今週半ばの小ネタ:マッチングアプリの成功を決めるアレ、運動で「目標を達成する力」が高まる理由
ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
マッチングアプリの成功を決めるのは◯◯だ!という話
マッチングアプリの発達により、出会いのチャンスが広がった昨今。なんだけど、そこには副作用もあるようでして、新しいデータ(R)では、
- マッチングアプリは相手の候補数が多すぎて、その結果として恋愛の成功率の低下をもたらしている!
みたいになります。もとより恋愛は数のゲームではありますが、あまりにも候補相手が多いと、それが欠点になってしまうってことですね。
これがどういう実験だったかといいますと、
- 独身の参加者に、マッチングアプリのパートナー候補の写真を提示する。
- その際に、半数の参加者には45人のパートナー候補を提示し、残りの半数の参加者には90人のパートナー候補を提示する。
- 参加者には、それぞれのパートナー候補を受け入れるか拒否するかを決定する。
という感じで、パートナー候補の多さに応じて、受け手の反応が変わるかをチェックしたわけです。
その結果は、こんな風になりました。
- 多くの選択肢を提示された参加者ほど、相手を拒否する傾向が強くなった。
なんでも、大量のパートナー候補を提示された参加者には「拒否マインドセット」と呼ばれる心理が発動し、他のグループと比べて、承諾率が平均27%も減少したんだそうな。
「拒否マインドセット」ってのは、相手を減点法で見る姿勢のことでして、ちょっと良さそうな相手を見ても「この人にはどこか悪いところがあるのでは?」と疑ってしまう心理を意味してます。パートナー候補の欠点を意識的に探しちゃうせいで、相手の嫌な面がより多く目につくようになり、結果として恋愛の満足度も下がってしまうわけですね。
一方で、人間ってのは、パーティや友人の紹介などで出会った相手に対しては、相手を加点法で判断するらしく、「この人にはどんな良いところがあるんだろう?」というマインドセットを使う傾向があるらしい。そのおかげで相手の良いところに目が向き、恋愛が成立する可能性も高くんだるんだそうな。これはありそうですね。
事実、この研究では、「拒否マインドセットを持つ人は、オンラインデートにおける満足度と成功率が低い!」って傾向もあきらかにされてたりします。特に女性ユーザーの場合、拒否マインドセットを持つ人ほど、マッチングする相手の数が少なくなったらしい。これは納得ですなぁ。
というわけで、マッチングアプリを使うときは、一度に確認するプロフィールの数を制限するのが得策っぽいですね。データによると、マッチングアプリで50人ぐらいのプロフィールを見たあたりから、多くの人は「拒否マインドセット」が発動するようなんで、それぐらいに限っておいたほうがいいんでしょうな。
運動は体に良いだけじゃなく、「目標を達成する力」も育てるぞ!という話
運動は健康に良いだけでなく、「良い性格」に生まれ変わる働きも考えられております。その理由には謎が多いものの、「運動は脳の働きを良い方向に変えるから、結果として性格も良くなる……のかも?」ぐらいに考えられてますね。
で、新しいデータ(R)も運動のメリットに関する話でして、結論から言うと、
- 定期的に運動している人は、目標を達成するための集中力が続く!
みたいになります。運動が習慣になっている人は、「自分ならできる!」って気持ちを維持するのがうまく、それゆえに難しい目標を達成しやすいんだそうな。
研究チームは、大学生の参加者を集めて、まずはみんなの1週間の運動量をチェック。それに応じて「運動量が多い」グループと「運動量が少ない」グループに分け、その後で脳に負荷のかかるいろんななタスクを指示して、「主体的制御」の能力を測定したんだそうな。
主体的制御ってのは、すごーく雑に言えば、目標に向かって突き進む能力のことで、特定のゴールに向かうのをあきらめずに、最後までやり遂げるための認知能力を意味してます。めちゃくちゃ重要な能力ですね。
で、調査の結果は研究チームの予想どおりで、
- 普段から運動をしている人ほど、自分の意志で行動をコントロールする脳の力が強化されていた。
- この脳力アップは、運動によってワーキングメモリが改善し、そのおかげで全体の主体的なコントロールが高まったのだと思われる。
だそうです。ワーキングメモリの重要性については、このブログでも何度か取り上げてますけど、そのおかげで行動をコントロールする能力が高まるってのはよくわかる話じゃないでしょうか。
というのも、定期的に筋トレや有酸素運動をしている人ってのは、
- 運動をしているうちに体が辛くなり、頭の中で「これは疲れるからもう止めようぜ!」って声がささやきはじめる
- しかし、それに負けずに練習を続けていると、やがて「そろそろ脳が『もう止めようぜ』と言ってくるな……」と予想できるようになる
- これにより、脳の声をシャットダウンするのがうまくなり、同時に脳の認知コントロール能力も鍛えられていく
ってメカニズムが働くと思われるんですよ。要するに、厳しい運動を途中であきらめず、最後までやり遂げるトレーニングを積むことで、主体的なコントロールの能力が育つってことですな。
まー、このような能力を鍛えるために、どのような運動の方法がベストかってのはまだわかりませんが、個人的には「脳が『もう限界でしょ』と言ってくる運動量のちょい上を目指す」ぐらいがいいのだろうなーと思っております。