仕事のパフォーマンスを高めまくる「マイクロブレイク」の正しい使い方
拙著「ヤバい集中力」では、「マイクロブレイクを積極的に取ろうぜ!」みたいな話をしております。要するに、5〜10分の短い休憩を細かく取ったほうが、仕事のパフォーマンスは上がるよーみたいな話です。まぁぶっ続けで仕事をするよりは、少しでもいいから休んだほうがいいのは当然ですよね。
それでは、このマイクロブレイクはどれぐらい意味があるのか?ということで、新たなメタ分析(R)が、具体的な効果を調べてくれておりました。
これはルーマニアのティミシュアラ西大学の研究で、チームは、過去30年間に行われた22の実験をピックアップ。これを分析して、マイクロブレイクによって、いかに私たちの幸福度が上がるかをチェックしたんだそうな。
この研究で言う幸福度ってのは、
- 1日の終わりまでに疲れることなくタスクを完了するエネルギーを持っているかどうか
みたいに定義されております。日が沈んでもガンガンに仕事ができるような状態ってことで、確かにこれが達成されれば楽しいでしょうなぁ。
分析に含まれる研究は、「10分以下の短い休憩にはどのようなメリットがあるのか?」を調べたもので、アメリカや日本で行われた実験のデータがふくまれております。どの研究も自己申告の調査しか使っていないので、ちょっと精度が落ちちゃうのが難点ではありますが、日本のデータも入ってるのがうれしいですね。
でもって、マイクロブレイクの効果は以下のようになりました。
- ルーチンワークが多い人、または創造的な仕事に従事している人は、マイクロブレイクで大きなメリットを得られる。
この研究におけるルーチンワークってのは「高度に自動化された作業」のことで、そんなに脳の能力を使わなくてもいい仕事を意味しております。私の場合でいえば、データの入力作業とか、引用部分を粗く翻訳したりとか、そんな感じですね。
このタイプの作業は、脳のパワーを使わない分だけ、仕事とは関係ないことに注意を奪われて、ミスをする可能性が高くなってしまうものなんですが、マイクロブレイクを行うことでミスのリスが減るというんですな。これは納得ですねぇ。
また、もうひとつの「創造的な作業」ってのは、文字どおり新しいことを考えたり、斬新な問題解決法を思いついたりとか、そういったタイプの作業です。このような作業をするときは、私たちは脳の柔軟性が欠かせないんですけど、マイクロブレイクを行うことによって、目の前のタスクとは異なる活動に意識を向けることができ、おかげで脳の柔軟性が高まるんだそうな。こちらも納得ですね。
一方で、マイクロブレイクの効果が出にくい作業ってのもありまして、
- ガッツリとした注意力が必要な作業には、マイクロブレイクはいまいちかも
みたいな報告も出ております。このようなタスクで脳がつかれた場合、マイクロブレイクでちょっと活力は上がるんだけど、タスクを完了するために必要な精神的なリソースを完全に補充することはできないそうな。ミスのチェックとか、間違えたらヤバいタスクなどで、ガッツリと注意力を使ったあとは、ちゃんと長く休むしかないってことですかね。
また、この研究では、マイクロブレイクを有効に使うポイントも示されていて、
- 仕事と無関係なマイクロブレイクは、仕事に関連したマイクロブレイクと比べて、より高いレベルのメリットが得られた
だそうです。目の前の仕事と無関係の活動ってのは、
- ウォーキングなどの身体運動は、疲労の減少やポジティブな感情の増加をもたらす
- 短くて楽しい動画を見ると、披露の回復が速くなり、パフォーマンスアップにつながりやすい
って感じでして、こうして見ると、仕事のあいまに笑える猫動画をよく見る私のやり方は正しかったんでしょうな。
逆に、「メールチェック」や「同僚を手伝う」みたいに、仕事に関連したマイクロブレイクは、睡眠の質や幸福感の低下、ネガティブな気分の上昇につながりやすいそうで、くれぐれもご注意ください。研究チームいわく、
メタ回帰分析の結果、マイクロブレイクの時間が長ければ長いほど、パフォーマンスアップの効果は大きくなることがわかった。
とのこと。今回の分析では、「どれくらいの頻度でマイクロブレイクをとるべきか?」ってのは検討してないんだけど、研究チームは「必要なだけ頻繁にマイクロブレイクをとるほうがいいのでは?」と提案しておられました。まぁ身体的な負荷がかかる仕事と認知的な仕事では休憩の必要性が違ってくるでしょうから、これは自分にとってベストなマイクロブレイクの頻度を探すしかないですな。
さらに研究チームいわく、
水分補給のために水を飲むのと同じように、パフォーマンスを持続するためには頻繁に短い休憩を取る必要がある。週末に休憩をまとめたり、夕方以降にまとめて休憩するのは理にかなっていない。
ということでして、私もあらためてマイクロブレイクを取らねばならんな、と。