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カリスマ性がある人が使っているトーク術6選



カリスマは訓練で伸ばせる能力なんだぜ!って研究(R)がおもしろかったのでメモっておきます。過去に「カリスマは誰でもなれる」みたいな本もありましたが、こちらはローザンヌ大学のジョン・ アントナキス先生などによる論文で、よりアカデミックな内容になってますね。

 

 

ちなみに、ここでいう「カリスマ性」ってのは、おおよそ以下のような意味になってます。

 

  • 大勢の人を魅了し、やる気を起こさせ、明確で先見の明があり、インスピレーションを与えるメッセージを伝える能力がある人。

 

うーん、難しい(笑。普通に考えれば、「自分には無理だよ!」という感じになりそうですが、アントナキス先生は「カリスマ性は生まれつきのものではない! 学習可能なスキルだ!」と主張してらっしゃるんですな。

 

 

というのも、この先生方は、ビジネスマンを対象とした調査を昔からしてまして、「カリスマ的リーダーシップ戦術」(CLT) と呼ばれるトレーニング法を考案。この考え方を使って訓練した人は、誰でも他者への影響力が増したというんですよ。興味深いっすねぇ。

 

 

で、CLTの考え方について、アントナキス先生はこんなことを言っておられます。

 

  • いくつかの大規模な研究によれば、カリスマ性は、どのような文化圏でも貴重な資産になり得ることが示されている。しかし、多くのビジネスパーソンは、カリスマ性を使用する方法がわからないか、トレーニング法を理解していない。

 

  • アントナキス先生自身による調査では、カリスマ性を鍛えるトレーニングは、古代ギリシア・ローマの時代から「雄弁術」として伝えられてきた内容に似たものが多い。

 

  • カリスマトレーニングの方法はいろいろあるが、基本的には、最も効果的で、ほとんどすべての状況で使える戦略は12パターンに絞ることができる。研究では、これら12の戦術を適切に使用する人は、他の人を動かすことがうまくなり、フォロワーを団結させるのもうまいことがわかった。

 

  • カリスマトレーニングを使用したヨーロッパの中堅ビジネスパーソン(平均35 歳)は、リーダーの能力への客観評価が平均で約60% 上昇した。また、スイスの大企業のビジネスパーソンを対象にした研究でも、カリスマトレーニングを受けた人の約65%がリーダーとして平均以上の評価を受けた。

 

  • カリスマトレーニングの目的は、ビジネスの世界での影響力を増すだけでなく、日常会話で常にカリスマ性を高めることである。これらのトレーニングは、私たちをより有能で尊敬に値するように見えるようにするだけでなく、フォロワーとの感情的なつながりを生み出すのにも役立つ。

 

ということで、それぞれの実験の詳細ははぶきますが、全体としては、カリスマトレーニングを行うことで、リーダーシップ評価が50〜60%ほど上がっているみたいっすね。これはビジネスの世界だけでなく、日常でも十分に使えるスキルではないでしょうか。

 

 

では、カリスマトレーニングのポイントをざっくり見ていきましょうー。

 

 

カリスマポイント1 比喩を使いこなす

カリスマがある人ってのは、基本的に理解しやすいメッセージを伝えねばならないので、比喩を使うのがうまい人が多め。「競合他社を屈服させた」「この会社は軌道を変えねばならない」みたいに、自分が言いたいことを何かになぞらえるとメッセージが伝わりやすく、さらにはこちらの「賢さ」アピールにもつながり、カリスマ性が上がったように思われがちなんだそうな。

 

 

カリスマポイント2 ストーリーを使いこなす

ストーリーや逸話は、メッセージをより魅力的にし、聞き手が話者とつながるのに役立つ。特に、誰かにスピーチをする際は、個人的なストーリーを語ったほうが相手の記憶に残りやすい。たとえば、プロジェクトを行う際に出会ったトラブルや、ユーザーからもらった感動的な体験をガンガンに語るわけでして、アメリカの自己啓発書でよく使われる手法ですね。

 

 

カリスマポイント3 道徳的な信念を示す

「これは社会の役に立つことなのだ!」みたいに、自分たちがやってることの道徳性を主張するやり方。まぁ人間はみんな道徳的だと思われたい生き物なので、道徳的なことを言わない人にはついていきたくないですものね。

 

 

カリスマポイント4 集団的感情を強調する

「私たちはもっと強くなるのだ!」とか「皆さんの気持ちはよくわかります!」みたいいに、グループ全体について語りかけていく話法のこと。「私は自分のことではなく、相手の幸福を考えていますよー」って事実が相手に伝わるので、こちらへの信頼感が生まれるとのこと。

 

 

カリスマポイント5 自分とフォロワーに高い期待値を設定する

「いま私たちは未曾有の危機に遭遇している!ゆえに死ぬほどがんばらねば!」みたいに、めっちゃ高い基準を設けたうえで、相手の士気を鼓舞していくやり方。あえて高すぎるハードルを設定することで、自分のモチベーションをアピールすることができ、これがカリスマ性につながるとのこと。確かに、これをやってるインフルエンサーは多い気がする。

 

 

カリスマポイント6 修辞的な質問を使う

「この話を私が語るべき理由は言うまでもないよね?」とか「差別に賛成する人などいるだろうか?」とか、相手からの答えを要求しない質問を使うやり方。「差別に賛成する人などいるの?」と言われれば、誰でも反射的に「そんなことはない!」と思い、これが説得力の増加につながるとのこと。これもネットでよくインフルエンサーがやってますな。

 

 

ってことで、ここでは主だったものを6つあげてみました。本論では、カリスマ性の改善に効くボディランゲージなんかも載ってるので、気になるかたはご参照いただければ幸いです。ストーリーと比喩については、ライターとしてはもっと使いこなしたいなー、とか思いましたが。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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