今週半ばの小ネタ:モテに必須の要素とは?新型コロナストレスで脳機能が下がる?世界で孤独感が爆上がり?
ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
男女ともモテに欠かせない要素、それは遊び心
近ごろの心理学界では「遊び心は大事よねー」みたいな報告がよく見られまして、
みたいな話が過去にあったわけです。まぁ普通に考えれば、悪いことがあっても笑いで対処できる人のほうが幸せそうですもんね。
で、新しい研究(R)は「 遊び心はとにかくモテる!」って結論になってておもしろかったです。もともと遊び心はモテ要素として挙げられることが多かったんですけど、そこらへんをあらためて調べてくれたわけっすね。
これはサンパウロ大学などの調査で、ブラジルの成人1,191人に「これまでの人生で短期的な交際を何回しました?」「長期的な交際を何回しました?」ってあたりを尋ねたんだそうな。そのうえで、みんなに「遊び心レベル」をチェックするアンケートに回答してもらったとのこと。
このアンケートでは、遊び心を4つのパターンに分類していて、
- 他者指向の遊び心:他人と一緒に遊ぶことを楽しみ、遊び心を使って社会関係をより面白くしようとする傾向
- 軽快な遊び心:人生をゲームのようにとらえ、将来のことをあまり心配しない傾向
- 知的な遊び心:オリジナルのアイデアで遊んだり、問題を解決したりすることを楽しむ傾向
- 気まぐれな遊び心:不思議な状況に楽しみを見い出し、日常的に自分や他人を楽しませようとする傾向
って感じで、それぞれの遊び心とモテの関係性を調べてます。この遊び心のパターン分類は自己診断にも使えそうっすね。
でもって、どんな傾向が見られたかといいますと、
- 「他者指向の遊び心」のスコアが高い男性は、短期的および長期的なパートナーの数が多かった
- 女性の場合は、「気まぐれな遊び心」のスコアが高いほど、短期的なパートナーの数が多い傾向にあった
だったそうです。いずれも人間関係にまつわる遊び心がモテにつながってて、その点はわかりやすいですね。
ただ、この結果については研究チームも注意をうながしてまして、
遊び心やそれに類する現象が何であるかを理解するにはまだ程遠い。たとえば、英語では、ボードゲーム、楽器、役柄、スポーツ、手品、人形などを『遊ぶ』ことができるが、ポルトガル語ではそれぞれ別の動詞を使うので、『遊ぶ』に最も近い意味は人形に限られてしまう。
ヨハン・ホイジンガが示したように、遊び・ゲームの役割を理解するためには、競争、協力、美的価値、公平性、偽装、社会的関係などを考慮しなければならない。
とのこと。そもそもみんな「遊び」の概念が違ったりするから、遊び心の定義にも注意が必要だよねー、という話っすね。まぁとはいえ、人生を意図的に楽しくしようとする態度がメンタルに良いのは間違いなさそうですし、ひいてはモテにつながるってのも説得力がある話だとは思いますんで、肝に銘じておきたいところです。
パンデミックのストレスでIQ下がっちゃうのでは説
「新型コロナのパンデミックを心配すると、脳の働きのスピードが低下するかもよ!」みたいなデータ(R)が出ておりました。もともと人間の脳は不安に弱くて、不安が人間の認知リソースを奪うってのは有名な話ではあったんですけど、それは新型コロナへの不安にも当てはまるんだ、と。
この調査は、パンデミックの第一段階である2020年4月から6月にかけて行われたもので、1,500人以上のアメリカ人を対象に、みんなの不安の度合いを尋ねつつ、同時に認知機能テストを行ったんだそうな。
その結果、なにがわかったかと言いますと、
- 新型コロナのパンデミックをより心配している人ほど、シンプルな認知タスクの成績が悪くなる
- パンデミックを心配する人は、記憶力が低下し、リスクの判断を間違えやすい
だったそうな。新型コロナを心配する人は脳の基本的な機能が下がり、さらには起こりそうにない出来事の可能性を過大評価し、起こりそうな出来事の可能性を過小評価する傾向があったらしい。不安を感じている人ってのはネガティブな情報をより重要視する傾向があるんで、これは納得の結果と申しますか。
研究チームいわく、
今回測定した基本的な認知能力は、健康的な日常生活や意思決定に不可欠なものだ。今回観察された不安に関連する障害は、世界的なパンデミックのような大きなストレスがかかった時に、思考、計画、リスク評価の能力が変化することを示唆している。
ストレスの対処にはこれらの能力に依存することが多いため、このような脳の変化を理解することは非常に重要だ。
とのこと。もちろん「新型コロナなんて怖がらないほうがいいよ!」って話ではないですが、パンデミックの不安で認知に影響が出てないかをセルフ・モニタリングしておくのは良いことでしょうな。
世界中で孤独感のレベルが爆上がりしてる件
「孤独、アカン!」って研究が世界で激増している昨今。また新たに行われたメタ分析(R)でも「世界的に孤独感が激増してるぞ!」って結論になっておりました。
これは先行研究から345件をまとめたもので、そこから得られた449件の回答をふくみ、最終的なデータセットには18~29歳の124,855人の独立した437件のサンプルが含まれてたそうな。研究期間は1976年から2019年の間にまたがってまして、かなり大規模な感じですな。
孤独感をチェックするにあたっては、もっともよく使われている「UCLA Loneliness Scale」を使用。「話し相手がいない」や「周りに人がいるが一緒には行動しない」といった文章にどれぐらい同意するかどうかで調べてます。
でもって、分析の要点をまとめますと、
- やっぱり世界中で新成人の孤独感は年ごとに増加しており2012年頃にはピークを迎えた
- 2012年以降のデータを収集した研究では、それ以降の孤独感の増加は見られず、この10年間は孤独感のレベルは比較的安定しているっぽい
- アジアとヨーロッパの孤独感の変化は、アメリカの変化と同じような感じだった
みたいになってます。まぁこの研究だと、世界的な孤独感の増加が年齢を超えたすべての人の変化を表しているのか、それとも新成人に特有な現象なのかは不明なんですけど、とりあえず世界的な傾向としてはありそうだよなーってことで。
ちなみに、なんでこの研究が18歳から29歳の対象に絞ったのかと言いますと、この時期に孤独感がピークに達しやすいことが昔から知られていたからです。18歳から29歳ってのは、自分のアイデンティティを確立して親密な人間関係を築くのが重要になるので、「考えてた人間関係が現実と一致しない!」って状態にハマりやすいんですよ。「思てたんと違う!」ってやつですな。
いずれにせよ、孤独感の強さは、メンタルの悪化(鬱病とか)や不適応な行動(タバコとか引きこもりとか)と強く相関してますんで、ご注意いただければ幸いでございます。