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1RMをもとに最適な筋トレの回数を決めようぜ!って考え方がアップデートされてた件

筋トレを効率よく進めるには、正しい負荷の設定が必須。 自分の限界を超える重量を使ったら筋肉が疲れすぎるし、逆に辛すぎる負荷を使ったら筋肉が刺激されないしで、 いかに適切な重さを使うかがめっちゃ大事なんですよね。

 

で、そこでよく使われるのが、1RMを使った 負荷の調整です。1RMってのは「1回で挙げられる最大の重量」のことで、 詳しくは「自分の筋トレ限界(1RM)を簡単に知る方法はないのか?」 をご覧ください。

 

これを使ってどのように最適な負荷を決めるかと言うと、たとえば1回のベンチプレスで最大100kgをあげられる人(つまり1RMが100kg)の場合、

 

  • 筋力を増強するためには、1RMの80%の重量(80kg)で1セット8回を行う。
  • 筋持久力を高めるためには、1RMの65%〜70%程度(65kg〜70kg)の軽い重量で、1セット11〜15回を行う。

 

感じで決めていくわけです。「1RMの100%=1回」ってのをベースに、 95% = 2回、 90% = 4回、85% = 6回、80% = 8回、 75% = 10回、 70% = 11回、 65% = 15回 みたいに重量を決めていくやり方で、なかなか使い勝手が良いんですよ。

 

が、 実はこの数字は、 1990年代初頭に2〜3の研究だけにもとづいて 生まれたものでして、「どこまで正しいの?」って 疑問が少なからずあったんですよ。 いろんな筋トレ好きたちから、「 1RMをベースにした 負荷の決め方は、なんだか軽過ぎる気がする」 みたいな声が多かったんですな。 個人的にも、このやり方で決めた負荷 より多い回数を持ち上げられることが多かったので、 同じような疑問を持っておりました。

 

それでは、実際に このやり方が正しいのかどうかってことで、詳しく調べたメタ分析が出ておりました(R)。この研究は、 過去に行われた筋トレ調査から92件をピックアップし、7,000人以上が行った962回のトレーニングデータを 分析したものです。 データの内訳を簡単にまとめておくと、

 

  • 参加者の66%は男性で、92%は59歳未満。
  • 最も研究例が多いエクササイズはベンチプレス、レッグプレス、レッグエクステンション、チェストプレスだった。
  • フリーウェイトとスミスマシンのデータが混在していたため、分析では合算している。

 

みたいになります。データを分析するにあたっては、1RMの パーセンテージに基づいて、 実行できた最大の筋トレ回数を予測する複数のモデルを作成。 これをもとに、従来の数値よりも正確性が高い負荷の数値を割り出してくれております。 ありがたいですねぇ。

 

で、主な結果をさくっとまとめると、以下のようになります。

 

  • 実際に参加者が 実行できた筋トレの回数は、 1990年代から使われてきた負荷の回数よりも大きい傾向があった。

 

ってことで、 どうやらこれまで使われてきた数値は、 適切な回数を 少なく、見積もっていた可能性が高いらしい。たとえば、この分析では、すべてのエクササイズにおいて、「1RMの70%で平均14.80レップを 実行できる」と推定されたのに対し、 これまで使われてきた数値では、1RMの70%で実行できる回数は11回とされてきたんで、 これはなかなか大きな差ですよね。また、 この研究では、1RMのパーセンテーが小さくなるにつれて、1セットあたりの回数の個人差が大きくなることも 報告されております。

 

それでは、今回の研究で新たにわかった「筋トレの適切な回数」 を表にしてみると、以下のようになります。 表の中で「 通常のチャート」 と書かれているのが 従来使われてきた数値で、その隣に、今回のメタ分析で判明した新しい数値を並べてます(回数は小数点以下を四捨五入。

 


こうしてみると、従来の数値に、2〜3回足したぐらいの 数値が適切っぽいですね。 これは私の実感とも適合するところなので、今後はこの数値を参考に負荷を決めていこうかなぁと思った次第です。

 

 

ちなみに、 この分析から得られた他の知見も紹介しておくと、

 

  • 1セットあたりの 筋トレ回数にはめっちゃ個人差が大きいので、 最終的には自分の主観をベースに最適な回数を推測するのが無難ぽい(詳しくは「RIR法」をご参照ください。)。
  • 相対的な負荷が軽くなるにつれて個人差は大きくなるので、軽い負荷で回数をたくさんやりたい人 ほど注意が必要。

 

みたいになりますね。 つまり、筋トレの最初は上記のチャートを使って適切な負荷を推測しつつ、慣れてきたら「RIR法」を 導入して主観で決めていくのがでいいんでしょうね。 主観で負荷を決めていいのかと心配になる人も多いんですが、現状RIR法の精度は 良い結果が報告されているので、 積極的に使っていっていいんじゃないでしょうか。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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