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今週半ばの小ネタ:運動で大事なのは強度より持続時間、職場で【幸せなふり】をすると燃え尽きる、夜のドール


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

 

 

 

真の健康に必要なのは運動の強度より持続時間だ!説

定期的なタイミングでずっと活動している人は、認知力テストの成績が良く、うつ病のリスクも低い!」って話(R)が出ておりました。

 

 

これはピッツバーグ大学医療センターなどの研究で、まずは結論から並べてみると、

 

  • 毎日30分から1時間激しく運動する人は、1日中ウォーキングのような軽い運動しかしない人よりも健康レベルが低かった。

 

みたいになります。要するに、運動の強度よりも持続時間の方が重要だってことで、激しい運動が嫌いな人には良いニュースですね。

 

 

研究チームいわく、

 

 

人々はしばしば、健康になるには運動の強度が重要だと考えるが、より重要なのは運動の持続時間かもしれない。スプリントやマラソンをする必要はなく、単に一日中アクティブであればいいのだ。

 

 

とのこと。健康でありたければ、軽い活動をひたすら長く続けるほうが大事なのではないか、と。

 

 

この結論を導くために、チームは65歳以上の男女1,800人のデータを使用。みんなに加速度計をつけてもらい、全員を1週間モニターで監視したんだそうな。

 

 

その結果、頭の働きが良くてメンタルも落ち込んでいないグループは、朝7時またはそれ以前に起床し、一日中アクティブに過ごしている傾向があったらしい。

 

 

研究チームいわく、

 

 

多くの健康な高齢者は、しっかりとしたパターンを持っていた。平均して午前7時前に起床し、毎日15時間ほど活動し続ける


また、それと同時に、毎日同じパターンで活動する傾向も見られた。驚いたことに、そのような高齢者たちは、他の参加者よりも幸福で、メンタルの落ち込みが少なく、認知機能が優れていた。

 

 

とのこと。だいたい30%の参加者は、日々のルーチンが正確で、1日中アクティブだったため健康レベルが高かったとのこと。一方で、別の30%の人達は、1日の起床時間がバラバラで、そのせいで認知テストの成績も悪かったらしい。

 

 

高齢者は「活動パターン」が乱れていることが多く、これが健康問題に関連していることを示唆している。つまり、規則的な活動パターンを目指すことで、健康を改善できるかもしれない。


多くの人は、質の良い睡眠と運動の重要性を認識しているが、この図式に欠けているのは、概日リズムに沿った活動パターンだろう。

 

 

人によっては早起きが難しいでしょうから、とにかく「一定の活動パターンを守る」ってのと、「負荷が軽い運動を一日中やる」のを守っておけば、それなりに健康は維持できそうですね。

 

  

 

職場で【幸せなふり】をすると燃え尽きるぞ!説

職場で幸せなふりをすると燃え尽きるぞ!という研究(R)が出ておりました。嫌なことがあっても無理やりポジティブでいようとすると、1日の仕事の終わりにはグッタリ疲れちゃう人が多いんだそうな。いかにもありそうな話ですな。

 

 

これは、さまざまな職種の従業員162人を対象にした調査で、そのあいだ、全員に1日5回ずつ自分の気分を評価してもらいつつ、10日間をいつものように過ごすよう指示したんだそうな。

 

 

その結果、どんなことがわかったかと言いますと、

 

  • 従業員が職場で幸せそうにふるまった場合は、1日の終わりの精神的な疲弊がすごく、難しい仕事や同僚とのコミュニケーションがうまくできなくなった。

 

だったそうです。職場でポジティブなふりをし続けると、やがてメンタルがすり切れてしまい、仕事を手抜きでやっつけてしまうか、インターネットに逃げ込んでしまう確率が高くなっちゃうんだそうな。まぁ無理やりポジティブでいたら、エネルギーがすり減るでしょうからねぇ。

 

  

といっても、研究チームは「職場ではネガティブを顔に出せ」と言ってるわけではなく、「1日を不機嫌な気分で始めるのではなく、出社する前から良い気分でいるようにしよう」と推奨しておられます。ネガティブを表に出すのは嫌われやすいので、それなら「最初から良い感情でスタートを切れるようにしよう!」みたいな話ですね。まぁそれが難しいんですが……。 

  

 

 

夜のドールを【理想の恋愛相手】だと考えてる人が多い説

女性を象った等身大のシリコン人形ってあるじゃないですか。俗にラブドールとかリアルドールなどと言われるアレですね。

 

 

で、新しい研究(R)では、「リアルドールをガチの恋愛相手と考える人は驚くほど多いよ!」と報告してて、あらためて「いろんな研究があるなぁ……」と。

 

 

こちらはデュースブルク-エッセン大学の調査で、217人のドールユーザーが対象。参加者は平均43歳で、年齢は18歳から77歳までの幅があったとのこと。ほとんどの参加者は男性ですが、女性も2.3%ほど含まれていたらしい。

 

 

ここで参加者にインタビューしたのは、ドールの使用率、ドールを擬人化してるかどうか、女性への敵意があるかなど。また、アンケートには自由記述欄があり、「人形を使うことで女性に対するイメージはどのように変わりましたか?」って質問もあったらしい。

 

 

その結果、約半数の参加者が、「ドールは理想のパートナーであり、感情移入している!」あるいは「ドールは人間のパートナーの代用品になっている!」と回答したんだそうな。一方で、残りの半数はドールを単なるアレの道具として使用していると答えております。

 

 

また、ドールと深い関係を持った参加者には、以下の傾向も見られたらしい。

 

今回の研究では、「私はドールを愛している」「ドールのおかげでメンタルヘルスが改善された」「人間のパートナー候補に魅力を感じないのでドールを使用している」などの発言をが多く確認された。

 

彼らは実際にドールと何らかの関係を生きているようで、たとえば、ドールを所有してから感情的な愛着を持ったり、人間のパートナーに対する魅力が減少したと報告する人が多く見られた。

 

ということで、ドールをガチの恋愛対象として見る人は少なくないっぽいですね。個人的には、「ドールと恋愛しても幸せならいいんじゃないすか?」としか思いませんが、研究チームは以下のような結果も報告しておられます。

 

  • 「私はドールと交際している!」と考えている人は、「女性の客観化」と弱い相関があり、「女性について最初に目が行くのは肉体だ」や「女性は男性をからかったり傷つけたりする」といった記述に同意する傾向がわずかに強かった。

 

  • ほとんどの参加者(約70%)は、ドールを使用しても女性に対するイメージは変わらなかったと回答したが、2.3%は否定的な変化を報告。10%近くが女性への関心が薄れたと回答した。

 

もしかしたら「一部にはドールへのハマりすぎで問題が起きちゃう人もいるかも?」ってことですね。私としては、もっと技術が進んで、ドールだけでなくVR上のキャラなどと恋愛する日が来たほうが楽しいように思いますが。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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