【質問】最強トレーニング「HIIT」で筋肉はつけられますか?
こんなご質問をいただきました。
HIITで筋肉はつきますか?鈴木さんはHIITを体力をつける方法として紹介することが多いですが、同じ考え方で筋肉をつけることは可能なのでしょうか?
ということで、HIITの手法を使って筋肉を増やすことはできるのか、と。確かにこのブログでは、HIITを心肺機能の改善法として取り上げることが多くて、くわしくは「ランニングより体力がつきまくる!いまさら聞けない『HIIT』超入門」などをどうぞ。
で、実際のところ、HIITの研究ってのは心肺機能によるものが多くて、この問題については結論を出しづらいとこもあるんですが、とりあえず結論からまとめちゃうと、以下のようになります。
- 筋トレと比べてHIITが有効だってことは絶対にない
- ただし、運動不足の人であれば、HIITを数週間やることである程度まで筋肉が成長する可能性がある
- 運動の中級者や上級者でも、正しい方法でHIITを使えば、下半身のワークアウトのサポートに役立つかも
ということで、これで納得できる方は先を読まなくてもOKですが、もう少しくわしいことが知りたい方は以下をどうぞ。
HIITで筋肉はつくのか?
では、本題の「HIITで筋肉はつくのか?」問題を考えてみましょう。
この点で参考になるのがノースカロライナ大学の実験(R)で、研究チームは、太りすぎや肥満の男女のグループを集め、エクササイズバイクで9回のHIITワークアウトを指示したんだそうな。すると、研究が終わった時には、外側広筋(太ももの前にある筋肉)が14%もサイズアップしていたというんですな。
2021年に出た研究(R)でも同じような結果が報告されていて、こちらでは、運動が足りない男性グループに有酸素運動、エクササイズバイクでのHIIT、筋トレのいずれかを6週間行うように指示。その結果、筋肉量が最も増えたのは筋トレのグループだったものの、HIITワークアウトを行った被験者も、筋トレグループで見られた増加の半分を記録したらしい。
というわけで、以上の話をまとめると、
- HIITによる筋肉の増加は筋トレの半分ぐらい?
- サイクリングのように低強度の筋トレ要素をふくむトレーニングなら、遅筋のサイズは増加えると思われる(R)
みたいになります。こうして見ると、HIITでもそれなりに筋肉は増えそうですが。これらの研究は、あくまで運動の初心者しか対象にしていないので、普通に運動歴がある人には適用できない感じっすね。数年のトレーニングを積んだ人だったら、筋肉はすでに筋トレのストレスに適応してるはずなので、有酸素運動が成長の刺激になることはあまりないでしょうね。
筋トレ後にHIITを使うなら意味があるのでは?説
そんなわけで、「やっぱHIITだけだと筋肉を成長させるには不十分かなー」とか思うわけですが、個人的には「筋トレの後にHIITを行うってのはアリじゃない?」とは思ってたりします。たとえば、
- スクワットやレッグプレスなどで脚のトレーニングをする(1セット10~12回ぐらいで3~5セット)
- その後、「30秒から60秒ぐらいで全力スプリント → その後、ゆっくりしたスピードで2分ほど走る」ってのを3~5回くり返す
みたいな感じですね。このように、筋トレのあとにHIITを行うことで、筋肉がサイズアップしやすくなるんじゃないかって話です。
まー、このやり方で効果が上がるかを調べたデータがないので、あくまでも個人的な推測でしかないのですが、生理学的には意味があるんじゃないかなーと思う次第です(R)。要するに、HIITを通常の筋力トレーニングの「フィニッシャー」として使うわけですね。
くり返しになりますが、HIITが筋トレの代わりになるわけじゃないものの、フィニッシャーとして使うなら、筋肉のトレーニングを効果的にサポートできるだろうし、筋肉の成長にブレーキをかけることなく、心肺機能も向上するんじゃないでしょうか。
と、こんなことを言いつつ、自分ではHIITをフィニッシャーとして使ってるわけじゃないで、これから試してみようと思います。