理想の筋トレ回数を決める「RIR」法を使いこなすためにはどうすればいいの?のメタ分析
その昔、RIRって筋トレのテクニックを紹介したことがありました。これは筋肉が「もう動けない!限界だ!」と悲鳴をあげる直前で筋トレをやめるとい考え方で、たとえば「1RIR」と表記した場合は限界の回数より1回だけ少ない回数でトレーニングするって意味になります。
これの何が良いのかと言いますと、
- オーバーワークになりにくいから、疲れをためずにトレーニングの全体量を上げることができる
- 最近は筋肉は限界まで追い込まないほうが成長するって見解も多いので、その点でも有利っぽい
みたいになります。筋肉を追い込みすぎるとヘトヘトになっちゃうんで、RIRはこの問題をクリアにしてくれるわけっすね。かなり使い勝手が良いので、個人的にも愛用しております(追い込まないので精神的にラクなのが良い)。
ただ、お気づきでしょうがRIRには欠点もありまして、
- 「理想の筋トレ回数」を主観で決めるので、どうしてもズレが出る
って問題もあるわけです。RIRってのは自分の感覚をベースに「あと1回で限界だ!」と決めるやり方なんで、たとえば、3〜5RIRで4セット×8回のトレーニングをする場合、本当はあと1回しかできないのを「あと3回できる!」と考えたり、その逆の評価をしちゃうケースも十分あるでしょうからね。この状態が続けば、トレーニンのグ刺激が不十分になったり、せっかくRIRを使ったのに筋肉が疲れすぎちゃう可能性も出てくるわけです。
では、「RIRをうまく使うにはどうすればいいのか?」 ということで、そこらへんを調べたメタ分析(R)が出ておりました。
分析対象になったのは13の論文で参加者の総数は414人。いずれも実際のRIRと予測したRIRの差をチェックしてまして、たとえば、
- 各研究において、参加者がトレーニングを8回後に3RIRと予測した後で、実際にはさらに4回のトレーニングができた場合はRIRの誤差は1回と考えらえる
みたいな感じでRIRの精度をチェックしております。もちろん、それぞれの実験は条件がバラバラなんで、そこらへんも調整しつつメタ分析をしてくれております。
では、分析から得られた結果を簡単に見てみましょうー。
- たいていの人は、限界までのトレーニング回数を平均して0.95回ほど過小評価していた(信頼区間=0.17~1.73回)
- RIRの予測精度は、限界に失敗に近いところで行われた方が正確になりやすい(具体的には、全回数の80%が完了した時点(たとえば、1セット10回のトレーニングなら8回目以降)だと、予測精度が1回以内に収まる傾向がある)
- 1セットの回数が少ないとRIRの精度は低くなりやすい。しかし、1セットあたりの回数が12回以上になると、RIR予測の精度はかなり改善する
- RIRの予測精度は、最初のセットよりも後のセットの方が向上する
- トレーニング歴が長いか短いかはRIRの予測精度とは関係がなかった
ということでして、全体的に見ればRIRは1回だけ過小評価しやすい傾向がありつつも、その他の条件をうまく設定してやれば、精度はかなり高いのではないか?って感じがするわけですね。個人的にも平均0.95回ぐらいなら十分に使えるレベルかなーと思います。
つまり、話をまとめるとRIRを使うときは、
- なるたけ限界に近いRIRを設定する(10RIRだとさすがに精度がズレすぎる)
- 1セットの回数は12回より多くしたほうが精度は上がって良さげ
- 1セット目より3セット目の方が精度は上がるけど、そこはあんま気にしなくても良さげ
ぐらいのところを気にしておくといいんじゃないかと思った次第です。やっぱ個人的にも今後も使っていこうと思いましたねー。