副業が当たり前の現代ですが、副業ってのはどこまで人生の改善に役立つんですか?
「現代では副業が当たり前!」などと言われるわけです。かく言う私も副業で食えるようになったおかげで今の仕事にスライドした人間なので、個人的にはサイドビジネスに好感を抱いております(あくまで個人の経験ですが)。
では、実際のところ、副業は良いのか悪いのかってことで、アイオワ大学などの先生方がおもしろい調査(R)をしてくれておりました。
この研究でなにを調べたのかを一言で申し上げますと、
- 副業は本職のパフォーマンスを高めてくれるのか?
ってポイントです。私の場合で言えば、会社員だった時代にブログをスタートさせたことにより、果たして本業だった編集者の仕事にも良い影響があるのか?ってことですね。
これが具体的にどんな研究だったかと言いますと、
- 副業をやってる80人の従業員を対象に、ランダムなタイミングで「いまどんな作業してますか?」や「仕事ぶりはどんな感じですか?」みたいな質問を送り、その答えを10日間続けて記録してもらう
- さらに、参加者の同僚にも協力を頼んで、参加者たちの本業のパフォーマンスがどう変化したかもチェックする
みたいになります。参加者たちの副業タイプはさまざまで、フードデリバリー業界やアート&クラフト、自作のアクセサリー販売、ネットのアンケートに回答して報酬を稼ぐなど、いろんな業界にまたがっていたとのこと。同じく本職の種類もさまざまで、不動産賃貸サービス、人材コーディネーター、データアナリスト、教師、看護師など、幅広い職業の人を集めていたらしい。
ちなみに、この研究では、副業を「フルタイムの仕事以外に行う収入を得る仕事」と定義。参加者が副業に費やす時間は、平均週4日で計13時間で、半数以上が2つ以上の複業をしていたとのこと。
でもって、分析の結果を、研究チームは以下のように言っておられます。
多くの人は、副業によって本業のパフォーマンスが低下すると考えている。しかし、実際にはその逆で、副業に日々携わることでポジティブな感情が生まれ、それが本業のパフォーマンスを押し上げるということがわかった。
Uber、Fiverr、Etsyのような企業は、労働者が副収入を得るためのプラットフォームを提供している。その明らかな利点は第2の収入源を確保できることだが、それ以上に否定的な点よりも肯定的な点の方が多い。そのため、多くの企業が副業をする労働者に対するネガティブ印象は転換させるべきだ。
Sessionsは、AirbnbやLyftのようなギグワークをフルタイムの仕事にすることは勧めないが、その2つのバランスが良ければ、労働者のアウトプットにプラスになるだろう。
ということで、多くの人は、副業によって「自分は力を得た!」と感じられ、そのメンタルリティが本業のモチベーションアップや生産性の向上に結びつくケースが多く見られたんだそうな。
確かに、データを見てみると、たいていの人は副業にはげんだ日の翌日の仕事で良いパフォーマンスを発揮しやすいみたいで、「副業で疲れてやる気が出ない……」とか「副業が楽しくて本業のモチベーションが上がらない……」みたいなケースは意外とないっぽいですね。それどころか、副業を行うことでモチベーションが高まり、それが本業のパフォーマンスにもスライドされるのではないか、と。
まぁ、そうは言っても「副業は良い事だらけ!」って話ではなく、このデータでは、副業をがんばった日の翌日は少し本職への気が散ってしまう傾向も見られたそうなので、そこはご注意ください。このポイントだけ注意しておけば、副業にはメリットのほうが大きそうではあります。
複業にこういったメリットがある理由ははっきりしないんですが、
- 副業をしていることで、「自分の仕事を自分の責任で行っている!」という自己コントロールの感覚を得られる
- 自己コントロール感で得たポジティブな感情がフルタイムの仕事にも影響を与え、パフォーマンスを向上させる
みたいなメカニズムではないかと考えられております。確かに、副業って仕事の進め方やらスケジューリングやらをすべて自分で管理できるんで、うまく進んだ日とかは妙にモチベーションが上がるんですよね。なので、本業でギチギチに管理されているような人ほど、副業から得られるメリットは大きいのかもしれませんねぇ。