ポモドーロ・テクニックを使うと作業がはかどるけど実験で効果は確かめられてるの?
こんなご質問をいただきました。
ポモドーロ・テクニックを使うと集中力が上がって作業がはかどる気がするのですが、この方法は実験などで効果が確かめられているのしょうか?確かめられなくても別にいいのですが気になります。
ということで、みんな大好き「ポモドーロ・テクニック」には裏付けがあるのか、と。ポモドーロについては2019年に「どんな仕事も「25分+5分」で結果が出る ポモドーロ・テクニック入門」って公式本が出てるので、こちらを参考にしていただければと思いますが、すごーく簡単に言ってしまえば、
- タイマーをセットし、25分だけひたすら作業に没頭
- 5分の休憩を取る(これを1ポモドーロと呼ぶ)
- これを4回繰り返したら(つまり4ポモドーロ)、少し長めに休む(30分くらいが目安)
みたいな方法をくり返すタイプの生産性アップ術で、世界中で使われている技法と言えるでしょう。私の場合、最近はポモドーロは使ってないんですけど、タスクを細かく区切ってすべてに締め切りを設定する方法は使ってまして、やはり役に立つなーとか思っております。
じゃあ、ポモドーロにデータの裏づけがあるのかってことですが、結論から言っちゃえば「ポモドーロの効果を直で確かめたものはない」って感じになります。一部にポモドーロを扱った文献はあるものの、「25分作業→5分休憩」のやり方がどうなのか?を確かめてるわけじゃないもんで。
そもそも、25分と5分みたいな設定にしても、考案者のフランチェスコ・シリロ さんが決めたことなんで、その背景に何らかの基準があったわけでもないんすよ。とはいえ、だからといってポモドーロは無意味だってわけでもなく傍証みたいなものならいくつかあったりはします。たとえば、
- 「コグニション」って有名誌に掲載された研究(R)では、イリノイ大学などの先生方が「特定の作業をぶっ続けでやるよりは、短い休憩をところどころに挟んだほうが、タスクへの集中力を維持するのに役立つよ!」っと報告しておられます。つまり、ポモドーロみたいに、作業ブロックに短い休憩をはさむやり方は正しいのだろう、と思われるわけですな。
- イスラエルで行われた研究(R)では、休憩を取らずにぶっ続けで働く裁判官は、短い休憩をはさみながら仕事をする裁判官よりも推理力や意志力が損なわれてしまい、囚人たちに適当に仮釈放を与えるようになった。基本、人間の脳は細かい休憩を入れないと、脳がどんどん決定疲れに襲われていき、働きが低下する傾向を持っている。
みたいな感じです。わりといろんな研究が、「細かい休憩を入れつつ働くと集中力が上がるよー」と報告してまして、こういうのを見る限り「まぁポモドーロはいいんだろうなぁ」と思うわけです。
そんなわけで、ポモドーロは普通に使っていけばいいんじゃないかと思うわけですけど、この手法について個人的な雑感を並べてみると、
- 「退屈」なせいで進まないタスクにはめちゃくちゃ効果が出やすい(精算書とか事務的な作業とか)
- シンプルに「セルフコントロールスキルがない」や「完璧主義で進まない」みたいなタスクにも効果が出やすい気がする
- ただし、「タスクそのものが難しい」とか「自分の能力への自信がなくてタスクが進まない」「誰かからの評価を恐れているせいでタスクが進まない」「目標が抽象的」みたいな状況では、どうにも役に立たないっぽい
といったような利用シーンの選び方は重要かなーって気がしております。これはあくまで私の感覚なので、万人に当てはまるかどうかはわからんですが。