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今週末の小ネタ:運動で良いアイデアを出す秘訣、街の明かりが睡眠の質を爆下げ?占いを信じる人は良い人?


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

 

 

 
イスに座っててもちょっと動けば良いアイデアが出るかもだ!という話

体を動かすと良いアイデアが出る!」ってのは有名な話で、散歩をしながらアイデアを練った偉人も多かったりします(ダーウィンとかディケンズとか)。

 

 

で、JMUなどが行った調査(R)では、「座っていてもちょっと動けば創造性は上がるぞ!」って結論になってて面白かったです。

 

 

これは20人の男女を対象にしたテストで、

 

  1. みんなに創造性をチェックするテストをやってもらう

  2. その際に、「自由に歩く」「長方形のコースを繰り返し歩く」「座りながら自由に動く」と「視線を画面に固定して座る」ってパターンで実践させて、結果に違いが出るかをチェックする

 

みたいになります。すると、良いアイデアを思いつく量が多かったのは「自由に歩く」「座りながら自由に動く」の2パターンだったんだそうな。つまり、アイデア出しには運動が大事なのはもちろん、「自由に動ける」って要素が重要なのかもしれないわけっすな。

 

 

その理由はまだはっきりしないものの、研究チームは「自由に動くと意識が分散するからじゃない?」と推測しておられます。体が自由に動いたほうがいろんなとこに意識が向くので、そのぶんだけ拡散思考(良いアイデアが出やすい思考)がうまれやすいんだってことですな。

 

 

ちなみに、研究チームは「アイデア出しには小さなスクリーンが特に悪いから注意してねー」とも指摘しておられました。小さい画面を見ながら作業をすると、せまい領域に注意が集中ちゃって意識が拡散しないからだそうで、これはスマホ世代にとってあまりうれしくないニュースかもですな。

 

 

そう考えると、私が以前に使ってた「変なイス」とかは、座ったままグラグラ動けるからアイデア出しにはいいのかもしれんですな。ただし、「変なイス」については、ガンガンに使ってたらぶっ壊れたので、いまはスイスの会社が開発した「リンビックチェア」が気になってますが、お値段が約36万円。うーん……。

 

 

 

街の明かりが睡眠の質を爆下げしてるかもだぞ!みたいな話

街の明かりが睡眠の質を爆下げしてるかもだぞ!」ってデータ(R)が出ておりました。

 

 

これはソウル大学などの調査で、韓国に住む60歳以上の高齢者52,027人を、2002年から2013年まで調べたデータを対象にしたもの。どんな調査だったかといいますと、

 

  1. 調査の参加者が住んでいるエリアの街灯や夜間照明の強さを調べる
  2. 参加者がどれぐらい睡眠薬を使っているのかを調べる

 

って感じで、光害のレベルと睡眠の悪さを比べてみたんだそうな。そうすると、案の定ふたつのデータには関係性がありまして、

 

  • 睡眠薬を飲んでいる人ほど夜中でも明るい都市に住んでいる傾向があった!

 

って結論だったらしい。過去にも「光を点けっぱなしの部屋で寝ると33%も太りやすくなるぞ!」みたいな観察研究はありましたけど、もしかしたら街の明かりも睡眠の質を左右してるかもしれないわけですな。まーあくまで一時点を調べただけなんで証拠としては弱いものの、十分ありそうな話ですね。

 

 

 

占いやフェイクニュースを信じる人は「人が良い」のかもなぁ……という話

フェイクニュースの話は定期的に取り扱ってますけど、新しいデータ(R)は、

 

  • 集団主義な人ほどフェイクニュースを受け入れやすく、曖昧な主張に意味を見出そうとするよ!

 

って結論になってて、おもしろかったです。これは7つの研究をもとに「集団主義とフェイクニュース」の関係を調べたもので、まずは集団主義の定義をしておくと、

 

  • 社会的なつながりや仲間に入れるかどうか重視する態度

 

みたいになります。コミュニティに入るのが重要だ!って人ほど、フェイクニュースを信じやすいのではないか?っと研究チームは考えたわけですね。

 

 

具体的にどんな調査をしたかといいますと、だいたい以下のような感じです。

 

  • アメリカ人を対象としたデータを分析して、「集団主義的な価値観」を持つ人が、どれぐらい星占いを信じているかを調べる
  • 中国人を対象としたデータを分析して、「集団主義的な価値観」を持つ人が、どれぐらい占い、手相、風水を信じているかを調べる

 

というわけで、集団主義とフェイクニュースの関係を調べたところ、結果はチームの予想どおりでして、

 

  • 集団主義的な価値観を持つ人ほど、星占い、風水、手相などを信じ、「Wifiが精子を破壊する」といったフェイクニュースを信じていた

 

  • 中国人はアメリカ人よりもフェイクニュースも信じる傾向が強かった(集団主義的な価値観が強いためだと思われる)

 

って傾向が確認されたそうな。研究チームいわく、

 

集団主義が強い人は、他人が伝えようとしていることに自発的に注意を払い、目にした主張はすべて他人が作成したものであり、それゆえに意味を持つはずだと推定している。他人の伝達意図に対するこの非常に人間的な感受性が、陰謀論やフェイクニュース、疑似科学が広まる理由であると考えられる。

 

とのこと。要するに、フェイクニュースを信じる人ってのは「他人がなにかを伝えようとしてるんだから、これは重要な意味があるはずだ」と思いやすいんだってことですね。人が良いとも言えますな。

 

 

もちろん、集団主義的な価値観が悪いって話じゃないので、そこらへんを重んじる傾向が強い人は、意識して自分がフェイクニュースに引っ張られてないかモニタリングしとくといいかもですね。あと関係ない話ですけど、この論文のなかで「ピザを食べると経済的安定につながる」ってフェイクニュースが事例として挙げられてたんですけど、なんですかこれ(笑

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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