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勉強したことをガッツリ頭に叩き込みたいなら「ファインマン・テクニック」を使うといいんじゃないすか

 

こんなご質問をいただきました。

 

鈴木さんはいろいろな勉強法を紹介していますが、ご自分で使っているのはなんですか?私は検索練習で勉強しようと思いましたが、仕事の忙しさに負けて使わなくなってしまいました。

 

とのこと。ご指摘のとおり、このブログやブロマガではいろんな勉強法を紹介してまして、なかでも検索練習を「最強の学習法」のひとつとして取り上げてまいりました。ただ、これもまたご指摘のとおり、検索練習ってのは自分で問題を作ったり、フラッシュカードを作ったりしなければならないため、私のようなオッサンの学習に使うには意外とめんどうだったりするんですよね。

 

 

というのも、中高年になりますと、

 

  • 学習の対象に明確な教科書やマニュアルがないケースが多い(例えば「営業のやり方」とか)
  • 大量の文献を読んで、そこから特定のパターンを抜き出すタイプの学習が多い(私の場合なら「健康法の共通項と背景のメカニズム」とか)

 

といった状況のほうが多いじゃないですか。その点で、検索練習ってのは、明確な教材があるほうがやりやすいところがあるんで、やっぱ学生さんの勉強とか資格試験のほうが向いてる手法ではあるんですよね。

 

 

ということで、私がいまどんなふうに勉強してるかというと、「ファインマン・テクニック」を使っております。ご存じの方も多いでしょうが、ノーベル賞受賞者のリチャード・ファインマン先生が考案したものでして、めちゃくちゃ考え方がシンプルで使い勝手がいいんですよね。

 

 

ファインマン先生のテクニックのコンセプトがどんなものかと言いますと、

 

  • 専門用語や曖昧な言葉を使ったり、複雑にしか説明できないことは頭に入ってない証拠!

 

みたいな感じです。ファインマン先生は、「物事は単純であればあるほど学びやすい!って信念の持ち主でして、複雑な説明や教科書から引用した用語ばっかりの知識は頭に定着しづらいと考えたんですよ。 「本を読む本」のモーティマー・アドラー先生も「自分の考えていることは分かっているが、それを表現できないという人は、たいてい自分が何を考えているのか分かっていない」とおっしゃってますし、複雑で抽象的な情報が脳に残りにくいのは間違いないので、これは真実でしょうね。

 

 

で、ファインマン・テクニックは4つのステップで構成されてまして、すごーく簡単に説明するとこんな感じです。

 

 

 

  • ステップ1:学びたいことを選ぶ:自分が学びたいと思っていることをひとつ選ぶ。私の場合でしたら「科学的な適職選びについてわかってることは?」とか「意志力の現状についてわかってることは?」みたいな感じっすね。

 

 

  • ステップ2:そのテーマを脳内の子供に説明する:続いて、脳内に12歳ぐらいの子供をイメージして、その子供に「学びたいこと」をガンガンに説明していきます。そうすると、最初から最後まで徹底してシンプルな言葉で説明する必要が出てくるので、「あ!こんなところで言葉に詰まった!」とか「この説明はまったく意味をなしていない!」とか「言葉が出なくてイライラする!」「専門用語を使わないと説明できない!」って状態に必ずなるはず。

    このポイントこそが「自分の知識のダメダメな点」なので、そこを簡単にメモっておけばOK。たいていの場合、自分の初期想定よりも知識がわかってないことに気づくので、落ち込むはずであります(私もしょっちゅうヘコんでます)。

 

  • ステップ3:つまずいたらとこを確認:説明が終わったら、学びたい文献を見直して理解が足りないことをチェック。脳内の12歳が理解できるように、再びわかりやすい説明をするようにチャレンジ。専門用語や抽象的な表現を使わなくてもOKなとこまで追い込む。

 

  • ステップ4:整理・復習:ステップ2と3をくり返す。

 

 

というわけで、非常にシンプルなプロセスで使い勝手がよろしいのではないかと思うわけです。私の場合、本を書きながらこの作業をやることが多くて、詰まったら脳内の子供に説明する作業をくり返してます。

 

 

このやり方だと、自分でクイズを作ったり、きれいなノートを作るような手間が不要なので、個人的にとても愛用しております。まぁ「専門用語をちゃんと記憶したい」とか「公式を使いこなしたい」みたいな用途には使えないんですけど、中高年の学習にはわりと用途が広いんじゃないかと。

 

 

ちなみに、「難しいことをわかりやすく説明する」のサンプルが欲しい方は、「ホワット・イズ・ディス?:むずかしいことをシンプルに言ってみた」みたいな本を参照してみると良いかもしれません。「ヘリコプターの飛ぶ仕組み」なんかを可能な限りわかりやすく説明していて参考になります。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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