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今週末の小ネタ:適度なストレスで心の健康を改善、タウリンがアンチエイジングに効く、脳の劣化リスクを20%減らせる習慣


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

 

 

 

 

適度なストレスで心の健康をガッツリと高めよう!

不老長寿メソッド」では「適度なストレスがないと体に悪いよー」みたいな話を強調しております。過度なストレスが良くないのは当然ながら、ストレスがなさすぎるときも心と体の抵抗力がなくなっちゃうんですよね。

 

 

でもって、新しい研究(R)も「ストレスの良さ」にまつわる話で、「低レベルから中レベルのストレスは脳に良い!」って結論になってました。

 

 

まずは研究チームの言葉を引用すると、

 

ある程度のストレスがある環境に身を置くと、よりパフォーマンスを上げて働くための対処がうまくなり、さらに能力を発揮できるように自分を整えることができる。

 

ってな感じです。ストレスがある環境は人間の脳を刺激し、そのおかげでパフォーマンスアップの効果をもたらしてくれるんだ、と。

 

 

この調査は、1,200人以上の若者を対象にしたもので、まずはみんなに自分のストレスレベルを答えてもらうように指示。そして、そのストレスレベルを、注意力、記憶力、タスク切り替え能力などの認知能力と比較したんだそうな。その結果、なにがわかったかと言いますと、

 

  • 低レベルから中レベルのストレスは、メンタルの問題に対する一種の「予防接種」のように働く

 

という話です。軽度のストレスがワクチンのように働き、これが将来のトラブルに備えるスキルを身につけさせてくれるんだよーってことですね。

 

 

ただし、この「低レベルから中レベルのストレス」の判断は難しくて、「人それぞれ」としか言いようがないのが困ったところです。個人によってストレスの閾値が異なるので、「このぐらいのストレスならメンタルに良い!」とは言いづらいんですよね。

 

 

あくまで私見ですが、個人的な意見としては、

 

  • めっちゃ緊張するして嫌になっちゃうけど、適切な準備をしておけば乗り切れるレベル

 

ぐらいがほどよいかなーって印象を持っております。私の場合は、学会発表とかそこらへんが中レベルのストレスですかねぇ……。

 

 

ちなみに、当然ながら、ストレスが高いレベルで続くと心身ともに疲弊してしまうのでご注意ください。研究チームいわく、

 

ある時点で、ストレスは毒になる。貧困や虐待などの慢性的なストレスは、健康面でも心理面でも非常に悪い影響を及ぼし、免疫システム、感情のコントロール、脳の働きなど、すべてにダメージを与える。

 

皮膚を使い続けていると、少しずつ皮膚は固くなっていく。しかし、あまりやりすぎると、皮膚は手に負えないダメージを負ってしまう。

 

 ってことなので、あくまで自分にとって「低レベル〜中レベルのストレスとは?」と考えながら日々の暮らしに導入していくといいんじゃないでしょうか。

 

 

  

タウリンがアンチエイジングに効く!説

タウリンといえば、エナジードリンクなんかにふくまれているアミノ酸の一種。肉、魚、卵、海藻などに含まれてまして、筋肉や神経の機能をサポートする働きをしております。

 

 

で、サンパウロ大学の研究チームが新たに実験を行ってくれまして(R)、「タウリンは抗酸化作用と抗炎症作用が大きいから、アンチエイジングに効くんじゃない?」って結論を出してくれておりました。

 

 

これは、55歳から70歳の運動不足な女性24名を対象にした試験で、

 

  1. 1日1.5 gのタウリン
  2. コーンスターチのプラセボ

 

のどちらかを16週間にわたって投与してもらったうえで、血液検査を行ったんだそうな。すると、タウリンを飲んだグループのほうが、酸化ストレスマーカーが良好だったんだそうな。研究チームいわく、

 

16週間のタウリンサプリは、酸化ストレスマーカーにかなりの利益をもたらし、血漿タウリン濃度を増加させた。その結果、SODの増加、脂質過酸化のマーカーであるマロンジアルデヒド(MDA)の減少が確認された。

 

我々は、タウリンの補給が、抗酸化防御システムを強化し、老化プロセスによって誘発される酸化ダメージを予防するための有効な戦略となりうると考えている。タウリンは過小評価されているが、心血管の健康や老化の特徴である酸化ストレスに対する重要なアプローチである。

 

とのこと。まー、正直これは小規模な試験だし、まだ「タウリンを飲もうぜ!」とは言いづらいレベルなんですが、タウリンが豊富なサバやアジ、タコ、イカあたりを積極的に食べておくのは悪いことじゃないでしょうね。

 

 

ちなみに、今後は1日3gのタウンを使った場合の効果を確かめる予定みたいなんで、そこらへんに期待ってことで。

 

 

 

脳の劣化リスクを20%減らせる習慣

その昔、「歯磨きしないと脳が死ぬぞ!」みたいな話が出ておりました。

 

 

要するに、歯周病による炎症で脳にダメージがあるんだよーみたいな話ですが、この考え方は、まだまだ研究としての精度が甘いのが難点。その点で、新たに出たメタ分析(R)は、歯周病と脳のダメージについて信頼度が高い結論を出してくれてておもしろかったです。

 

 

この研究は、オーラルケアと認知症との関連について、過去に行われた10の研究の結果をまとめたもの。まずはその結果をざっくりまとめると、

 

  • 歯の数が20本未満の人は、20本以上の人に比べて、認知機能が下がる、または認知症になるリスクが20%高い
  • 定期的に歯を磨くことで、認知症のリスクを4分の1以上減らせる可能性がある

 

みたいになります。うーん、これは怖い!

 

 

ちなみに、軽度から中等度のアルツハイマー病患者59人を追跡調査した研究では、歯周病の人は認知機能の低下スピードが6倍速くなるって結論も出てまして、かなりビビらされました。6倍って怖すぎでしょう。

 

 

さらにこの研究から得られた他の知見も並べておくと、

 

  • 歯周病が進行している歯があると、認知機能の低下や心臓や血管の病気リスクが上がり、体内のレベルが高くなる。
  • 歯茎をちゃんと治療することで、体内の炎症物質のレベルを健康な状態に近づけることができる

 

なんて話も出ておりました。歯周病が怖いってのは誰でも知ってることですが、脳をガッツリと健康に保つためにも、定期的な歯科検診は必須ですね。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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