテやすいってのはすごいもんですね。それぐらい物語を語れる能力ってのは人類の繁栄に役立ってきたってことなんでしょうな。

 

 

ちなみに、この研究ではタイ、マレーシア、アフリカなどで語られる89の異なる物語も調査してまして、

 

  • すべての物語は、社会的協力、共感、正義についての教訓を含んでいた。また、かなり多くの物語は性の平等についても教えていた

 

ってな結論を出しておりました。こうして見ると、笑い話にせよ悲劇にせよ、やっぱコミュニティの安定に役立つ教訓を含むようなストーリーのほうがウケやすいのかもしれませんな。

 

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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